連載第11回目のタイトルは、「これだけ事件が起きても米国で銃規制が進まない理由-特殊すぎる国、米国は今も「中世」を生きている」。
⇒ http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51375
2017年10月1日、ラスベガスで58人が射殺され500人近くが負傷するという米国史上最悪の乱射事件が発生した。64歳の白人男性が、野外コンサート会場に集まった観客に向けて、近接するホテルの32階の部屋から6分間にわたって半自動火器を無差別に乱射したのである。
「銃規制」はオバマ前大統領が積極的に取り組んだテーマであったが、実現するどころか、むしろ後退さえしていたのが事件前の状況であった。だが、ラスベガスの乱射事件をきっかけに、再びさまざまな銃規制対策の提案が持ち上がっている。銃規制反対の急先鋒で、全米最大のロビー団体でもある「全米ライフル協会」(NRA)ですら、連射可能な「バンプストック」販売禁止規制という提案を出してきたほどだ(・・上掲の写真が「バンプストック」)
そんな状況のなか、銃規制をめぐって、首都ワシントンで議会工作を行うロビー会社同士の激しい攻防戦を描いたハリウッド映画『女神の見えざる手』(2016年、フランス・アメリカ合作)が10月20日に日本で公開された。 濃密で濃厚に作り込まれた非常に面白い社会派サスペンスで、時間が経つのを忘れるくらいにのめり込んで見てしまった。ぜひ皆さんにも見ることをお薦めしたい。
米国の銃規制問題を考えるにあたって、これ以上ないほど時宜を得た映画といってよい。 今回は、銃規制問題からみた米国社会の特質についてあらためて考えてみたい。米国がいかに異質で特殊な価値観をもった国であるか理解できるはずだ。
(つづきは本文で)
今回のコラムの趣旨は「アメリカ特殊論」。そのキモは「米国は中世である!」ということ。阿部謹也先生のもとで、大学学部に西洋中世史を専攻した私ならではのものだと思います。
ぜひご一読ください。
次回のコラムは、11月7日公開予定です。お楽しみに!
(拙著『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』第5章より)
<関連サイト>
私が6歳の娘に銃を教えた理由-“射撃女子”を巡る銃所有のリアル(日経ビジネス、2018年3月19日)
(2018年3月19日 項目新設)
<ブログ内関連記事>
映画 『女神の見えざる手』(2016年、フランス・米国)を試写会で見てきた(2017年10月4日)-「銃規制」をめぐって米国社会を二分するテーマをロビイストを主人公にして描いた社会派サスペンス
書評 『鉄砲を手放さなかった百姓たち-刀狩りから幕末まで-』(武井弘一、朝日選書、2010)-江戸時代の農民は獣駆除のため武士よりも鉄砲を多く所有していた!
『歴史のなかの鉄炮伝来-種子島から戊辰戦争まで-』(国立歴史民俗学博物館、2006)は、鉄砲伝来以降の歴史を知るうえでじつに貴重なレファレンス資料集である
書評 『傭兵の二千年史』(菊池良生、講談社現代新書、2002)-近代世界の終焉と「傭兵」の復活について考える ③
・・近代ヨーロッパ史とは銃器発達の歴史でもある
自動小銃AK47の発明者カラシニコフ死す-「ソ連史」そのもののような開発者の人生と「製品」、そしてその「拡散」がもたらした負の側面
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