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2019年6月30日日曜日

書評『何が私をこうさせたか-獄中手記-』(金子文子、岩波文庫、2017)ー これほどインパクトのある本はなかなかないのではないか?


 『何が私をこうさせたか-獄中手記-』(金子文子、岩波文庫、2017)を読みながら思ったのは、これほどインパクトがって迫力のある本はなかなかないのではないか、ということだ。 

原著の出版は1931年(昭和6年)、しかも出版されたときには、著者はすでに亡き人だった。その5年前に獄中で縊死していたからだ。享年23歳。あまりにも若い死である。 

岩波書店のウェブサイトから書籍解説を引用しておこう。 


関東大震災後、朝鮮人朴烈と共に検束、大逆罪で死刑宣告された金子文子(1903~26)。その獄中手記には、無籍者としての生い立ち、身勝手な両親や、植民地朝鮮で祖母らに受けた虐待が率直に綴られる一方、どんなに虐げられても、「私自身を生きる」ことをあきらめなかった一人の女性の姿がある。天皇の名による恩赦を受けず、獄中で縊死。23歳。 


アナーキストとして獄中での転向はいっさい拒否、いったんは死刑宣告を受けたが、無期懲役に減刑されていた。 

「何が私をこうさせたか」とは、あまりにも英文直訳調のバタ臭いタイトルだが(・・このタイトルを初めて知ったのは高校時代のことで、『和文英訳の修行』という参考書に書かれていた)、インパクトのある内容は文体ともあいまって、読んでいると、ぐいぐい引き込まれてしまう。具体的につづられる理不尽な虐待の数々。だが、踏まれても踏まれても立ち上げる生命力。そいて「自分」が「自分」でありたいという魂の叫び。 

判事から「過去の経歴について何か書いて見せろ」と言われて書き上げた「獄中手記」である。自伝である。おそらく教育水準の進んだ現在でも、ここまで自分について骨太に書くことの出来る人は男女を問わず、なかなかいないのではないか? 

実際は、「何が私をこうさせたか」については書かれていない。それを書いたら裁判で不利になるためだろう。手記に書かれているのは、生涯の同志となり、一緒に検挙された朴烈との出会いまでの半生である。

書かれているのは事実についてだが、へたな小説など及びもしない文学作品といっていいのではないか、そんな風に思うのである。 

男とか女とか関係なく、政治思想にかんする立ち位置が右とか左とか関係なく、文学として読む価値がある。こんな時代だからこそ、読む価値がある。





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