2012年12月17日月曜日

「2012年総選挙」結果について ー この3年間はいったい何であったのか? 「一票の格差」の大きな「千葉4区」で考える


「2012年総選挙」結果に、この3年間はいったい何であったのか考えている。

わたしがいま住んでいるのは現職の首相が属している小選挙区である「千葉4区」という激戦区の一つである。「千葉4区」は船橋市全域がそれに該当する。

「千葉4区」の当選者は、現役の首相の野田佳彦氏であった。やはり現役の首相が落選するということはさすがにないようだ。

民主党による政権交代からちょうど二年-三人目の首相となった第95代内閣総理大臣の野田佳彦氏は千葉県立船橋高等学校の出身である という記事で書いたように、野田佳彦氏はわたしの高校の先輩にあたる人だ。いろいろと批判も多かったが、「解散」を決行したことは大いに称賛されるべきことだろう。自民党は野田氏には感謝しなくてはなるまい。

わたしは義理人情をそれほど重視しているわけではないが、小選挙区での選択にあたっては、そうすんなりと結論がでたわけではない。小選挙区においては当選者以外に向かった「清き一票」が「死に票」になってしまう可能性があるからだ。


自民党の大勝は地滑り的であったが・・・

選挙全体の結果は自民党が過半数を獲得、自民党と公明党で議席の 2/3 以上となる 325席を獲得し終わった。英語圏のニュース報道にもあるように、まさに自公による地滑り的勝利(landslide victory)である。

ここ数年の推移をみれば明らかなように、「郵政選挙」による自民圧勝、3年前の民主党圧勝、そして今回の自民圧勝と民主党の崩壊である。 あまりにもジェットコースターのような「政権交代」である。まことにもってめまぐるしい。

中道左派的な色合いのある民主党が政権をとったのは2009年8月30日に実施された総選挙であった。その際にわたしはこのブログで自民党の敗北にかんして 「Be a Good Loser !」という文章を書いた。一部採録しておこう。

個人的には、保守中道の政治路線で、政治理念をめぐって対立する二大政党が、選挙をつうじて政権交代の可能性をもつ、というのがもっとも健全な姿であると考える。

すでに結果が明らかになったいま思うのは、二大政党制は現代日本ではもはや成立不可能であるという事実である。二大政党制は戦後日本では幻想であったようだ。

勝利した自民党は報道によれば「気を引き締めている」ということだが、しかしながら人間というものはどうしても、のど元過ぎれば苦労を忘れて慢心しがちである。

自民党には気を緩めることなく、政権与党としてやるべき仕事を果たしてもらいたいものである。


小選挙区制には大きな問題がある

小党乱立状態は、プロレスでいえばバトルロイヤルのようなものだが、この状態が投票率が60%を切るという低さに現れたようだ。どこに投票したらいいかわからないから、投票をためらったという人も少なくないだろう。

わたしも、自分の一票が「死に票」にならないようにするためにはどうするかが最大の気がかりであった。

3年まえの総選挙が自民党に対する懲罰的な選挙行動の反映であった総選挙結果であることは明白であり、自民党は下野するこいとによって徹底的な改革を行い出直して欲しいと願ってのことであった。

今回、安倍晋三率いる自民党が単独過半数を獲得し、政権に返り咲いた結果となったが、これもまた政権党であった民主党への嫌悪感からでた懲罰的選挙行動であって、積極的な自民党支持とは言い難いのではないだろうか?

総選挙は英語でいえば General Election である。似た表現に General Strike があるが、最近はあまり流行らないゼネストのことだ。 General Election には総選挙という訳語が定着したのに、 General Strike はかつては総罷業という訳語もあったが、いまはまったく聞くこともない。

そもそもゼネストじたい、いまの日本では過去の遺物だが、2009年も2012年も総選挙は、積極的に誰かを支持する行動というよりも、NO をつきつけるゼネストに近い行動であったような気がしないでもないのだ。

しかし、何度も述べていいるように小選挙区制は政党というよりも個人のキャラクターに対する信任投票の意味合いが大きい。たとえ懲罰的行動を投票によって示そうと思っても、懲罰対象の政党に属する議員が当選してしまうと、批判票はすべて「死に票」となってしまう。

これが大きな問題となるのが小選挙区制における「一票の格差問題」である。

今回の総選挙においても、「千葉4区」と「高知3区」の「一票の格差」は、なんと前者が後者の 2.4倍(!)になるという。「千葉4区」の選挙民としてはなんともやるせない気持ちになる。

すでに訴訟も開始されたという。2009年の総選挙結果については、最高裁での違憲判決もでている。今回も間違いなく違憲判決がでるだろう。


復活した安部晋三はどれだけ続くのか?

「日本国内閣総理大臣 安倍晋三」の署名がなされた揮毫は、タイのバンコクでも見ることができる。平成19年(2008年)8月19日の日付である。

(日本の協力でできた泰日工業大学 右下に安倍晋三氏の揮毫 筆者撮影)


じつに短い在任期間の数少ない痕跡として写真に収めたのだが、まさか復活するとは思いもしなかった。

今回の総選挙で議席の 2/3 を確保した自公政権。来夏の参院選で 2/3 をとればいよいよ憲法改正が視野に入ってくることになる。改正手続きを定めた憲法96条がまずはターゲットだ。

憲法改正がひんぱんに行われるのがタイ王国であるが、それにくらべて日本は憲法改正には2/3以上の賛成というしばりがあまりにもつよく、新憲法制定以来いちども憲法改正が行われたことがない。あまりころころ改正されるのは問題だが、あまりにも硬直過ぎるのも問題だ。

まずは景気回復が新政権の至上命題であるが、憲法改正についても、そろそろ日本国民として議論の準備をはじめるべきであろう。

わたしにとって、この3年間の民主党政権時代とはいったいなんであったか? 

そんなことを考えようとおもった矢先、選挙日の昨日16日からウィンドウズが起動せず、そのためPCが立ち上がらないという事態に陥った。万策尽きてウィンドウズの「再インストール」を余儀なくされたのが昨日から本日にかけてのことであった。

ふと思い出したのは「創造的破壊」というコトバ。ウィンドウズの再インストールによってCドライブに保管していた文書がすべて失われたが、「3-11」の大津波ですべてを失った方々にくらべたら、比較にもならない。

このブログをはじめとしてクラウドに保管されていた文書は無傷であった。ブログを始めて3年強。わたしにとっての3年間とはブログの3年間であった。また、40歳代最後の3年間でもあった。

単なる破壊ではなく、新たな創造をともなうものでなくてはならないと思うのである。破壊を一新の機会に、心機一転の機会にするべきだと思うのである。もちろん、復旧は一筋縄にはいかないものであるが。

ピンチはチャンス! そう考えることによって、人間は前進することができるのであるのだから。




<ブログ内関連記事>

Be a Good Loser !」(2009年8月30日)

「主権在民」!-日本国憲法発布から64年目にあたる本日(2011年5月3日)に思うこと

「円安バブル崩壊」(2009年5月4日)




(2012年7月3日発売の拙著です)





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