映画『少林寺』(中国/香港、1982)を42年ぶりに視聴。100分。「4Kリマスター版」がDVDで発売されたので購入してしまったのだ。
ジェット・リーが、ハリウッド進出するはるか前のデビュー作。当時はリー・リンチェイ名義で出演していた。1963年生まれの彼は、わたしと同世代である。
全中国武術大会5カ年連続チャンピオンの彼だけでなく、すべての出演者が、いずれもホンモノの中国武術家たち。CGなど存在しない時代の作品だけに、カメラワークの稚拙さが目に付かないこともないが、すべてがリアルなのである。それがまた牧歌的でいい味出している。
さすがに、細かいシーンはほとんど覚えてなかったが、ひさびさに中国武術のパフォーマンスを堪能した。
それにしても、カラダの柔軟性を基礎に、ダイナミックな動きで構成される中国武術は、日本武術とはまったく違う。子どもの頃から鍛錬しないと習得は不可能だろう。
「日本人には中国武術はムリだ。カラダに柔軟性のないから」と、当時わたしが教わっていた合気道の有川師範先生が言っていたことを、あらためて確認した次第だ。
製作公開が1982年ということは、毛沢東が1976年に死去して「四人組」が断罪され、ようやく「文化大革命」(=文革)が終わり、鄧小平が復活してからわずか5年。文革の終焉が少林拳(=少林武術)の復興をもたらしたのである。
「天安門事件」(1989年)の7年前であり、1982年当時の中国はまだ1972年の「日中国交回復」から始まった「日中友好」時代のまっただなかであった。
隋から唐への王朝交替期を時代背景に、達磨大師が「面壁九年」していたという禅寺の少林寺を舞台にしていることから、当然のことながら映画には登場しないが、中国はいまだ人民服の時代であった。
る。
だからであろう、映画の冒頭と終わりに、日本の少林寺拳法の創始者であった宗道臣(そうどうしん)氏が少林寺を訪ねるシーンがでてくる。もちろん、日本の少林寺拳法は中国の少林武術に影響を受けているが別物である。
その意味では、古き良き中国映画の一つとして、2020年代の現在から振り返る意味は十分にある。中国武術映画として、中国仏教映画として。
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