2010年2月24日水曜日

スマートフォン、ツイッター、そしてクラウド・コンピューティングという三題噺




 iPhoneとツイッターで会社は儲かる』(山本敏行、マイコミ新書、2010)という本を、著者の会社からいただいたのでさっそく目を通してみた。
 山本敏行氏は現在31歳、10年前に米国留学中に起業した EC. studio の代表取締役。社員数33名の中小企業の社長とのことだ。

 社員全員にスマートフォンである iPhone を支給し、全員がどこでもアクセスできる環境を整え、社員全員がツイッターのアカウントをもって、それぞれ好きなようにつぶやいているとのことだ。
 もともとデジタル、アナログ含めてさまざまなコミュニケーションを活用していたとのことだが、全員ツイッター化によって、社内のコミュニケーション・ギャップが大幅に解消されている、という。

 会社が儲かるかどうかは別にして、少なくとも社内コミュニケーションが格段に活性化することは間違いない。なぜなら、ツイッターはブログに比べて格段に敷居が低いから。あらためて気構えていう必要のないつぶやきで社員のそれぞれが何を考えているかがわかるし、社長のつぶやきを知っているので、何か方針がでたときもあらかじめ心の準備ができている、というわけだ。

 ただし社内イントラネットとは違って、ツイッターでつぶやいた情報はリアルタイムで全世界に公開されることになる。そうでないと意味がないからだ。もちろん、公開にすることによるメリットとデメリットの両面ある。社外でもつぶやきをみることができるので、社外から反応してくれることもあるし、商談前にツイッターでのつぶやきをみてくと、会話がスムーズに進むという効果もあるようだ。

 デメリットは社内情報が漏洩する危険があるというものだが、これについてはひとつだけルールを作って運用しているという。

 「機密情報についてのつぶやきはしないこと」 

 たったこれだけ。

 ツイッターでつぶやける環境があると、つぶやいた本人が特定できるし履歴が残るので、そもそもうかつなことは発言しにくいし、誹謗中傷するような情報は「2ちゃんねる」のほうが投稿先としては適切だ。また、ツイッターでガス抜きできるので、「2ちゃんねる」へのエネルギーも減殺されるかもしれない、と。
 透明性は格段に高まるが、いいか悪いかは別にして、ますますプライバシーがなくなるということでもある。社員の休日のつぶやきも、週明けには社内で話題になるということだから。経営者だけでなく、社員も24時間365日化の方向に進むことになるのかな?

 この会社は社員の大半が20歳台だが、ツイッターを使うか使わないかは自主性にまかされているので、2/3くらいがヘビーユーザーらしい。
 しかし社内コミュニケーション・ツールとして活用する限り、ツイッターを使わせるよう仕向けなくてはならない。何をやっているかはこの本に書いてある。
 この会社の実験結果はポシティブにでているので、おそらく中小企業で導入したら、間違いなく効果があがるだろう。少なくとも社長自らがツイッターを使っているのであればノー・プロブレムだ。
 しかし、大企業はそう簡単にはいかないだろうし、中小企業でも社歴が長くて、40歳台以上の社員がいる会社はなかなか抵抗が強いかも。


 ところで、この本のキモは「クラウド化」にある。 Google.Apps(グーグル・アプス)などの「クラウド・コンピューティング」を会社ぐるみで導入することによって、仕事のやり方が抜本的に変化するであろうことだ。つまり、会社をクラウド化せよ、ということ。

 「グーグル・アプス」は、個人で使用する限りタダなので私も利用しているが、Gmail の受発信管理、検索、スケジューラー(カレンダー)、ドキュメント管理、画像、動画などを、個人のパソコンではなく、グーグルのサーバー上で一括してで行うサービスのことだ。データの管理とバックアップはグーグルが行うので、個人のパソコンが壊れてもデータ破損の心配はないし、パソコンを紛失しても情報漏洩の心配もない。
 これをパソコンではなく、モバイルのスマートフォンで行えば、いつでもどこでもデータのやりとりもできるし、情報の共有も容易になる、というわけだ。
 クラウド化が完全に浸透すれば、その時には大幅なコスト削減が可能になるし、その分の利益は出てくるといえよう。もちろん完全に使いこなせればという条件つきだが。

 こんな話を知ると、私もそろそろ携帯電話はやめて、スマートフォンに一本化しようかな、という気持ちになってくる。iPhone 以外にも、Google の Android 搭載型のスマートフォン(黒イチゴ)も発売されたことだし、現在使用している携帯電話の償却が終わる頃にはスマートフォンに一本化したいと思う。2つもつのは通信費のムダなので。

 会社のクラウド化はもちろん、個人もクラウド化する時代となってきたようだ。さらにグーグル化する、ということなのかな。なんだかカツマーみたいだが。