『反応しない練習-あらゆる悩みが消えてゆくブッダの超・合理的な「考え方」』(草薙龍瞬、KADOKAWA、2015)がベストセラーになっていたことは知っていたが、さすがに15万部(!)のロングセラーになっているとは、昨年末にリアル書店の平台で見るまでは知らなかった。
基本的に自分はブディストであり、この本に書いてあるようなことは日々実践しているハズだから、あえて読むこともあるまいと思っていた。とはいえ、さすがに15万部という数字を見ると、違う意味で大いに関心をそそられる。売れているということは、それなりに理由があるハズだ、と。
なぜこの本が目に入ってきたかというと、昨年末から約3週間にわたって、きわめて不快なメールを断続的に執拗に送付されるという、ストーカーまがいの迷惑行為に見舞われていたからだ。しかも、見知らぬ赤の他人ではなく、よく知っている知人であるだけに余計たちが悪い。あきらかにメンタルを病んでいるとしか思えない内容である。
基本的にその手のメールにはいっさい返信せず「黙殺(=スルー)」し続けていたが、自分としてはきわめて不快な感情を抱いていたことも事実だ。アクションは行わなくても感情が動いてしまうというのは、まだまだ修行が足りないので致し方ないのであるが、こんな状態にとりあえず終止符が打たれて解放されたのが、つい昨日のことである。
そんなこともあったので、こんな機会を逃したら『反応しない練習』を読むこともしばらくはあるまいと思って読み出してみた。なにごとにおいても機縁というものがある。
読んで見たら、これは良書だと最初のページから強く思った。15万部売れている理由も納得できるし、できればもっとももっと100万部以上売れた方がいい。一家に一冊は備え付けにして家族で回し読みし、なんどもなんども繰り返し読んでは、気づきを得て、そして反芻するべき本であると思う。
反応するからいけないのである。反応しなければ問題は発生しないのである。自分自身もそのことは十分に理解していながら、実践においては徹し切れていないと大いに反省することしきりである。
それにしても、あらためてブッダその人の教えは素晴らしい。この本には初期仏教の仏典からの引用がちりばめられており、21世紀に生きる現代人にとっての生き方の指南書となっている。
ブッダの教えとストア派哲学はよく似ている。そのどちらか一方に関心のある人も、双方に関心のある人も、まったくそうでない人も、この本はぜひ読んで実践するべきだと強く思う。
目 次第1章 反応する前に「まず、理解する」第2章 良し悪しを「判断」しない第3章 マイナスの感情で「損しない」第4章 他人の目から「自由になる」第5章 「正しく」競争する最終章 考える「基準」を持つ
著者プロフィール草薙龍瞬(くさなぎ・りゅうしゅん)僧侶、興道の里代表。1969年、奈良県生まれ。中学中退後、16歳で家出・上京。放浪ののち、大検(高認)を経て東大法学部卒業。政策シンクタンクなどで働きながら「生き方」を探究しつづけ、インド仏教指導僧・佐々井秀嶺師のもとで得度出家。ミャンマー国立仏教大学、タイの僧院に留学。現在、インドで仏教徒とともに社会改善NGOと幼稚園を運営するほか、日本では宗派に属さず、実用的な仏教の「本質」を、仕事や人間関係、生き方全般にわたって伝える活動をしている。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)
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