2009年12月4日金曜日

タイのあれこれ (26) タイ好きなら絶対に必携のサブカル写真集 Very Thai (とってもタイ)




 バンコク在住の日本人は、タイ語はもちろんのこと英語の書籍も読む人は少ないでしょうが、 Very Thai: Everyday Popular Culture は絶対のイチオシですね!!

 著者 Philip Cornwell-Smith も写真家 John Goss もファラン(=白人)ですが、実にタイ社会のなかに入り込んで、タイの大衆文化を網羅的に拾い上げて、一冊の百科事典のようなビジュアル本に仕立て上げました。

 2005年にタイで初版がでたこの本は、バンコクでは紀伊国屋書店でも、Asia Books でも英語書籍を扱っている書店なら、山のように平積みになっているので、すぐににわかります。

 価格はB995、日本円で3,000円弱ですが、カラー写真が満載で、これ一冊でタイのサブカルチャーはすべて網羅している、といってもいいでしょう。

 タイ・サブカルチャー百科事典といってもいいような本に仕上がっています。写真集として眺めるだけでもいいでしょう。amazon.co.jp から購入することも可能です。

 『美しき日本の残像』(新潮社、1993 現在は朝日文庫 2000)の著者アレックス・カー(Alex Kerr)が序文のなかで、「この本こそ、私がタイにはじめて来たとき欲しかった本だ。この本を読むことで長年の疑問が氷解した」といってるほどの内容です。

 日本で育ち、米国の大学で美術史を学んだ後、京都の亀岡に住んでいた、アジア美術愛好家のアレックス・カーは、もはや住む場所としては日本を見限って(?)、タイ北部・旧ランナー王国の古都チェンマイに移住しましたが、現在は京都とバンコクを拠点に活動しているようです。おそらくこのアメリカ人は、日本とタイに相通じるものを見いだしているのでしょう。

 そんなアレックス・カーの新著が、Bangkok Found: Reflections on the City, River Books, 2010 です。バンコクの英文出版社からの出版なので、来年初頭にも店頭に並ぶことでしょう。楽しみです。

 『とってもタイ-大衆文化百科事典-』とでも日本語版タイトルをつけておきましょうか、本書はアレッス・カーのいうように、私の長年もっていた疑問にほぼすべて答えてくれる内容をっています。こういう本がなぜ日本人には書けないのか?不思議ですねー。

 前書きによれば、本書の成り立ちと構成は、写真家が自分の興味のままに撮影した大量の写真に、著者が項目を整理し、解説文をつけたものとのことです。二人ともバンコクに立ち寄ったが最後、タイのとりこになってしまい、以後ずっとバンコクに在住しているようです。

 項目をあげておきましょう。大項目は、Street(ストリート)、Personal(パーソナル)、Ritual(儀礼)、Sanuk(サヌック:タイ語で心地よさ、の意味) の4つ。
小項目は66項目、せっかくなので、小項目のタイトルを日本語に訳して紹介しておきましょう。

 
◆ストリート
  ●串ものの食事-ストリート・フードはいつも手近なところにある
  ●ビニール袋につめたドリンク-のどの渇きはジュース、お茶、ハーバル風味で
  ●シュガー-甘さに充ち満ちた国
  ●ピンクのティッシュ-説明されたテーブルトップ
  ●虫の楽しみ-農民にとってのタンパク源が都市住民のスナックに
  ●屋台の小売-屋台は動き、経済も動く
  ●ロングテール・ボートとバージ-水上生活の民の本能が地上生活を導く
  ●トラック・アートとバス・アート-車輌をカスタマイズして美化し、防御する
  ●モーターサイのジャケット-バイクでホップし、交通渋滞をビートする
  ●トゥクトゥク-モーター駆動の三輪車は国宝モノ
  ●フェアリー・ライト-キラキラ光る電球と蛍光灯で夜を彩る
  ●グレコローマン様式の建築-クラシックな上品さでタイをドレスアップ
  ●ゲートと鉄格子-境界線を美しくマーキングする
  ●守衛-制服を着た whistle-happy man (警笛を鳴らすのが好きな男?)
  ●盲目の音楽バンド-ストリートに喜びをもたらす
  ●路上の動物-都会の動物園:ネコ、イヌ、トリ、ヘビ、ゾウ
  ●青いパイプと垂れ下がる電線-見た目の汚染というヘンなアート
  ●ゴミのリサイクル-フリーランスのゴミ拾いが廃棄物を最大利用

 ◆パーソナル
  ●制服(ユニフォーム)-みんなと同じ格好をする喜び
  ●ハイソ-ハイソサエティの内幕:著名なファミリーと成金
  ●ニックネームと名刺-タイ人が互いをどう呼び合うかは、幸運か、リズミカルか、かわいいかは別として重要事項
  ●女性の身だしなみ-女性のドレスは非常に重要で、ある種の国家安全保障でもある
  ●男性の身だしなみ-男にとっても見た目は重要
  ●カトゥーイとトムディー-男女を超えた"仮装の天使たち"
  ●マッサージ-癒しとリラックスのための古来の技法
  ●鼻スースー(インヘイラー)-アロマセラピーは日々の習慣
  ●鼻キッス-ロマンティックだろうが、慇懃だろうが、かわいいものだろうが、hom kaem はハートを持ち上げる
  ●村落の室内装飾-枕、ジグソー、滝のポスターがタイの地方を慰める
  ●楽しみの家具-イスをリメイクする・・タイ人の座り方
  ●タイ語アルファベット表-ガイは鳥、カイは卵
  ●鉢植えガーデン-幸運とライフスタイルのための持ち運べる植物
  ●プードル・ブッシュ-ファンシーな刈り込み植物(トピアリー)と小さなロック・ガーデン
  ●かわいい-マンガのマスコットというサブカルチャー
  ●タイ・ドリーム-タイ人のライフスタイルはショッピング・モールへ、郊外へ、ゴルフ場へ
  
 ◆儀礼
  ●ロイヤル・ポートレート-歴代の国王と現国王の肖像画がタイ人のアイデンティティ感覚を表現している
  ●ガルーダ(神鳥)-王室の認可のもと、鳥人間が銀行を、会社を、電柱を装飾する
  ●曜日ごとのテーマ-曜日の色と八曜日を生き抜くためのガイド
  ●タンブン・セット-スーパーマーケットの聖なるコーナーにある、お布施のためのお買い物
  ●お守り収集家-幸運のお守りはライフスタイル
  ●タクシーの祭壇-自動車保険としてのカラフルなスピリチュアル・ワールド
  ●マジカル・タットゥー-肌に刻んだ呪文が無敵にする
  ●パラッ・キッ(Palad Khik)-男根の形をした魔除けのもつ永遠のチカラ
  ●商売繁盛のお守り-商売人はマジックを使ってお金を使わせる
  ●ナン・クワッ(Nang Kwak)-手招きレディー人形が商売繁盛と愛をもたらす
  ●ラッキーナンバー9-数字学はデジタル時代に進化する
  ●運勢占い-星占い、カード占い、ほくろ占いで知る運勢
  ●霊媒とシャマン-超能力をもったコンサルタントは古代の癒しを現代社会にもちこむ
  ●ゴースト・ストーリー-幽霊屋敷、休らかでない魂と超自然的メロドラマ
  ●モダンな祠-精霊は現代生活のテンポにペースをあわせる

 ◆サヌック(・・タイ語で楽しいことを意味する名詞)
  ●お寺の市(いち)-一切合切すべてが集まる場所
  ●お祭り-古代の祭式、作られた伝統、パーティ用に輸入されたもの
  ●賭博-富くじ、ポーカー賭博にサッカー賭博
  ●動物コンテスト-水牛、カブトムシ、闘鶏、サカナ
  ●ムエタイ-タイのキックボクシングはリングサイドの儀式からグローバルなポップ・カルチャーの偶像へと蹴り込み、殴り込む
  ●ビューティー・クイーン-一日一回以上開催されるページェント、美は真剣勝負
  ●ルーク・トゥン(タイ演歌)とモーラム(民謡)-タイのカントリー・ミュージックは古代の歌謡スタイルをラスヴェガス風にけばけばしく
  ●コメディ・カフェ-"微笑みの国"を微笑ませるものは
  ●ウィスキー・ミキサー-ナイトライフのエチケット:シェアするドリンク、クラブ、壁のないバー
  ●レッド・ブル-スタミナドリンクが国中を燃料補給
  ●ヤア・ドン(Yaa Dong)-葉っぱ系ドラッグとアルコールとセックスが一本の瓶のなかに
  ●海辺のサヌック-ビーチの人生
  ●マルチ・タレントのセレブたち-ファッション、ポップ、演技・・・すべて同時に有名になる方法
  ●ソープ・オペラ-お決まりの内容の連ドラがタイのシークレット・ライフを明るみに出す
  ●生活の歌(=タイのロックバンド「カラバオ」)-1970年の学生反乱のサウンドトラック、タイのフォーク・ブルースは関連をつづける
  ●インディー化するT-Pop-いかにして大衆向けエンターテインメントはポップに向かい、サブカルチャーを産みだし、アートになろうとしているか


 以上で紹介を終わります。詳細にみていくと日本の大衆文化との共通性や違いがわかって、非常に興味深いがあります。
 タイ好きな人には、この写真集は必携です。ぜひ家庭に一冊!

 また、これをもって、長々と描き続けてきた 「タイのあれこれ」 は、とりあえず終了といたします。

 タイはもちろん好きで、おそらく一生かかわることになると思いますが、当面は遊びに行く場所とのみとし、仕事をする場所とはしないつもりです。

 そう、お気楽なサバーイ・サバーイな"タイ大好き人間"として、今後はとくに北部の辺境地帯を中心にいろいろ回ってみたい、とうのが現在の私の夢です。

 とはいっても先立つものはカネとヒマ、当面はこの両者ともになさそうですが・・・

 「タイランド、遠くにありて思うもの」、でしょうかね。






<関連サイト>

Very Thai: Everyday Popular Culture - The interactive version of the bestselling book by Philip Cornwel-Smith
・・このサイトによれば、Tottemo Thai というタイトルで2008年には日本語版がでると書いてあるが、いまに至るまでその気配はない。たんなるジョークかもしれないが。(2013年1月31日 記す)


<ブログ内関連記事>

タイ好きなら絶対に見逃せない写真集 『Very Thai』(とってもタイ)の増補改訂第2版が2012年12月6日に発売
・・現時点(2013年1月31日)では出版された気配はない。
・・(追記) 2013年10月16日にでるとamazonにはあるが・・・ こののんびりペースはいかにも「とってもタイ」(Very Thai)ではありますねえ(2013年9月2日 記す)



<ブログ内関連記事>

「タイのあれこれ」 全26回+番外編 (随時増補中)





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