2022年6月22日水曜日

書評『人生の経営』(小学館新書、2022)-生涯現役で「人生のCEO」となれ! ビジョナリー出井氏の最後のメッセージ

 
先日、元ソニーCEOの出井伸行氏がお亡くなりになった。2022年6月2日だという。享年84。まさに「生涯現役」を地でいく生涯であった。R.I.P. 

この人は、早すぎたのだと思う。ソニーのCEOだった当時、「インターネットは隕石」だと危機感をあおっていたことは記憶しているが、この言説は「ものづくり軽視」と世間では受け取られたのである。おそらくソニーの社内でもそうだったのだろう。 だから、わたしは出井氏は「ビジョナリー」だったというのが適切だと思う。 

そんな出井氏の遺著となったのが『人生の経営』(小学館新書、2022)。ことし4月の新刊。訃報を耳にしたことで、はじめて出版されていることを知った。  

この本の前半は、出井氏自身のサラリーマンとしての「越境人生」について語っている。部門の壁を越え、国内外の壁を越える「越境」が「引き出し」を増やす「左遷」もまたその1つだという達観に近い見解は、サラリーマンであれば肝に銘じるべきであろう。 

後半は、現代日本のビジネス社会に生きるビジネスパーソンへの提言であり、応援歌である。

出井氏がソニーのトップマネジメントとして改革の指揮をとったのは58歳からの10年間。その後は、69歳から大企業の変革支援やベンチャー育成に専念し、文字通り「生涯現役」を貫いた。 そんな出井氏のメッセージは、反論もあろうが現役ビジネスパーソンはしっかりと受け止めるべきだ。

「定年制」の廃止は賛成。その趣旨については、この本を読んで確認していただきたい。 

このフレーズは出井氏自身はつかっていないのであるが、 「生涯現役」こそ出井氏のメッセージだと元サラリーマンのわたしは受け止めた。84歳で亡くなるまで生涯現役を貫いたのであった。




目 次
はじめに 定年という考え方をやめよう
第1章 サラリーマンこそ冒険しよう
第2章 左遷だって自らの糧にできる
第3章 変化の兆しをつかまえよう
第4章 培ったキャリアを外で活かす
第5章 ものづくり神話から脱却しよう
第6章 定年延長も退職金も要らない
第7章 ソニーに学んだ新しい企業の形
第8章 国内と対外の並列的な二重戦略に活路
おわりに あなたの人生の CEO はあなた自身


著者プロフィール
出井伸之(いでい・のぶゆき)
1937年、東京都生まれ。2022年6月2日没。
1960年早稲田大学卒業後、ソニー入社。主に欧州での海外事業に従事。オーディオ事業部長、コンピュータ事業部長、ホームビデオ事業部長などを歴任した後、1995年に社長就任。2000年から2005年までは会長兼グループ CEO として、ソニーの変革を主導した。退任後、2006年9月にクオンタムリープを設立。大企業の変革支援やベンチャー企業の育成支援などの活動を行う。NPO法人アジア・イノベーターズ・イニシアティブ理事長。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものに補足)。


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