「前橋汀子 アフタヌーン・コンサート Vol.6」に行ってきた。
会場はいつもと同じく、六本木のアークヒルズにおのサントリーホール。「アフターヌーン・コンサート」は毎年催されているのだが、私にとって今回で3回目となった。ウィークデーの夜ではなく、ウィークエンドの午後のコンサートは、とくにビジンスマンにとっては、疲れが比較的少ない状況での開催なので非常に助かるのである。
■プログラム内容
<前半>
J.S.バッハ:G線上のアリア
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 op.24「春」
J.S.バッハ:シャコンヌ(無伴奏パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004より)
<後半>
シマノフスキ:アレトゥーザの泉
ヴィエニャフスキ:モスクワの思い出
ストラヴィンスキー:ロシアの踊り(バレエ「ペトルーシュカ」より)
チャイコフスキー:感傷的なワルツ
マスネ:タイスの瞑想曲
クライスラー:ウィーン奇想曲op.2
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
(ピアノ:イーゴリ・ウリヤシュ)
とにかく、前半の最後の曲、バッハのシャコンヌが絶品であった。この曲は私は何度も何度もCDで聴き込んでいるが、なんといっても前橋汀子のものが入神の演奏である。20年ぶりにレコーディングするそうだが、これをナマ演奏で聴けたのは実に幸いである。
また、後半の最後の曲ツィゴイネルワイゼンも素晴らしい。
前橋汀子人は、アンコールで好きな曲を弾きまくる人だが、ブラームスのハンガリー舞曲を立て続けに弾きまくって、神がかり的というか、何かが憑依したような演奏スタイルが頂点に達したのであった。しかしそれでいて実に品格がある演奏。
前橋汀子の正確な年齢は知らないが、すでに60歳台半ばは過ぎているはずだろう。しかし、とてもそうとは思えない。まさに心技体の三拍子がそろって、現在なお技術の向上に加えて円熟味を増している、日本が誇るアーチストである。女王様のような、凛としたステージマナーもまた実に魅力的である。
演奏からは少し離れるが、パンフレットのプロフィールに書いてあったことで少し感想があるので記しておく。それは、レニングラード音楽院(・・現在のロシアのサンクトペテルブルク)における前橋汀子が受けた教育についてである。
それによれば、演奏実技のテクニックだけでなく、音楽にかんする幅広い教養教育を受けたということについてである。表現力の深みと濃さは、こういった教育と自己研鑽、人生体験などがあいまってできあがってきたものなのだろう。
単なるテクニックではない、人間性そのものが表現されているのである。
また来年のコンサートが楽しみだ。
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(2014年2月13日 情報追加)