2015年10月30日金曜日

スワンがゆく-日本人にとって白鳥とは?


一昨日(2015年10月28日)のことだが、東京の日比谷から神保町まで歩いた。最短距離は皇居のお堀端の東側の右サイドの通行となる。

首都東京を代表する新生・東京駅の駅舎や、日本を代表する金融街の摩天楼を右目に見ながら歩いていくと、皇居を過ぎたあたりのお堀で白鳥が2羽すいすいと泳いで移動してくるのが目に入った。

おお、もう白鳥が飛来しているのか!! まだ10月末なのに。

純白の白鳥は、ほんとうに美しい。きわだって美しい。さまざまな渡り鳥が飛来してくる日本だが、そのなかでも白鳥は頂点に立つ存在だ。

白鳥は、『古事記』のヤマトタケル以来、日本人には親しい存在だ。いわゆる「白鳥伝説」である。ヤマトタケルは大和に戻る途上で無念の死を迎えるが、辞世の歌を詠んだあと、死後その魂は白鳥となって大和に向けて飛んでゆく。じつに美しい神話ではないか!

だが、現代に生きる日本人は、白鳥はなんだか西欧的な印象さえあわせもつ。日本人は、近代になってから西欧文明と接触するようになったわけだが、ロシアバレエの「白鳥の湖」などの芸術作品を受け入れてから、白鳥はなんだか西欧的な印象さえもつようになった。その延長線上に『白鳥麗子』という少女マンガのキャラクターが生み出される。

日本に住んでいると、当たり前のように思っていることだが、世界的にみれば必ずしもそうではない。当たり前のように白鳥を目にすることのできる環境に生きてきたことは、大いに感謝すべきことだろう。

白鳥は、ほんとうに美しい。じつに美しい。






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(2012年7月3日発売の拙著です)










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