2019年9月21日土曜日

「画業50年 "突破" 記念 永井GO展」(上野の森美術館)にいってきた(2019年9月21日)-いまだ現役のマンガ家として走り続ける永井豪の世界にどっぷりと浸かる絶好の機会


画業50年 "突破" 記念  永井GO展」(上野の森美術館)にいってきた(2019年9月21日)。1970年代の始めから、とくに1970年代にリアルタイムで永井豪先生のアニメを見て、マンガを読んできた私のような世代には感激の展覧会だ。

永井豪といえば、「デビルマン」、そして「キューティーハニー」、「マジンガーZ」などなどであるが、本人自身によってリメイクされ、若い世代の人たちにも広く知られた存在だろう。その永井豪先生が「画業50年」!とは、あらためてその息の長さ、影響力の大きさに圧倒される思いだ。

その永井豪先生の原画など貴重なアイテムの数々が展示されている。デビュー作についてはリアルタイムでは知らなかった(今回はじめて知った)し、代表作以外にも埋もれてしまって知られていない作品も少なくない。


(上野の森美術館の前にて)

「ハレンチ学園」は、わたしが小学生の頃の作品だ。マンガが原作だが、東京12チャネルで実写版がテレビ放送されてリアルタイムで視聴していた(ただし、ぜんぶ見たわけではない)。当時は、PTAが「有害」だと騒ぎたててことで、かえって注目があがっていたように記憶している。現代風にいえば「炎上」というやつだ。

1970年代前半はまだ「学生運動」などで荒れた時代の余韻が濃厚に残っていた頃だ。「浅間山荘事件」は、1972年のことだ。子どもの頃、大学とはゲバ棒を振るってデモをする場所だと思っていた(笑) その意味では、永井豪のバイオレンスものとは、実際社会ではできない暴力の発散をマンガやアニメで行った代償行為といえるのかもしれない。同時代性が強いのである。

「デビルマン」のコーナーでは、「写真撮影可」となっている。等身大のフィギュアなどが展示されている。それだけ、「デビルマン」のインパクトは大きなものがあって、現在にまで続いているということだろう。


(このコーナーは「写真撮影可」)

「デビルマン」は、リアルタイムでアニメを視聴していたが、通常の子ども向けアニメの放送時間帯ではなく、たしか土曜日の午後8時からだったと記憶している。「デビルマン」は、世界各国で翻訳され、放送されている。とくにダンテの『神曲』を生んだイタリアでは大人気のようだ。

だが、なんといっても、わたしのような世代の人間(いや、すべてとは言わないが)にとってウレシイのは、「ギャグマンガ」のコーナーだ。永井豪といえば、バイオレンスとお色気、そしてナンセンスが複合した世界なのだが、じつはギャグマンガこそすばらしいと思っている。

「ハレンチ学園」もそうだが、「けっこう仮面」など、リアルタムで少年マンガ誌で読んでいた世代にとっては、きちんと原画が展示されているのがウレシイのである。このほか、「オモライくん」「まろ」など、おお!なつかしい!と思いながら、じっくり堪能したのである。


(ポスターのウラ)

来場客は、若い世代と中高年がだいたい7:3くらいの割合で、若い世代が多いのが意外な感じもしたのだが、なんといっても「画業50年」の永井豪先生が「現役のマンガ家」であることの、まぎれもない証拠だといっていいのだろう。

展示を見終わったら、迷うことなくミュージアムショップで「図録」を購入する。消費税込みで3,000円(*10月1日からの増税前に展示は終了する)。

来場者が多くて、じっくり見ることができなかった展示品と、ダイナミックプロの永井兄弟(永井豪は四男)の「画業突破50年記念!永井兄弟特別座談会」を読み、「図録」の「特別付録」としてついている描きおろしの「デビューGO2」を読んで、石ノ森章太郎のアシスタントから始まって自立するまでの、マンガ家としての原点と出発点を知る。

マンガ家としてデビューすることが大変なだけでなく、続けていくことはさらに大変だし(・・重圧につぶされてしまって「消えたマンガ家」はじつに多い)、しかもデビューから50年以上も現役で描き続けているのは、じつに希有な存在なのである。
  
画業50年の軌跡だが、現役のマンガ家にとっては、あくまでも「通過点」であり、デビューから現在に至るまでの回顧展ではあるが、けっして終着点を示したものではない。「生涯現役」として走り続けるための秘訣はなにか、そんなことも教えてくれるのである。

JR上野駅から上野公園にいく上り坂が工事中で通行止めになっているために、向かって左側の階段かエレベーターを使用することを余儀なくされているが、そのおかげで「上野の森美術館」に直行することができる。

なにかに吸い込まれるようにして、永井豪ワールドに入っていくことになる。東京海上の会期は、2019年9月29日(日)まで。






PS 能登半島地震で輪島市の「永井豪記念館」が焼失

2024年辰年の元旦に「暴れ龍」による能登半島地震が発生したが、そのなかでも大きな被害を受けた輪島市は、日本を代表するマンガ家の永井豪氏の出身地である。

永井豪の画業を記念した「永井豪記念館」だが、震災後の火災で全焼してしまったことが、数日後に明らかになった。永井豪記念館には行ったことはないが、少年時代から永井豪のファンであるわたしも残念に思っている。

ところが、永井豪は以下のようなメッセージを出している。ダイナミックプロダクションの公式X(旧Twitter)でそれを知った。1月10日付けの投稿である。

私は現役のマンガ家ですので、もし失われていたとしても、いくらでも描いたり作ったりすることができると思っています。そのこと自体はたいしたことではありません。
それよりも今は、輪島をはじめとする各地で被災されたみなさんが一日でも早く元の生活を取り戻せるよう、少しでもお手伝いができればと思っています。(・・・後略・・・)
  
天災と人災の違いはあるが、クリエーターとしてのすばらしい発言ではないか!

被災者が一日でも早く元の生活を取り戻せるよう、わたしも祈っている。

(2024年1月13日 記す)





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