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2013年7月5日金曜日

書評 『キャリアポルノは人生の無駄だ』(谷本真由美(@May_Roma)、朝日新書、2013)-ドラッグとしての「自己啓発書」への依存症から脱するために


「キャリアポルノ」はとは、なかなかドギついタイトルです。書店の店頭で買うのは、すこしためらいがあるかもしれません。

「キャリアポルノ」というのは著者の造語だそうですが、ご自身のブログでつかってみたら爆発的な反響があったとのこと。ネットで有名になっていたそのブログ記事はわたしも読みました。キャリアポルノは人生の無駄だ(Wireless Wire News ロンドン電波事情 2012年11月26日)です。

その記事がキッカケとなって誕生したのがこの本だそうです。「キャリア」+「ポルノ」で、なんとなく内容は想像がつくことでしょう。あからさまにネガティブな価値判断を含んだ表現です。

内容は、いま日本で爆発的に売れている「自己啓発書」は百害あって一利なし、と斬り捨てるものです。

自己啓発書の特徴とは、著者によれば「下品、字が少ない、余白が多い」というもので、分類すれば ①説教系、②俺自慢系、③変われる系、④やればできる系、⑤儲かる系、⑥信じる者は救われる系、⑦エンタメ系、⑧ノマド系 になる、と。

この主張には、わたしは基本的に異議なしです。ただし、あくまでも著者の独断と偏見が反映していますし、もちろん自己啓発書=ビジネス書ではないので、当然のことながら著者の言っていることに 100%賛成するわけではありません。

さらにいえば、拙著 『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』(こう書房、2013)は、タイトルに「自分を変える」と入っているので「自己啓発書」と分類されるわけですが、著者としては拙著だけは例外であると思いたい(笑) ぜひ拙著を一読したうえで、評価はみなさんご自身におまかせしたいと思います。

「自己啓発」というのは英語では "Self-help" すなわち「自助」と呼ばれるカテゴリーですが、著者のこの本じたいが、「自己啓発書依存症」から脱するための「自助」を意図しているようですね。

著者自身がいかに「自己啓発書依存症」から脱して洗脳が解けたかについて語ったこの本は、著者の意図に反して(?)、皮肉なことにこの本じたいが「自己啓発書」になっているというパラドックスはあります(笑)

とはいえ、著者が「自己啓発書」を読むなと問いかけたい人たちは、残念ながらこのような活字がギッチリつまった新書本を読む読者層とは重ならないことでしょう。いわゆる自己啓発書の読者はふだん本などよまない人たちです。だからこそ、100万部超のベストセラーが誕生することもときにあるのです。

本書の存在そのものが、タイトルに過剰反応する「自己啓発書」愛好家からは、いたづらに反発を引き起こすだけのことかもしれません。じっさいに amazonレビューを見ていると、おそらく「自己啓発書」愛好家たちが書いたのであろう、感情的な反発のみがめだつ、きわめてレベルの低いレビューばかりが並んでいます。もちろん、こういった反応は、著者は織り込み済みのことでしょう。

わたしの感想はすでに書いてきたとおりですが、この本を読んでいて思ったのは、日本人が「グローバル化」=「アメリカ化」だと思い込んでいでいるという、その思い込みの深さと愚かさについてですね。

著者はアメリカの大学院を卒業して日本のIT業界で働いたのち、国連関連の仕事でイタリアで働き、現在は英国で働いているキャリアの持ち主。ヨーロッパで暮らすようになてからはじめて、日本のビジネス界がアメリカの圧倒的影響下にあることに気がついたそうです。

著者の議論をよんでいて思うのは、「自己啓発書」依存症とは、自覚症状なき「アメリカ依存症」の別名かもしれません。

グローバル社会には、アメリカ以外のさまざまな文化をもった国や民族があるというきわめて当たり前の事実に気がつく必要があります。日本もまた本来はヨーロッパとおなじく伝統社会であったので、アメリカとは価値観が異なるはずなのに・・・。

ワーク・ライフ・バランスという概念がありますが、ライフを軽視して働きつづけても、クリエイティブなものはなにも生まれません。この点はヨーロッパに学ぶべきものが多いですね。

過剰な競争をあおって若者たちをいたづらに「不安」にさせている現在の状況、みなさんもおかしいとは思いませんか?

そう思う人はこの本を読むことをすすめます。そして、「自己啓発書」を読んでも仕事ができるようになるわけではないんだよ、自己啓発書はひととおり読んだらはやく卒業したほうがいいんだよ、ということを若い人たちに、上から目線ではななく、やんわりと伝えてあげるといいでしょう。

自己啓発書好きな人たちを頭越しに否定するのでなく、なんとか「脱・自己啓発書」に導びいてあげるように理論武装する必要がありますね。そのために役に立つ本かもしれません。




目 次

まえがき
第1章-「自己啓発書」は「キャリアポルノ」だ
第2章-人生は何故「キャリアポルノ」を必要とするのか
第3章-私はどのようにしてmay_romaになったか
第4章-“労働"とは何か ・働くことが「自己実現」ではない
第5章-人生を楽しむための具体的な方法
あとがき
参考文献

著者プロフィール

谷本真由美(たにもと・まゆみ)
1975年、神奈川県出身。シラキュース大学大学院修士課程修了。コンサルティングファーム、国連食糧農業機関(FAO)などを経て、現在はロンドンの金融機関に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


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(2012年7月3日発売の拙著です)





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