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2020年3月21日土曜日

書評 『民警』(猪瀬直樹、扶桑社、2016)-オリンピックという大規模イベントを「警備」という観点から見る


ノンフィクション作家・猪瀬直樹氏の『民警』(扶桑社、2016)を読んだ。

「民警」とは、民間警備会社の警備員のことだ。著者の造語だろう。公権力の担い手で法執行官である警察を補完する存在だ。

元東京都知事の猪瀬氏は、副知事時代に東京オリンピックの誘致に奔走したが、その経験が本書を生んだといえよう。というのは、2020年東京オリンピックでは、セキュリティ要員として、警察官2万1千人、消防・緊急隊6千人のほか、民間警備員が1万4千人が動員される計画になっているからだ。

都知事辞職を余儀なくされた猪瀬氏の作家復帰第1作がこのテーマになったのは、東京都知事として、ソフト面での計画立案に関わっていたからだろう。それにしても、いい着眼点ではないか。

パンデミックとなった新型コロナウイルスの影響で、2020年東京オリンピックがスケジュールどおり開催される可能性がかなり低くなっているが、とはいえ「中止」にならない限り、「延期」という形で開催される可能性は高い(*)


(*注)この文章を書いている時点ではこのような状態だったが、2020年3月24日に安倍首相がIOC委員長との電話会談の結果、1年以内に延期で決定した。だだし、具体的なスケジュールについては現段階では未確定である(2020年3月25日 記す)


オリンピックに参加するのは選手だけではない。もちろん、観客の存在抜きに大規模イベントは成り立たないが、安全で安心な開催を支えるのが警察官や民間警備員の存在だ。

本書のキモは、日本の民間警備会社の二強であるセコム(旧 日本警備保障)とALSOK(綜合警備保障)の出自と現在に至る軌跡の交錯だろう。この2社は、ともに1964年東京オリンピックの前後に誕生した会社だ。東京オリンピックという大規模イベントが民間警備会社の誕生の契機となったのだ。

セコムがまったくあたらしいマーケットを日本で開拓した民間企業であるのに対し、ALSOKは元警察官僚が官僚の総力をあげて立ち上げた会社だ。民と官。この出自の違いが、現在にも大きな影響を与えているというストーリー展開が興味深い。本書は、知られざる日本現代裏面史でもある。

2020年東京オリンピックの開催がどうなるかは別にして、こういう観点からオリンピックを考えるのも意味あることだろう。






目 次
序章 遂行 
  「官」の隙間を埋める "民警" とは? 
 2020東京五輪、テロへの不安 80%
  1964年の古戦場 
第1章 勃興 
 「社会システム産業」その発端 
 吉田茂が背を押した綜合警備保障創業 
 湧き出した日本版 CIA 構想 
第2章 失墜 
 権力闘争に屈した「使命感」 
 内調の崩壊、雲散霧消 
第3章 萌芽 
 日本初の警備会社を興した二人の若者 
 価値観の転換、少年期の終戦体験 
 終戦三日後に暗殺された神父の謎 
第4章 反発 
 進駐軍への嫌悪 
 家業への抵抗、独立心 
第5章 開拓 
 「警備業」という新しい産業 
 民間警備業の礎、ピンカートン探偵社 
第6章 五輪 
 東京五輪の準備と選手村警備 
 ライシャワー刺傷事件が落とした影 
 『ザ・ガードマン』の恩恵 
第7章 交錯 
 初代内閣調査室長の思惑 
 労働争議、学生運動の高まり 
 急成長、不祥事頻発す 
第8章 膨張 
 機械警備転換への必然 
 連続射殺犯・永山則夫 
 反社の参入、「必要悪」 
終章 光明 
 民間刑務所の可能性 
 ITの進展 
 見えないテロリスト 
 110番から119番の世界へ 

『民警』執筆の背景 
あとがき 
参考文献 


<ブログ内関連記事>

書評 『民間軍事会社の内幕』(菅原 出、 ちくま文庫、2010)-近代世界の終焉と「傭兵」の復活について考える ①

書評 『黒船の世紀 上下-あの頃、アメリカは仮想敵国だった-』 (猪瀬直樹、中公文庫、2011 単行本初版 1993)-日露戦争を制した日本を待っていたのはバラ色の未来ではなかった・・・

書評 『戦争・天皇・国家-近代化150年を問い直す-』(猪瀬直樹・田原総一郎、角川新書、2015)-「日米関係150年」の歴史で考えなければ日本という国を理解することはできない

書評 『昭和16年夏の敗戦』(猪瀬直樹、中公文庫、2010、単行本初版 1983)-いまから70年前の1941年8月16日、日本はすでに敗れていた!

書評 『東條英機 処刑の日-アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」-』(猪瀬直樹、文春文庫、2011 単行本初版 2009)-精神の深いレベルで傷を抱えている日本と日本人を象徴する天皇陛下


 
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