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2013年12月15日日曜日

NHK大河ドラマ 『八重の桜』もついに最終回-「戦前・戦中・戦後」にまたがる女性の生涯を戊辰戦争を軸に描いたこのドラマは「朝ドラ」と同じ構造だ


NHK大河ドラマ 『八重の桜』がついに12月15日の放送の第50話で最終回。一年がたつのは早いと思うとともに、もう終わってしまうのか残念という気持ちでいっぱいです。

視聴率という点からいえば、年間平均視聴率が 14%台半ばで、歴代大河ドラマの中で下から3番目か4番目だという結果がでているそうです。

しかし、ドラマの内容やその意義という点からみれば、上から3番目までに入るといっていいのではないかと思います。少なくともわたし自身についていえば、大河ドラマを最初から最後までみたのは、何年ぶりか、いや10数年ぶりかもしれません。

歴史に埋もれていた新島八重という一人の女性を発掘し、近代精神を体現したような八重の生涯と彼女にかかわる群像をつうじてオルタナティブな日本近代史を描いたということがこのドラマの最大の成果であったといっていいいでしょう。

そのため、どうしてもオモテの史実とのすり合わせが中心となり、あまりにも短いシークエンスが多すぎて、ちょっと見落とすとわからなくなってしまう、あるいはきわめて重要なセリフが語られていてもその意味をつかめないままになってしまうという難点が生まれたことは仕方ありません。

一言でいえば盛り込みすぎた感がなくもないというわけですね。もしかすると消化不良になってしまったのかもしれません。


『八重の桜』は歴史版の「朝ドラ」であった

『八重の桜』というドラマは、ある意味ではNHK朝の連続テレ小説(・・いわゆる朝ドラ)の定番である、戦前に生まれた女性主人公が戦前・戦中・戦後を生き抜き、最後はハッピーエンドで終わるというパターンと同じです。

朝ドラの場合は戦中は太平洋戦争(・・正確にいうと大東亜戦争)ですが、『八重の桜』の場合は幕末から明治維新にかけての戊辰戦争となるわけです。戊辰戦争前と戊辰戦争後で運命がまったく暗転したのが会津藩だったわけです。

会津藩関係者にとっての戊辰戦争は、日本人全体にとっての大東亜戦争です。これは構造的に同型だということがこのことからも理解されるのではないでしょうか。

ただし、「朝ドラ」とは違うのは、主人公の八重が「銃後の守り」ではなく自ら銃を取った戦士であった点。これは世界的に見ても特異な主人公であったかもしれません。

『八重の桜』の最終回は、二番目の配偶者となった新島襄の死後、兄の山本覚馬の命によって赤十字活動にあらたな使命を見出し、日清戦争時に発揮したリーダーシップをたたえられ叙勲されることで会津藩名誉回復の端緒となったことをもってハッピーエンドとすることができました。




福澤諭吉の有名なフレーズ「一身にして二生を経る」に即していえば、『八重の桜』 のテーマは前半の「戦前・戦中」すなわち戊辰戦争前と戊辰戦争と、後半の「戦後」すなわち戊辰戦争後にわけることができます。

前半:「戦前・戦中」のテーマ
 鉄砲というテクノロジーをつじてみる西洋近代化
 近代型の価値観教育に支えられた士族層のパトリオティズム(≠ ナショナリズム)
 
後半:「戦後」のテーマ
 中央集権化による近代化
 西洋化(=欧化)とキリスト教(・・とくにアメリカのプロテスタンティズム)
 日米関係
 薩摩と会津の恩讐を超えた和解模索と「国民」の創造(=ナショナリズム)
 敗者の名誉回復のための戦い

西欧化(=欧化)とキリスト教(・・とくにアメリカのプロテスタンティズム)については、非常に重要なテーマであり、同志社大学の建学にからめて大河ドラマで取り上げたという意義はきわめて大きいというべきでしょう。これもまた多くの日本人はふだんほとんど意識することがないテーマだからです。

ドラマの後半では、一貫したテーマは勝者と敗者の融和をつうじた「国民」の創造、そして会津の名誉回復のための戦いです。

視聴者の目をつねに「敗者」の烙印を押され続けてきた会津、そして東北に向けることができたことも大きな成果であったといってよいでしょう。

このドラマはかなりの程度まで最新の史実に忠実であり、時代考証もNHKならではの安心感がありました。この点、そもそも原作が史実とは離れており、ドラマではさらにかなりの脚色がなされていた『龍馬伝』とはおおきく異なるといっていいでしょう。

会津藩という近代日本におけるオルタナティブな歴史を全面に打ち出した点、そして会津藩の名誉回復が始まったことをドラマの最終回で描くことができた点、このことだけでも従来の薩長中心の歴史観に貫かれた大河ドラマにおいて稀有の作品となったといってよいと思います。

ほんとうに意義あるドラマでありました。


NHK大河ドラマはまた定番のテーマに戻る

わたしは来年以降は大河ドラマを見るつもりはりません。またいつもの定番の戦国時代ものに戻ってしまうからです。

再来年の予定も発表されていましたが、また定番の幕末もの。今回と同様、女性が主人公になるようですが、舞台は長州であまり興味をそそられるテーマではありません。

こんなことを繰り返していたのでは、さらに視聴率で低迷を続けるのではないでしょうか。

『八重の桜』は、大河ドラマの視聴率が低迷しているから起死回生策として取り上げられたという側面もあるでしょう。視聴率の点では残念でしたが・・・。

わたしは、このドラマは再放送あるいはDVDでの視聴をつうじて歴史学習の材料として全国の方々にはつかっていただきたいものと思います。コメントしながらディテールを見ていくことでエデュテイメントとしての歴史の醍醐味を味わうことができるのではないか、と。

すでに再来年のテーマまで決まっているわけですが、NHKには再び大きなチャレンジをしていただきたいと思います。

「近代」が終わり歴史の転換期にあるいま、歴史の書き換えこそが求められているのでないでしょうか。それをぜひ大河ドラマとして実現していただきたいと願うものです。







<ブログ内関連記事>

「敗者」である会津の歴史

NHK大河ドラマ 『八重の桜』がいよいよ前半のクライマックスに!-日本人の近現代史にかんする認識が改められることを期待したい

「敗者」としての会津と日本-『流星雨』(津村節子、文春文庫、1993)を読んで会津の歴史を追体験する

いまこそ読まれるべき 『「敗者」の精神史』(山口昌男、岩波書店、1995)-文化人類学者・山口昌男氏の死を悼む

『ある明治人の記録-会津人柴五郎の遺書』(石光真人編著、中公新書、1971)は「敗者」の側からの血涙の記録-この本を読まずして明治維新を語るなかれ!
・・戊辰戦争と大東亜戦争を重ね合わせることに歴史的な意味を見出すのであれば、戊辰戦争時にはいまだ少年であった柴五郎を主人公にするのがよい。柴五郎の生涯を描けば、義和団事変など重要な国際政治を勉強する機会にもなる

書評 『山本覚馬伝』(青山霞村、住谷悦治=校閲、田村敬男=編集、宮帯出版社、2013)-この人がいなければ維新後の「京都復興」はなかったであろう
・・新島襄の盟友であった山本覚馬は旧会津藩士。かれも洗礼をうけてキリスト教徒となる

書評 『川崎尚之助と八重-一途に生きた男の生涯-』(あさくら ゆう、知道出版、2012)-幕末を生きた知られざる男の「名誉回復」は2011年から始まった!
・・但馬藩に生まれ会津藩とともに運命をともにした一人の男の生涯と名誉回復


『八重の桜』後半のテーマである日本の近代化とキリスト教、ナショナリズム

書評 『聖書を読んだサムライたち-もうひとつの幕末維新史-』(守部喜雄、いのちのことば社、2010)-精神のよりどころを求めていた旧武士階級にとってキリスト教は「干天の慈雨」であった

書評 『武士道とキリスト教』(笹森建美、新潮新書、2013)-じつはこの両者には深く共通するものがある

書評 『聖書の日本語-翻訳の歴史-』(鈴木範久、岩波書店、2006)
・・まず日本に入ってきたのは漢訳聖書であった

書評 『メイド・イン・ジャパンのキリスト教』(マーク・マリンズ、高崎恵訳、トランスビュー、2005)-日本への宣教(=キリスト教布教)を「異文化マーケティグ」を考えるヒントに

グンゼ株式会社の創業者・波多野鶴吉について-キリスト教の理念によって創業したソーシャル・ビジネスがその原点にあった!
・・同志社の伝道によってキリスト教徒となった京都府綾部の人

讃美歌から生まれた日本の唱歌-日本の近代化は西洋音楽導入によって不可逆な流れとして達成された

書評 『国家と音楽-伊澤修二がめざした日本近代-』(奥中康人、春秋社、2008)-近代国家の「国民」をつくるため西洋音楽が全面的に導入されたという事実

書評 『ナショナリズム-名著でたどる日本思想入門-』(浅羽通明、ちくま文庫、2013 新書版初版 2004)-バランスのとれた「日本ナショナリズム」入門
・・『八重の桜』にも登場する同志社中退の徳富蘇峰(=猪一郎)が民権派から国権派に無意識に転向していった過程にナショナリズムを読み取ることができるだろう




(2012年7月3日発売の拙著です)





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