2009年12月12日土曜日

書評 『凶悪-ある死刑囚の告発-』(「新潮45」編集部編、新潮文庫、2009)-ドストエフスキーの小説よりはるかにすごい迫力、最後まで読み切らずにはいられない




ドストエフスキーの小説よりはるかにすごい迫力、最後まで読み切らずにはいられない
 
 白熱のノンフィクション、これほどすごい内容のノンフィクションは滅多にない。これほど興奮しながら読んだ本もあまりない。

 獄中の元ヤクザの死刑囚が告発した「上申書」、これがついに警察を動かし、警察の執念の捜査によって、のうのうと市民生活を送っていた"先生"とよばれる真の凶悪を追い詰め、逮捕起訴し、判決が下されるまでのストーリーが、この文庫版で完結した。単行本では未完に終わっていたストーリーが文庫版で完結したのだ。

 そしてこの獄中の凶悪犯の告白を聴きとり、徹底的な裏付け取材を行った上で雑誌記事にし、警察を動かしたのは、「新潮45」という月刊誌の編集記者・宮本太一氏(現在編集長)であった。

 雑誌メディアの底力を天下に示した力作である。

 「事実は小説より奇なり」、などというと陳腐に響くかもしれないが、このノンフィクションはドストエフスキーの小説よりはるかにすごい迫力をもっている。

 それは事実のもつ重み、探り当てた真実の重みであろう。文庫版ではじめて読んだ私は、この事実のもつ迫力に圧倒され続けた。

 自ら手を下さすに人を殺させ、人の死をカネに換えてきた錬金術師、"先生"。この存在には、何か得たいの知れない、人間悪の化身のようなものを感じる。

 しかしそれはサイコキラーではない、快楽殺人でもない、なにかしら人間として底が抜けているというか、人間としてのタガの外れた知能犯としての姿を見いだすのである。この男はいったい何者なのだ、と。

 しかし、事件はすべて解決されたわけではない・・・

 とにかく、結末などいっさい知ることなく、最初のページから読んでみるべきだ。
 間違いなく、最後まで読み切らずにはいられない本なのだ。


■bk1書評「ドストエフスキーの小説よりはるかにすごい迫力、最後まで読み切らずにはいられない」投稿掲載(2009年11月25日)
■amazon書評「ドストエフスキーの小説よりはるかにすごい迫力、最後まで読み切らずにはいられない」投稿掲載(2009年11月25日)





             
PS 『凶悪』は2013年に映画化された。

出演: 山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー、池脇千鶴、白川和子
監督: 白石和彌
上映時間: 128分
公開: 2013年9月21日

映画 『凶悪』予告編 (YouTube)

(2014年4月16日 情報追加)




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