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2015年1月13日火曜日

英語圏の子どもたちに刷り込まれる『マザーグース』に登場するヒツジ(sheep)と子ヒツジ(lamb)


英国の童謡集『マザーグース』(Mother Goose)については、英語学習の過程で一度は耳にしたきおとがあるだろう。Mother Goose とは直訳すれば「ガチョウの母さん」という意味だが、英国では『マザーグース』ではなく、たた単に童謡(nursery rhyme)とよばれている。

英語訳聖書とシェイクスピアが現在の「英語」をつくりあげた二大源泉だが、ほんとうに英語に通じるためには、それらにくわえて『マザーグース』や各種のコトワザなどからきた慣用表現にまで身につける必要があるとされる。

なぜなら、どの言語においても慣用的な表現やフレーズといったものは、もともとそれがどこに由来するのか日常的にはほとんど意識すらしないのにかかわらず、きわめて頻繁に無意識に使用しているからである。それは英語でも日本語でも同じことだ。

ヒツジにかんしては、西欧世界においてはキリスト教と聖書をつうじて、そのイメージが定着してきた。ヒツジ(sheep)という家畜は愚鈍な存在で、つねに群れをなしており、群れを離れると天敵のオオカミの餌食となってしまうか弱い存在でもある。そういう愚かなヒツジたちの群れを率いいる羊飼いであり、それは比喩的にはキリストのことを意味するのである。これが伝統的な考えの基盤をなしてきた。

さすが情報技術の発展した現代に生きる人間は、「愚かなヒツジ」に擬せられるほどの「愚民」ではないので、羊飼いのメタファーがどこまでアピール力のあるものかどうかわからない。とはいえ、子ども時代に耳から聞き覚えたことは、そう簡単に記憶から消えてしまうことはない。いわゆる「刷り込み」である。

だからこそ、『マザーグース』でヒツジがどう扱われているか調べてみるのも意味あることだと思うのである。


『マザーグース』におけるヒツジ

『マザーグース』はかなり早い時期から日本でも紹介されており、古くは詩人の北原白秋も『まざあぐうす』というタイトルで1930年に訳詩を発表している。

今回は、岩波文庫から出版されている『対訳 英米童謡集』(河野一郎編訳、岩波文庫、1998)をテキストにして、日本語の訳詩で「ヒツジ」が使用されているものをすべてピックアップしてみることとした。そのうえで、日本語の「ヒツジ」に該当する英語をチェックするという形をとることにする。

なお、『対訳 英米童謡集』は、『マザーグース』を中心にしながらも、クリスティナ・ロセッティなどの子どもの世界を描いた詩人の作品も含まれている。

日本語訳で「ヒツジ」という単語が登場するのは、以下の8編である。

31 おどってあげましょ、パパのため(マザーグース)
70 タフィーはウェールズの男(マザーグース)
101 ボー・ピープちゃん(マザーグース)
102 めえ、めえ、くろいヒツジさん(マザーグース)
103 白いヒツジ(クリスティナ・ロセッティ)
119 メリーの子ヒツジ(セアラ・J・ヘイル)
152 ぼうやのベッド(マザーグース)
153 夕ぐれ(マザーグース)
158 かわいい子馬をみんなみんな(マザーグース)


それぞれどういう歌詞になってるか、具体的に見ておこう。日本語訳は、編者の河野一郎氏によるものだが、日本語では子ヒツジとヒツジが厳密に区分されているわけではない。


31 おどってあげましょ、パパのため(マザーグース) Dance to Your Daddy

Dance to Your daddy,
My bonnie laddy,
Dance to Your daddy,
My bonnie lamb.
・・(以下略)・・
おどってあげましょ、パパのため
かわいいかわいいあたしのぼうや
おどってあげましょ、パパのため
あたしのかわいい子ヒツジさん


70 タフィーはウェールズの男(マザーグース) Taffy was a Welshman

・・(省略)・・
Taffy was a Welshman,
Taffy was a sham;
Taffy came to my house,
And stole a leg of lamb.
タフィーはウェールズの男
どうしようもない悪いやつ
ぼくのうちへやって来て
子羊の足をぬすんで行った


101 ボー・ピープちゃん(マザーグース) Little Bo-Peep

Little Bo-Peep has lost her sheep,
And doesn't know where to find them;
Leave them alone, and they'll come home,
Bringing their tails behind them.
ボー・ピープちゃん、ヒツジがどこかへ行ってしまった
どこにいるのかわからない
ほっておきましょ、きっと帰ってくるでしょう
しっぽをちゃんとくっつけて


102 めえ、めえ、くろいヒツジさん(マザーグース) Baa, Baa, Black Sheep

Baa, Baa, black sheep,
Have you any wool ?
Yes, sir. Yes, sir.
Three bags full.
One for my master,
And one for may dame,
And one for the little boy
Who lives down the lane.
め、め、くろいヒツジさん
羊毛たっぷり持っているの?
はい、はい、
3つの復路にたっぷりと
1つはわたしのご主人さまに
1つはわたしのおくさまに
のこりの1つは横町のおくに
住んでるちっちゃなぼうやのために


103 白いヒツジ(クリスティナ・ロセッティ) White Sheep

White sheep, white sheep
On a blue hill,
When the wind stops
You all stand still.
When the wind blows
You walk away slow.
White sheep, white sheep,Where do you go ?
白いヒツジ、白いヒツジ
青い丘の上
風がやむと
みんなはじっと動かない
風が吹くと
ゆっくりゆっくり動きだす
白いンヒツジ、白いヒツジ
みんなどこへ行くの?


119 メリーの子ヒツジ(セアラ・J・ヘイル) Mary's Lamb

「♪ メリーさんのひつじ~」で始まる、日本でもよく知られた「メリーさんのひつじ」である。これについては、フランスの童謡 「雨が降ってるよ、羊飼いさん!」(Il pleut, Il pleut, bergère)を知ってますか?に原詩の一部を引用しておいたので、そちらを参照していただきたい。


152 ぼうやのベッド(マザーグース)  Baby Beds

Little lamb, little lamb,
Where do you sleep ?
'in the green meadow
With mother sheep.'

子ヒツジさん、子ヒツジさん、
どこでねてるの?
「みどりの牧場で
かあさんヒツジによりそって」


153 夕ぐれ(マザーグース)  Evening

Hush, hush, little baby,
The sun's in the west;
The lamb in the meadow
Has laid down to the rest.
・・(以下略)・・
おやすみ、おやすみ、かわいい赤ちゃん
お日さま西に
牧場のヒツジ
ぐっすりねんね


158 かわいい子馬をみんなみんな(マザーグース) All the Pretty Little Horses

・・(省略)・・
Way down yonder, down in the meadow
There's a poor little lambie,
The bees and butterflies buzzing 'round its eyes
Poor little thing crying Mammy.
・・(以下略)・・
遠いむこうの牧場では
ヒツジの赤ちゃんひとりきり
ハチやチョウチョが目の前飛んで
赤ちゃんかわいそ、マミーマミーと泣いている



英語圏の子どもたちに刷り込まれる『マザーグース』に登場するヒツジたちは、子ヒツジ(=ラム: lamb)とヒツジ(=シープ: sheep)に区分して捉えられていることがわかる。lamb と sheep の違いに注目したいものである。

ヒツジとは縁の浅い大半の日本人にとってはピンとこない点ではあるが、日本人もまたハマチとブリは明確に区分して捉えていることを考えればけっして不思議なことではない。ハマチが成長すればブリになるので同じ魚であうのにかかわらず、日本人でもそれぞれ別個の魚と捉えている人も少なくないのではないかと思う。  

『マザーグース』には各種の日本語訳があるが、日本語訳だけを見ていては見逃してしまう点もある。だからこそ、日本語訳だけでなく、英語の原文をみておいたほうがいいのである。






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書評 『思想としての動物と植物』(山下正男、八坂書房、1994 原著 1974・1976)-具体的な動植物イメージに即して「西欧文明」と「西欧文化」の違いに注目する「教養」読み物
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(2012年7月3日発売の拙著です)











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