2016年7月3日日曜日

東武博物館に立ち寄ってみた(2016年7月1日)-鉄道車両をつうじて日本近現代史を振り返る

(東向島駅にて)

先日、用事があって初めて東武線の東向島駅(ひがし・むこうじま)で下車した。東向島駅は旧「玉の井駅」。玉の井といえば、永井荷風の『墨東綺譚』(ぼくとう・きだん)の舞台。 墨田区である。

下車してみてはじめて知ったのだが、東向島駅には「東武博物館」が併設されている。せっかくなので、用件を済ませて帰る前に博物館に立ち寄って見ることとした。入場料は大人200円。東武鉄道の歴史を実物展示した企業ミュージアムである。

真夏日だったので、冷房がきいた博物館が心地よい。立ち寄ってみた甲斐があったというものだ。

東武鉄道のメインは、かつて東京の繁華街の中心であった浅草から北関東の観光地・日光をつなぐ私鉄路線。その他、多数の支線をもっている。池袋駅以外にも、東京でも亀戸から曳舟まで亀戸線、千葉県では東京湾岸の船橋から柏を経由して、埼玉県の大宮までつないでいる野田線がある。

東武鉄道は、東京スカイツリー開業にあたって伊勢崎線をスカイツリー線に改称しているが、じつにダサいネーミングだ。業平橋駅をスカイツリー駅に改称するなど、愚の骨頂である。歴史を軽視すること、まことにもってはなはだしい。

(2003年まで貨物列車が走っていた! 筆者撮影)

まあ、それはさておき博物館のなかを歩いてみよう。博物館の展示の中心は初期の蒸気機関車や電気機関車、特急列車や普通列車の車両などなど。レトロ感あふれる車両の数々がこの博物館に集められている。

機関車は初期のものは英国製蒸気機関を発明した「産業革命」の発祥国である英国は、蒸気機関車の製造でも世界をリードしていたのだなあ、と。日本が「ものづくり大国」となって、「国産」が当たり前の時代というのは、歴史的にみれば100年もないのである。いや、戦後しばらくたってからというべきか。

(1897年に輸入された英国製の蒸気機関車。1956年まで現役! 筆者撮影)

東武に限らず、古い時代の日本の列車はみな「あずき色」である。関東ではあずき色の電車はすでに姿を消して久しいが、関西ではあずき色は健在どころか主流である。この違いは何なんだろうか、と思ってみたりもする。サービス業にかんしては関西の方が先進地帯なのに・・・。

(浅草と西新井間を走っていた電車 筆者撮影)

鉄道ファンにとっては知られた博物館だろうが、東武博物館は産業博物館としても大いに訪問する価値ありと思う。

今回は時間がなかったので訪問していないが、工業地帯であった墨田区には、セイコーや花王など各種の産業博物館(=企業ミュージアム)が集積している。機会をみて訪問してみたいと思う。




<関連サイト>

東武博物館 公式サイト


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『新京成電鉄-駅と電車の半世紀-』(白土貞夫=編著、彩流社、2012)で、「戦後史」を振り返る

書評 『鉄道王たちの近現代史』(小川裕夫、イースト新書、2014)-「社会インフラ」としての鉄道は日本近代化」の主導役を担ってきた

書評 『「鉄学」概論-車窓から眺める日本近現代史-』(原 武史、新潮文庫、2011)-「高度成長期」の 1960年代前後に大きな断絶が生じた

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(2016年7月23日 情報追加)



 
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