(セゾンカード会員誌 express 2014年5月号特集記事より)
ことし2014年4月は「シェイクスピア生誕450年」なのだそうですね。
シェイクスピアは、生まれたのが1564年4月26日(洗礼日)で死んだのが 1616年4月23日、4月に生まれて4月に死んだわけですね。
冒頭の写真はセゾンカードの会員誌の今月号の特集記事。毎月無料で送ってくるのですが、本日まで中身を見てませんでした。、
わたしは、シェイクスピア命(!)というわけでもありませんが、すくなくともシェイクスピア愛(!)ではあります。演劇や芝居はすべてシェイクスピアを評価の基準軸に据えて考えるクセがついてしまっております。
坪内逍遙や小田島雄志が個人で日本語全訳という偉業を達成していますが、さすがにわたしは日本語訳ですら全巻は読んでおりません(汗) いはんや英語原文で全巻は・・・。.一部は英語で暗唱できますけどね。
(中学校以来のマイ蔵書 文庫版シェイクスピア作品)
そんな程度でシェイクスピアを云々するのもアレですが、わたくし的には『ハムレット』(Hamlet)、『マクベス』(Macbeth)、『オセロウ』(Othello)、『リア王』(King Lear)といった「四大悲劇」もさることながら、シェイクスピアはコメディが最高。
なかでもわたしが好きなのは、『十二夜』(Twelfth Night)と『お気に召すまま』(As You Like It)。いわゆる「男装の麗人」が登場するコメディですね。男女取り替えのコメディ。
(1996年の映画版『十二夜』)
ほかにも『じゃじゃ馬ならし』(The Taming of the Shrew)や『空騒ぎ』(Much Ado About Nothing)、『終わりよければすべてよし』(All's Well That Ends Well)などシェイクスピアのコメディはすばらしい。
もちろん『ロミオとジュリエット』をはじめとするイタリアを舞台にした作品。ことしに入ってからも、フィギュアスケートの羽生弓弦選手はテーマ曲を使用してますし、朝ドラの『花子とアン』にも登場(第5週~第6週)。根強い人気ですね。
シェイクスピアの作品はイタリアが舞台になっているのが多いから、その結果わたしもイタリア大好きになりました英国人がトスカーナ好きな人が多いのもそれが理由の一つでしょう。
シェイクスピアの生誕地、英国のストラッドフォード・オン・エイボンには行ったことはありませんが、芝居の舞台となったイタリアの土地はほぼすべて回っております。
(マイコレクションより オックスフォード版全集 初演テキストを中心に提供)
実用英会話にシェイクスピアなど不要などと主張する人もいますが、わかってませんねえ。なんせ芝居のセリフなんですからね。会話体の英語なんですよ。食わず嫌いはやめましょう。
たとえば、All the world's a stage. は、『お気に召すまま』(As You Like It)に登場するセリフです。
All the world's a stage
And all the men and women merely players.
(世界すべてが舞台/男も女も役者にすぎない)
ねっ、簡単でしょ。これなら中学生でもわかりますね。いまなら小学校高学年レベルかな? こんなフレーズを覚えておけば、英会話にそのままつかえるんですよ。
(高校時代なけなしのカネで買った吉田健一著作集 第一巻のみ)
作家の吉田健一がこんなことを書いています。
シェイクスピアなどというものは、英国の文学好きの青年が高等学校を出るまでに読み尽くして、大学でその経験に基いてあれこれと大学の先生と議論を戦わせて楽み、それでも一流中の一流の詩人であるから、大学を出てからも、結構、一生楽しめるというような、そういう人間である。(出典: 「英国の文学というもの」(昭和29年=1954年) 『英語と英国と英国人』(講談社文芸文庫、1992)所収
これにつけくわえれば、演劇好きの人間なら、と書くべきでしょう。現在でもシェイクスピアの芝居のセリフは原文のままで現代風に書き直したりはしません。
シェイクスピアといえばソネット(14行詩)も忘れるわけにはいきませんね。Shall I compare thee to a summer’s day ?(君を夏の一日にたとえようか?)で始まるソネットの最初の4行を引用しておきましょう。
Shall I compare thee to a summer’s day ?
Thou art more lovely and more temperate.
Rough winds do shake the darling buds of May,
And summer’s lease hath all too short a date.
君を夏の一日にたとえようか?
だが君のほうが美しく、もっと温和だ。
五月には強い風が可憐な花のつぼみを揺らすし、
夏はあまりにも短いいのちしかない。
(出典: 『対訳 シェイクスピア詩集 イギリス詩人選(1)』(柴田稔彦編、岩波文庫、2004)より)
450年前の英語とは思えませんよね。
「古典」として神棚に祭り上げるのではなく、シェイクスピアはまずは「芝居の台本」として気軽に楽しみたいものですね。
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