2014年10月23日木曜日

新潟中越地震から10年(2014年10月23日)-児童文学の名作 『鯉のいる村』(1969年)の舞台は山古志村


2003年10月23日の新潟中越地震からはや10年。山古志村(やまこし・むら)も地震の大きな被害にあったことを忘れてはならない。
   
山古志村は、牛の角突きと錦鯉の養殖で有名な場所。山古志村そのものは、町村合併でもう存在しないが、故郷へ思いを寄せる人々の思いは強い。
   
小学校の頃、東京都三鷹市に住んでいたのだが、担任の先生に連れられて『鯉のいる村』という映画を見に行ったことを覚えている。
   
いまではインターネットでなんでも調べることができるので、その映画が、いまから43年前の1971年に製作されたものであることも、山古志村を舞台にしたものであることもわかる。
   
原作は、『鯉のいる村』(岩崎京子著、岩崎ちひろ+東本つね 絵、新日本出版社、1969)。「新日本少年少女創作文学」シリーズの一冊。まだ「民主主義」がまだ真剣に語られていた頃の作品だ。新日本出版社は左派の出版社である。

新日本出版社のウェブサイトには、『鯉のいる村』が以下のように紹介されている。この児童文学はロングセラーなのである。

友禅模様のように美しい鯉。村では鯉は重要な収入源だ。達夫も自分の鯉「クロ」をもっている。ある日、家にいとこのゆう子があずけられた。ふたりは山の池でクロを飼うことにした…。命あるものへの愛と感動を描く。他に「ぼたん」など4編。緑陰図書・芸術選奨文部大臣賞・野間児童文芸賞・サンケイ児童出版文化賞

思うに、すぐれた児童文学や名作絵本が、日本の「戦後民主主義」によって生み出されたことは否定しようがない。面白いことに、政治的には正反対の立場にあるはずのサンケイが賞を与えているのである。いいものはいい、そういう姿勢がすばらしいではないか。

わたし自身は左派の人間ではまったくないのだが、公立の小中学校に通っていたわたしは、子ども時代には無意識のうちにリベラル派の多大な影響を受けていることは十分に自覚している。
    
すでに民主主義は機能不全の状況に陥っているが、たとえ時代は変わっても、「戦後民主主義」が生み出したきわめて良質な作品は、これからも大事にしていかなくてはならないと思うのである。






<関連サイト>

鯉のいる村 | Movie Walker

山古志村ホームページ(新潟県長岡市山古志)


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(2022年7月30日 情報追加)



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