今年は辰年。龍年と書くように、龍の年ですね。
干支では、ねー・うし・とら・うー・たつ・みー・・と、辰年の龍と巳年の蛇が別個のものとして並んでいますが、じつは龍も蛇も、もともとはインド文明におけるナーガ神なのです。
ナーガは、インドでは仏法を守り、豊穣を司る水の神となりました。
インド文明圏から発したナーガ信仰は、仏教の伝播とともに、東南アジアへひろがり、そして中国では角を生やし翼をもった龍という想像上の聖獣となり、皇帝の権力の象徴になりました。
水神である龍の信仰は、朝鮮半島を経て日本にも伝わりました。
日本では仏教伝来以前から蛇信仰があったことは、八岐大蛇(やまたのおろち)の伝説や、三輪山のご神体が蛇であることからもよくわかることです。
『龍と蛇<ナーガ>-権威の象徴と豊かな水の神-』(那谷敏郎、大村次郷=写真、集英社、2000)という写真集がありますが、まさに龍=蛇=ナーガであることを示した内容になっています。
中国、朝鮮半島、香港、ラオス、タイ、カンボジア、インド、ネパールと旅をして撮影された写真が満載の本です。
東南アジアにおいて豊かな水がもつ意味は、昨年2011年のタイの大洪水でも明らかになったとおりですね。
稲作のために不可欠な水は天の恵みである一方、洪水もまた天にによってもたらされるもの。恵みと災いはつねに物事の両面であるというわけです。
上座仏教世界では、ブッダを護るのはナーガの役目。後光のようにコブラが拡がってブッダを護っています。
日本に伝来した密教では、不動明王の剣には倶利伽羅龍(くりから・りゅう)が巻き付いている場合もあって「倶利伽羅剣」とよばれていますね。
滝の正字体の「瀧」の字は「龍」にさんずい。密教や修験道で、滝行(=瀧行)があるのはその関連なのでしょう。
なせ古代中国人は、あえて龍と蛇を別個に並べたのか知りませんが、二年間は連続して考えたほうがよいということなのかもしれません。
「龍頭蛇尾」という四字熟語も、よく使われているのとは違う意味が本来はあるのかもしれないと考えてみるのも、アタマの体操にはなるでしょうか。
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