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2021年1月18日月曜日

映画『マルクス・エンゲルス』(2016年、ドイツ・フランス・ベルギー)― 若き日のマルクスをエンゲルスとの出会いと盟友関係のなかで描いた「青春映画」?




『サピエンス異変-新たな時代「人新世」の衝撃』(ヴァイパー・クリガン=リード、飛鳥新社、2018)という本を読んでいて、19世紀半ばに「産業革命」がもたらした労働災害を描いたエンゲルスの古典的ルポルタージュ『イギリスにおける労働者階級の状態-19世紀のロンドンとマンチェスター』が何度も言及されていたので、ふとこの映画の存在のことを思い出したのだ。公開された際に見に行かなかったのは岩波ホールだから。あそこはタバコ臭いから嫌いだ(笑) 

原題がフランス語で "Le jeune Karl Marx" (英語なら The Young Karl Marx)とあるように、1818年生まれのカール・マルクスが、あの「マルクス」になるまでの、『共産党宣言』(1848年)発表までの若き日の20歳台のマルクスを描いた「青春映画」(?)だ。日本語版のタイトルが「マルクス・エンゲルス」になっているのは、日本ではその方が通りがいいからだろう。 

なかなかよくできた映画だと思う。117分が短く感じられる、エンターテインメントとして面白い作品であった。




舞台は大陸ヨーロッパと英国。19世紀半ばのプロイセン王国ケルンから始まり、フランスの首都パリ、産業革命後のイングランドは工業都市マンチェスターと首都ロンドン、そしてベルギー王国のブリュッセル(・・ベルギーは1830年に独立した新興国)。セリフはマルクスとエンゲルスの母語であるドイツ語、フランス語、英語である。 

大学で哲学を専攻した急進派ジャーナリストで、改宗ユダヤ人の弁護士の息子であったカール・マルクス。経営者の跡取り息子で、マンチェスターにある紡績工場の代理を務めていたブルジョワ階級のフリードリヒ・エンゲルス。生まれも育ちも真逆のような2人であった。

共通しているのはドイツ人であることと、労働問題に多大な関心を持っていたということだったが、この2人がパリで再会し、生涯の盟友となったことで、その後の近現代史のコースができあがってしまったのである。それは、レ・ミゼラブル』のラストシーンから10数年後のパリだ。 




私自身はもともと「反共」の家に生まれ育ったこともあって、社会主義はまだしも、共産主義には断固反対の立場である。 だが、それはそれとして、マルクスとエンゲルスについては、知っていくべき「常識」である。この映画は、拙著『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』の副教材(?)としてもいいくらいだ。 拙著でもエンゲルスの『イギリスにおける労働者階級の状態』に言及している。

というのは、マルクス本人とマルクス主義は別物だからだ。ブッダとブッダ主義が別物、イエスとキリスト教が別物であるのと同じ事だ。エンターテインメントとして楽しめばいい。いつの時代でも若者が反抗するのは当然だからだ。映画の終わりにボブ・ディランの Blowing in the Wind が流れるのは、製作者の時代観がもろにでている。 

とはいいながら、この映画が、マルクス主義がもたらした人類史上の災難に「免疫」をもたない若者たちへの勧誘として使われることには反対だ。格差問題など解決しなければならない問題が山積しちるが、マルクス主義はすでに失敗しただけでなく、人類に大きな災難をもたらしたことも同時に知らせなくてはならない。

結論としては、基本的にエンターテインメント作品ではあるが、製作者の意図はよく読み込んだ上でエンターテインメント作品として楽しむべきだろう。 

ただ私として残念なのは、おなじくドイツ出身の改宗ユダヤ人の詩人ハインリヒ・ハイネとのパリ時代の交流が描かれていないことだ。 

プルードンやバクーニンなど、高名な社会主義者との交友を中心に据えた脚本の必要上であろうが、たいへん残念なことであった。若きマルクスを知る上で、同郷の先輩ハイネとの交友が欠かせないはずだからだ。

かつてハイネといえば、日本では「愛を語る抒情詩人」という位置づけだったが、ハイネが体制批判を社会風刺の詩や論文で行っていたことが、かならずしも知られていないのも残念なことだ。だからドイツを脱出して、フランスで人生を終えることになったのである。

ハイネが読まれなくなっているのは残念だ。いや、そもそもドイツ文学じたいがもう読まれなくなって久しいのか・・





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2019年5月19日日曜日

書評『水運史から世界の水へ』(徳仁親王、NHK出版、2019)ー 歴史学から世界の水問題へ「文理融合」の実践



水運史から世界の水へ』(徳仁親王、NHK出版、2019を読んだ。水関連の講演8本が収録されている。この本の存在を知ったのは、紀伊國屋書店新宿本店で4月27日に出版された拙著『超訳自省録』と並んで「平積み」されていたから。

帯に「皇太子殿下のご講演の記録」とあるのは、出版が即位前の4月であったためだ。天皇に即位しても、ご本人が徳仁(なるひと)親王であることに変わりない。即位後は帯は新しいバージョンに取り替えたのだろうかしらん?

内容は、もともとの学習院大学の学部時代の専門である「日本中世水運史」関連の講演が3本、英国のオックスフォード大学に留学して研究テーマとした「産業革命時代のテムズ河の水運史」関連が2本、「3・11」の東日本大震災の津波災害を機会にあらたに研究を始めた「水災害とその歴史」、そして「水問題」にかんする講演が2本。「世界の水問題の現状と課題」は、国連での基調講演をもとにしたもの。もともとの英文による講演も収録。

『水運史から世界の水へ』というタイトルにあるように、もともと歴史学から始まった研究が、地球環境問題まで視野が拡大し、視点が増加していった経緯がよく理解できる構成になっている。まさに「文理融合」モデルのお手本ともいうべき内容だ。この講演録を読んでいると、天皇陛下の問題意識のあり方が手に取るようにわかる。

このような問題意識を持たれている方が、日本国の「象徴」となられたということは、グローバル時代に生きる日本人にとって、大きなソフトパワーになることは間違いない。ありがたいことだ。

もちろん、いちばん面白かったのは、オックスフォード大学時代の研究と留学生活の回想を語った講演「オックスフォード大における私の研究」。かなり緻密な研究をされていたのだなあという思いとともに、たいへん貴重な経験をなされたのだなあという思いを深くする。

内容的には、かなり専門的な話にも踏み込んでいるが、講演なので読みやすい。天皇陛下のご著書ではなくても、読む価値のある本であると思う。21世紀の現在に生きる人間にとって、「水問題」は避けて通れない問題であるからだ。一読を薦めたい。


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目 次  
はじめに
第1章 平和と繁栄、そして幸福のための水 
第2章 京都と地方を結ぶ水の道-古代・中世の琵琶湖・淀川水運を中心として 
第3章 中世における瀬戸内海水運について-兵庫の港を中心に
第4章 オックスフォードにおける私の研究
第5章 17~18世紀におけるテムズ川の水上交通について
第6章 江戸と水運
第7章 水災害とその歴史-日本における地震による津波災害をふりかえって 
第8章 世界の水問題の現状と課題-UNSGABでの活動を終えて
主な参考文献
参考収録 Quest for Better Relations between People and Water


著者プロフィール
徳仁親王(なるひと・しんのう)
昭和35年(1960)生まれ。昭和57年(1982)、学習院大学大学院人文科学研究科博士前期課程入学。昭和58年(1983)6月から昭和60年(1985)10月まで英国に滞在し、オックスフォード大学大学院に在学。昭和63年(1988)、学習院大学大学院人文科学研究科博士前期課程修了。平成3年(1991)、オックスフォード大学名誉法学博士。平成4年(1992)より学習院大学史料館客員研究員。平成15年(2003)、第3回世界水フォーラム名誉総裁。平成19年(2007)から平成27(2015)まで国連水と衛生に関する諮問委員会(UNSGAB)名誉総裁。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの) 言うまでもなく、2019年5月1日に即位された。



<ブログ内関連記事>

本の紹介 『鶏と人-民族生物学の視点から-』(秋篠宮文仁編著、小学館、2000)-ニワトリはいつ、どこで家禽(かきん=家畜化された鳥類)になったのか?

「城下町・古河」をはじめて歩いてみた(2019年5月5日)-日光街道の街道筋で利根川と渡良瀬川が合流する地域にある古河は、かつて交通の要衝だった

公開講演会 『海のことは森に聞け-コトの本質に迫るには-』(畠山重篤)にいってきた(国際文化会館 2012年11月17日)-「生きた学問」とはまさにこのことだ!

念願かなって「地下宮殿」を見学してきた(2018年8月11日)-世界最大級の「首都圏外郭放水路」がすごい。百聞は一見にしかず!


*******

今年2011年の世相をあらわす漢字は 「水」 に決まり-わたしが勝手に決めました(笑)

かつてバンコクは「東洋のベニス」と呼ばれていた・・


バンコクへの渡航は自粛を!-タイの大洪水と今後の製造業立地の方向性について

『龍と蛇<ナーガ>-権威の象徴と豊かな水の神-』(那谷敏郎、大村次郷=写真、集英社、2000)-龍も蛇もじつは同じナーガである

(2019年6月4日、2024年8月26日 情報追加)


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2015年10月25日日曜日

ドイツが官民一体で強力に推進する「インダストリー4.0」という「第4次産業革命」は、ビジネスパーソンだけでなく消費者としてのあり方にも変化をもたらす


2015年に入ってから、いい意味でも悪い意味でも、ドイツの存在感がさらに巨大化しつつある。

政治経済的にはユーロ問題をめぐっての債務国ギリシアとの確執、そしてシリア難民の欧州流入問題など、次から次へと発生する国際問題。そのいずれにおいても中心にあるのはドイツの存在である。中欧の大国ドイツは、経済面での欧州の中心であるだけでなく、いまや政治面でも欧州の中心にあるのだ。

2011年3月11日の東日本大震災が福島で原発問題を引き起こした際、ドイツ人のパニックぶりと日本に対する不当なまでの誹謗中傷に違和感と不快感を抱いて以来、個人的にドイツへの違和感が深まる一方であったが、2015年にはフランスを代表する知識人の一人であるエマニュエル・トッド氏の『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる-日本人への警告-』(文春新書、2015)が日本でベストセラー化するなど、大国化するドイツへの違和感は日本でも増加中である。

だが、人口問題を中心に考察する人類学者のトッド氏の議論に欠けているのは、経済大国ドイツの基盤にある製造業大国ドイツについての考察だ。専門外のことであるから無理もないが、ビジネスパーソンにとっては物足りない想いを抱くのは当然である。経済大国ドイツの基盤は日本と同様にものづくりの製造業にある

ここ数年のドイツ製造業の動きで無視できないのが、いわゆる「インダストリー4.0」である。製造業こそがドイツの存在基盤と考えるドイツ産業界とドイツ政府がタッグを組んで官民一体で強力に推進している運動のことである。

「インダストリー4.0」は、18世紀英国ではじまった「産業革命」(インダストリアル・レボルーション)の流れのなかに製造業の未来を位置づけたものだ。まずは蒸気機関による第1次産業革命、20世紀初頭には電気エネルギーよる第2次産業革命、そして20世紀後半のコンピューターによる自動化の第3次産業革命を経て、第4次産業革命である「インダストリー4.0」に至る。


(インダストリー4.0は第4次産業革命 Wikipediaより)


「インダストリー4.0」のキーワードは、IoT(アイオーティ)である。IoT とは Internet of Things の略で、日本では「モノのインターネット」と呼ばれている。モノどうしをインターネットでつなぐという発想だ。むずかしくいえば「ユビキタス・コンピューティング」のことである。「遍在するコンピュータ」。

製造業においては、この IoT によって自社工場内だけでなく、異なる企業の工場すらインターネットでつなぐことによって、人間を介在させることなしに機械どうしがリアルタイムで「会話」し、製造にかんしてきわめて柔軟な対応を可能とする。その結果、顧客ごとに異なるニーズへの対応が可能となる。多品種少量生産は、まだ生産者側の発想であったが、「インダストリー4.0」時代は「個」客化への動きへの対応が、「考える工場」化によってほぼ完全に達成されることにある。

『まるわかりインダストリー4.0 第4次産業革命』(日経ビジネス、日経BPムック、2015)によれば、製造業大国ドイツの危機感が「インダストリー4.0」推進の根底にある、という。

ものづくりにおいては、日本を中心としたアジア勢力に押され、インターネットにかんしては米国に太刀打ちできないというい追い詰められ感。さらに人口減少のなか、生産性を向上し付加価値が高い製品を開発し続けていかなければ製造業立国として生き残れないという危機感が、「モノのインターネット」による製造業革命という、きわめて野心的な構想へとドイツ産業界を向かわせることになったのである、と。


(出典: 『まるわかりインダストリー4.0 第4次産業革命』(日経ビジネス)

「インダストリー4.0」の本質は「モノのインターネット」にあるわけだが、実現するためには企業や産業を超えて規格の統一が必要になってくる。EUの製造業の中心はドイツだが、そのドイツが規格づくりでリードすれば、それがそのまま欧州規格となり、さらには世界を制覇できるという発想なのである。聞き捨てにはできないではないか!

ドイツ産業を支えているのは、ニッチ市場に特化して世界シェアを占める無名のミッテルシュタンミッテルシュタント(Mittelstand:中規模企業)だが、シーメンスやボッシュなどの製造業の大企業やドイツを代表するソフトウェア企業SAPが推進する「インダストリー4.0」の問題意識を当事者として共有する動きが広がっているという。まさにドイツ産業をあげてのうねりとなりつつある

『まるわかりインダストリー4.0 第4次産業革命』はさすがに、ビジネス関係での圧倒的な取材力をもつ日経ビジネスによるものだけに、官民一体で推進するドイツ以とは異なり、民間企業中心にグループ化を進めている米国の動きや、3Dプリンターが象徴的である製造業そのものの大変化の動きをカバーしている。

「モノのインターネット」の本質を、industrial internet だと喝破する GE のイメルト会長や、 3Dプリンターによる製造の本質が additive manufacturing であることなど教えられうことも多い。とくに米国を代表する企業で教科書的存在である GE の変化対応については読ませる内容である。「インダストリー4.0」に本腰を入れている GE が、変化対応を全社員に徹底させるために、企業理念を従来の「GEバリュー」(GE Values)から「GEビリーフス」(Belifs)に変えたことなど、きわめて重要な内容だ。

ドイツの取り組みと米国の取り組みはまさに対極にあることがわかる。ドイツは産業界をあげて政府との官民一体であるのに対し、米国はあくまでも民間主導の企業グループ化による仲間づくりでの合従連衡。産業界においても、ドイツと米国はライバル関係にあることは言うまでもない。

ドイツ型と米国型のどちらに軍配があがるか、高みの見物とはいかないのが日本の立場だが、日本の対応は危機感の認識と覚悟に求められることとなろう(*注を参照)。

製造業にかかわりのない人にとっては関心のない話かもしれないが、「インダストリー4.0」の動きは、ビジネスパーソンやワーカーだけでなく、消費者としてのあり方にも変化をもたらすものである。

その意味で、とくに一般読者こそ概要だけでも知っておく必要があると思う次第だ。「インダストリー4.0」にかんしては、さまざまな読み方と捉え方が可能だろう。


(*注) 「第四次産業革命」で米独が連合(『選択』2016年6月号)によれば、米国のオバマ大統領はドイツのハノーファーで開催されたハイテク産業見本市の CeBit に出席し、ドイツのメルケル首相とともに「大西洋を横断した製造業連携を強化しよう」とうたいあげた、とある。 ドイツか米国かではなく、ドイツと米国は手を握ったのである。国際規格の主導権はドイツと米国によって握られたことになる。日本の製造業にとっては激震である。(2016年7月20日 記す)





『まるわかりインダストリー4.0 第4次産業革命』(日経BPムック、2015) 目次

【プロローグ】 ゼロから分かる「第4次産業革命」
 中核企業3社が語る これがインダストリー4.0だ
 トヨタ生産方式とはここが違う

【Chapter 01】インダストリー4.O徹底リポート 日本を脅かす第4次産業革命 
 〔PART 1〕 「日本抜き」の産業革命が始まる
 〔PART 2〕 革命の火蓋切ったドイツの焦りと決意
 〔PART 3〕 インドが仕掛ける下克上
 〔PART 4〕 GEの独走を許すな モノ作りの頭脳争奪戦
 〔PART 5〕 トヨタが“下請け”になる日
 〔PART 6〕 馬車のままでは置き去りにされる
 ≪INTERVIEW≫「製造業の覇権は渡さない」 ローランド・ベルガー氏 独ローランド・ベルガー名誉会長兼創業者

【Chapter 02】インダストリー4.0が変えるモノ作りの未来 GEの破壊カ 
 〔INTRO〕 共闘する2人の巨人 全産業を変革する
 〔PART 1〕 製造業を激変させる3つの切り札
 〔PART 2〕 人こそ変革の原動力 企業哲学まで刷新
 〔PART 3〕 日本企業にも好機 GEを使い倒せ
 ≪INTERVIEW≫ 「パンチを繰り出し続ける」 ジェフ・イメルト氏 米GE会長兼CEO 

【Chapter 03】「4.0」時代を支える新技術 3D生産革命 クルマもスマホも印刷できる 
 〔PART 1〕 米国発、「印刷」革命
 〔PART 2〕 モノ作りの常識を変える3つの「P」
 〔PART 3〕 全てに好機と危機
 ≪INTERVIEW≫ 「デジタルが全てを壊す」 ピエール・ナンテルム氏 米アクセンチュア会長兼CEO

【Chapter 04】「4.0」がつくる新しい社会 変わる「仕事」「教育」「モノ」
 人と機械の関係 「4.0」時代、働き方はどう変わる?
   米国先進事例 人材育成や企業組織にも変革の波 標準化の新潮流
 「4.0」時代に重要な「標準化」での勝利
 CESリポート IoT時代の新型家電 自動車
 CESで具体化した インテルVSクアルコムの新たな戦い

【Chapter 05】「4.0」の深謀遠慮 先進国ドイツの真意はここにある 
 ドイツが「第4の産業革命」を官民一体で進めるワケ
 「第4の産業革命宣言」から見えてくる「パラダイムチェンジ」の姿
 インダストリー4.0がもたらす光と影
 「機動力」を武器にした競争力強化を急げ


PS あらたに「インダストリー4.0は第4次産業革命」という図を挿入しておいた。これでより理解が深まることだろう。(2023年8月9日 記す)

PS2 ロシアが仕掛けた「ウクライナ戦争」(2022年2月~)によって、低価格で安定供給されてきたロシア産ガスの供給が止まった。ロシア産ガスに依存してきたドイツ産業の陰りが見えている。今後のドイツ産業の行方については注視していく必要がある。(2023年8月9日 記す)



<関連サイト>

インダストリー4.0 実現戦略 プラットフォーム・インダストリー4.0 調査報告 Umsetzungsstrategie Industrie 4.0 Ergebnisbericht der Plattform Industrie 4.0 (翻訳版) (JETRO、2015年10月、Pdfファイル版)

「第四次産業革命」で米独が連合(『選択』2016年6月号)
・・オバマ大統領はドイツのハノーファーで開催されたハイテク産業見本市の CeBit に出席し、メルケル首相とともに「大西洋を横断した製造業連携を強化しよう」とうたいあげた。 ドイツか米国かではなく、ドイツと米国は手を握ったのである。日本の製造業にとっては激震である
 
(2016年6月21日 情報追加)






<ブログ内関連記事>

ドイツ関連

書評 『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる-日本人への警告-』(エマニュエル・トッド、堀茂樹訳、文春新書、2015)-歴史人口学者が大胆な表現と切り口で欧州情勢を斬る

『ユーロ破綻-そしてドイツだけが残った-』(竹森俊平、日経プレミアシリーズ、2012)-ユーロ存続か崩壊か? すべてはドイツにかかっている
・・「いい意味でも悪い意味でも、いまやドイツは欧州の中核にある。ドイツがいかなる行動をとるかによってユーロの運命は決まるのである」

ドイツを「欧州の病人」から「欧州の優等生」に変身させた「シュレーダー改革」-「改革」は「成果」がでるまでに時間がかかる

書評 『あっぱれ技術大国ドイツ』(熊谷徹=絵と文、新潮文庫、2011) -「技術大国」ドイツの秘密を解き明かす好著

書評 『自動車と私-カール・ベンツ自伝-』(カール ベンツ、藤川芳朗訳、草思社文庫、2013 単行本初版 2005)-人類史に根本的な変革を引き起こしたイノベーターの自伝


ものづくり・製造業関連

TIME誌の特集記事 「メイド・イン・USA」(2013年4月11日)-アメリカでは製造業が復活してきた

書評 『日本式モノづくりの敗戦-なぜ米中企業に勝てなくなったのか-』(野口悠紀雄、東洋経済新報社、2012)-産業転換期の日本が今後どう生きていくべきかについて考えるために

書評 『製造業が日本を滅ぼす-貿易赤字時代を生き抜く経済学-』(野口悠紀雄、ダイヤモンド社、2012)-円高とエネルギーコスト上昇がつづくかぎり製造業がとるべき方向は明らかだ

書評 『ものつくり敗戦-「匠の呪縛」が日本を衰退させる-』(木村英紀、日経プレミアシリーズ、2009)-日本の未来を真剣に考えているすべての人に一読をすすめたい「冷静な診断書」。問題は製造業だけではない!

書評 『グローバル製造業の未来-ビジネスの未来②-』(カジ・グリジニック/コンラッド・ウィンクラー/ジェフリー・ロスフェダー、ブーズ・アンド・カンパニー訳、日本経済新聞出版社、2009)-欧米の製造業は製造機能を新興国の製造業に依託して協調する方向へ


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