この本だけは絶対に自分で買って、手元に置いておくことをつよくすすめます。それだけ内容豊富な値打ちある文庫本です。
単行本の文庫化ではなく、最初から文庫本のフォーマットで作製されたものです。『知って役立つキリスト教大研究』というタイトルで新潮 Oh!文庫から2001年に出版されたものの増補改訂版です。
わたしは旧版の時代から手元において、じつに重宝なレファレンス本としてつかってきましたが、このたび増補改訂版として朝日文庫から再登場したのは、たいへんありがたいことです。
キリスト教は基本的に一つの宗教ですが、それぞれの宗派で礼拝内容や用語が異なりますので、キリスト教としてひとくくりにできないのもまた現実です。
カトリックもさまざまな会派がありますが、プロテスタント諸派はあまりにもその数が多い。この本のように索引(=インデックス)が完備した本は、「事典」として使いやすいだけでなく、読み物としてもたいへん興味深いものとなっています。
著者は、本人も認めている「キリスト教オタク」(・・世の中にはそんな人がいるんですね!)。本人はキリスト教徒ではないそうですが、だからこそ客観的な姿勢がとれるのかもしれません。しかも、著者本人が大量にイラストも描いており、読んで面白い内容の本にもなっています。
キリスト教用語事典としては、日本語だけでなく対応する英語も銘記されていますので、たいへん役に立つ内容です。調べ物する際や英文和訳に役立つだけでなく、じつによくできた「読む事典」になっています。
すぐに読まなくても、まずは買っておいて、聖書と一緒に机上に備えておくことといいでしょう。千円札一枚で買える文庫本にしては、間違いなく販売価格の十倍以上(!)のお値打ち本です。この機会に、ぜひおすすめします。
(注) 2012年4月23日に amazon レビュー として投稿した記事を加筆修正のうえ再録しました。
目 次
前書(まえがきのまえがき)
招きのことば(まえがきに代えて)
本書で用いた表現について
第1章 初めての人のためのキリスト教Q&A
第2章 比べてみよう教派いろいろ
第3章 少し違いが見えてきた人のための調べてみようキリスト教
第4章 クリスチャンライフあれこれ
第5章 日本のクリスチャンの言い回しがわかるキリスト教会用語表現集
感謝
後奏(増補改訂版のあとがき)
附録(主要索引その他)
著者プロフィール
八木谷涼子(やぎたに・りょうこ)
1960年生まれ。キリスト教の教派とその専門用語に多大な関心をもつ。T・E・ロレンス研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。
(キリスト教教派の系統図 wikipediaより)
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書評 『日本人とキリスト教』(井上章一、角川ソフィア文庫、2013 初版 2001)-「トンデモ」系の「偽史」をとおしてみる日本人のキリスト教観
書評 『「結婚式教会」の誕生』(五十嵐太郎、春秋社、2007)-日本的宗教観念と商業主義が生み出した建築物に映し出された戦後大衆社会のファンタジー
(2014年2月28日 情報追加と項目再編集)
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