2025年6月15日日曜日

麗澤大学にはじめて行ってきた(2025年6月13日)ー 「廣池千九郎記念館」を見学し、建学者の生涯とその精神である「モラロジー」について知る

 (写真はすべて筆者撮影による)


麗澤(れいたく)大学にはじめて行ってきた。昨日のことだ。 

千葉県柏市にある麗澤大学の存在は、千葉県北西部の居住者としては、もちろんずいぶん前から知っていたが、訪問したのは今回がまったくのはじめてのことになる。 



(廣池千九郎の銅像と記念館)


「モラロジー」とは「道徳科学」を意味する廣池自身による造語で、モラル(道徳)と、ギリシア語で学問を意味する「ロゴス」を組み合わせたものである。 

宗教のような響きがあるが、実際の内容は東洋道徳をベースにした現代人のためのモラルと、それをベースにした人間教育にある。 

モラロジーについては、「ニューモラル」という小冊子でその存在を知っている人も少なくないと思う。実家にも送られていたので、わたしもときどき見ていた。 

これまで麗澤大学を訪問することがなかったのは、アクセスの悪さも理由のひとつである。なんせ駅から遠いのだ。

今回は、東武野田線の新柏駅から約20分歩き、帰りはJR常磐線の南柏駅まで約20分歩いた。(ただし、わたし的には、たいした距離ではないのではあるが・・・) 




はじめて訪れた麗澤大学は、深い緑に囲まれた広大なキャンパスであった。なるほど約41万㎡という、なんと東京ドーム約9個分の土地を確保するには、利便性はある程度まで犠牲にしなくてはならないわけだ。 


(廣池千九郎記念館は、緑豊かなキャンパスの一角にある)


学外者なので「廣池学園」の守衛室で「入構証」をもらい、「廣池千九郎記念館」へ。記念館は講堂のなかに設置されている。 入場無料で、写真撮影はOKとのことである。



本館の展示室は「見学」と「自学」を目的に設計され、廣池の生涯と業績をテーマ別に紹介した1階生涯全体を時系列に従って詳しく紹介した地階から成ります。この地階にはご来館いただいた方々各自の関心に沿った学習ができるよう自学室を整備しました。地下には収蔵庫を有し、廣池の遺品や原稿を保管しています。 


平日の午前中に訪問したが、その時点では見学者は自分しかいなかったので、じっくりと見学することができた。廣池千九郎の生涯とともに、その業績や事業のあらましを知ることができた。 


(生涯を紹介したパネル展示)


大分の中津出身であり、帆足万里(ほあし・ばんり)の孫弟子にあたる。広瀬淡窓の咸宜園(かんぎえん)以来の漢学の素養がベースにあり、それが日本史や東洋史の研究業績につながったわけである。

後年に提唱することになる「モラロジー」の根底には、宗教というよりも、儒学を中心とした東洋道徳があることも大いに納得された。 


(地階にある書庫にはモラロジー研究のために収集した書籍が) 


そもそも「麗澤」という漢字熟語は、四書五経の『易経』に由来するものだという。「麗澤とは易の語にして、太陽天に懸りて、万物を恵み潤し育つる義なり」と廣池千九郎が書いている。「自学室」に掲げられている「大学之道在明明徳」は、これまた四書五経の『大学』に由来する。

 
(自学室に掲げられた額)


ビジネス関係者なら、耳にしたことがあるだろう「三方よし」は、一般的には近江商人の教えとされているが、「三方よし」というフレーズは、廣池千九郎がはじめてつかったものらしい。そんな気づきも得ることができた。 


(「三方よし」は廣池千九郎がはじめてつかった)



今後も廣池千九郎という、現在ではモラロジーや麗澤大学関係者以外では知られざる存在になってしまっている人物について、断続的となるだろうが、調べていきたい思っている。 

存命当時は、学問世界と宗教界だけでなく、政財界から皇室にいたるまで、幅広く多方面にわたる人脈と、一般社会にも大きな影響力をもっていた人なのである。 


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<ブログ内関連記事>

・・米屋の創業であった諸岡長蔵は、長年にわたって廣池千九郎のモラロジーを支え続けた人である

・・フランクリンは宗教よりも道徳が重要だとして、みずから「13徳」をつくって実践した人である

・・江戸時代後期の19世紀の前半の大分に生きた儒者・帆足万里(ほあし・ばんり)の『東潜夫論』(とうせんぷろん)にそうある

・・大蔵永常も大分出身


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