ツイッター(twitter)が爆発的に広がっているようだ。私も先週から参加して、自ら"体感"してみることとした。
一般には、コミュニケーション・ツールとして意識されているようだ。ブログや、ミクシィなどと同様のものとして。
ただ多くの人が勘違いしているようだが、コミュニケーションは必ずしも双方向である必要はない。これらのコミュニケーション・ツールが、双方向のコミュニケーションを容易にしたことは確かであるが、基本的に発信型のコミュニケーションであることを、もっとよく認識した方がよいと思われる。
世の中には、昔から ROM(ロム)という、コンピュータ用語の ROM(=Read Only Memory)をもじった表現があって、自ら情報発信はしないが、発信されたメッセージを読むだけという人が多数存在する。というより、むしろ多数派であろう。
この点、ツイッターは、発信されたネタ(=情報)に対して「つぶやく」に際して、昔風の表現を使えば、"敷居が低くなった"ということはいえるだろう。この点は、ツイッターを実際に使ってみて"敷居の低さは革命的"だと、私自身思っている。
ツール(道具)というものは、人間の諸活動を容易にするためのものだから、使う人間によって、その使い方が異なってきて当然である。極端な話、どう使おうが人の勝手である。
私自身は、自分自身のメモ帳として使っている。たとえば出先で携帯電話からツイッターに発信しておけば、140字以内という絶対的な制約条件があるので、簡潔にメモを作ることが可能になる。もちろん内容は、他人に見られてもまったく問題ないものに限定している。
子供のときから、試験問題で 「この趣旨を100字以内で述べよ」なんてのに慣れているので、140字以内でメモをまとめるのは、全然苦痛ではない。実際、140字ギリギリまで書くよりも、もっと短く80字以内くらいの制限があってもいいのではないか、とも思う。
なんせ、日本語人は、五七五の俳句という、世界最小の17文字の表現に慣れているのだからね。
もちろん、企業関係者も、マーケティング手法の一つとして大いに活用しようとしているらしい。こういった使い方もある。「ハイチから宇宙から、カトキチから「なう」-肥大化するつぶやきメディア「Twitter」の正体」によれば、食品メーカーのカトキチでは、ツイッター上で「うどん」というキーワードで検索し、発言している人全員に返信しているらしい。
まさに、一対一の双方向性コミュニケーションを実現しているといえる。
世の中にはこんな使い方をしている者もあるらしい。タイトルに掲げたツイッターの「軍事利用」である。
田中宇(たなか・さかい)という、ネット上でメールマガを配信しているジャーナリストがいるが、無料公開している「田中宇の国際ニュース解説」の最新記事「グーグルと中国」(2010年1月20日)に、こういう内容の文章があったので、一部引用させていただく。
▼政権転覆の道具としてのツイッター
(前略)・・イスラエル軍の諜報部門では、ツイッターを使った敵国政府の転覆を画策する部隊があると報じられている。また、旧ソ連のモルドバで昨春に起きた反政府運動も、米CIAがツイッターを活用して反政府運動を煽った疑いが指摘されている。米国発のサービスであるツイッターやフェイスブックは、軍産イスラエル複合体が、敵性国の政権転覆を画策するときに使うツールだと疑われる。
これらの事象を見ると、中国政府がツイッターを遮断すべきと考えたのは理解できる。
New IDF Web 2.0 unit to fight enemies on Facebook, Twitter
Moldova's 'Twitter Revolution' a CIA Plot?
引用した文章の、田中宇氏の見解については、正しいかどうかは私には検証しようがないので、ここでは棚上げしておく。しかしながら、ツイッターもコミュニケーションのツールである以上、様々な人間が様々な使い方を考え出すのも当然であろう。
特に、軍というものは、なんとかして敵よりも一歩前に出て優位に立たねばならないというマインド・セットができあがっているので、つねに最新のテクノロジーを取り入れ、自ら開発も行うことは、当たり前といえば当たり前なのである。ここでは具体的には、軍による情報宣伝活動のツールとして、コミュニケーション戦略の一貫として活用する、という姿勢である。
ツイッターの開発者の、思いもよらぬ使い方をする人間がでてきてもまったく不思議ではないわけなのだ。
というわけなので、ツイッターについては、みなさん自らいろいろ実験して、使いこなしてみたらいいでしょう。
決して、ネット上で双方向のコミュニケーションをとり続けなければならない、なんて強迫観念を待たないことだ。そんなことしてたら、さらに日本人ウツ病患者が増えるだけである。まさにその当人にとっては、無間地獄である。
日本では「世間」や「空気」が要求する同調圧力が、人間精神を萎縮させていることは、このブログでも何度も書いてきたことである。
「世間」から距離をとれ!
日本映画『戦争と人間』で、五代財閥の総帥を演じる芦田淳がつぶやくセリフにこういうものがある。ときはノモンハン事件前夜、関東軍の暴走により、日本が大陸での戦争にずるずるとはまっていった時代のことだ。
「バカとハサミは使いよう、軍人さんも使いようだ」
「軍人さん」を「ツイッター」に替えてみたらいいでしょう。
まあ、こういう「上から目線」も、時には必要でしょうね。
P.S.
「世間」と「空気」については、ブログでも何度もかいているので、ご参考まで。
ネット空間における「世間」について(再び)
ネット空間における世論形成と「世間」について少し考えてみた
書評 『「空気」と「世間」』(鴻上尚史、講談社現代新書、2009)
また、阿部謹也の出演NHK番組「世間への深い考察」(2006年)。ぜひ、ヒマなときに1から6まで通しでみてほしいと思います。全部で60分。阿部謹也は、
『世間論』の提唱者です。
(2010年1月23日)
(2012年7月3日発売の拙著です)
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