(自律制御システム研究所の大型有線給電型ドローン)
幕張メッセで本日(2015年5月20日)から3日間にわたって開催中の「第1回 国際ドローン展」に行ってみた。事前登録で入場料無料。
「国際ドローン展」とうたっているものの、「テクノ・フロンティア2015」というメカトロニクスとエレクトロニクス分野の要素技術と製品設計関連の展示会の一部であった。ビジネス向けの展示会である。
ことし2015年の5月に入ってから、政府官邸に墜落していたことがテレビ報道で大々的に取り上げられてから、日本でもドローン関連の話題が一般化しているが、この展示会は社会で話題になる前に企画されたものであろう、無人機ドローン関連の出展者数は総計50社程度と少ないが、ドローンのビジネス用途を考えるうえではおおいに参考になる。
上空からの観測や空撮、監視とセキュリティ、災害現場や農場でのモニターなどでの使用など、多様な用途にすでに取り組んでいる企業の出展があり、見ていてなるほどと思わされた。具体的にいえば、建設現場での活用に取り組んでいるコマツやセキュリティ関連のセコム、それに中日本高速道路などである。法規制の問題は残るが、さまざまな用途での応用が活発に検討されるようになっていることが確認できる。
展示会のなかで一番存在感があったのが株式会社自律制御システム研究所の展示。千葉大学の野波研究室における研究成果を商業化するために設立された大学発ベンチャーである。ミニサーベイヤーという商品名で量産化に着手している。飛行実演のデモも行われた。冒頭に掲載した写真は、大型有線給電型ドローン、かなりの大きさである。
いまではあたり前の情報通信技術のインターネット、衛星をつかって位置を特定する GPS(=Global Positioning System)、これらはみな米軍の軍事技術として誕生し、その後に民間に開放されてきたものだ。無人機ドローンもまたそうであり、しかも先にあげたの2つの軍事技術なくしては誕生しなかったものである。無人機そのものはハードウェアだが、無人機の運用はインターネットとGPSを統合したシステムなのである。
自分の仕事には直接関係がなくても、あるいはすぐにはかかわらないものであっても、話題になっているものは、自分の目で直接見て確かめるべきだろう。百聞は一見にしかず、である。
「第1回 国際ドローン展」(2015年5月20日~22日 幕張メッセ)
「ドローン 可能性と脅威のはざまで」 (NHKクローズアップ現代、2015年5月21日放送)
<ブログ内関連記事>
書評 『無人暗殺機ドローンの誕生』(リチャード・ウィッテル、赤根洋子訳、文藝春秋、2015)-無人機ドローンもまた米軍の軍事技術の民間転用である
・・インターネットとGPS、そしてその延長線上の軍事技術として開発されたドローン
書評 『21世紀の歴史-未来の人類から見た世界-』(ジャック・アタリ、林昌宏訳、作品社、2008)-12世紀からはじまった資本主義の歴史は終わるのか? 歴史を踏まえ未来から洞察する
・・プライバシーがなくなり監視がつよまる世界という未来図
法哲学者・大屋雄裕氏の 『自由とは何か』(2007年) と 『自由か、さもなくば幸福か?』(2014年)を読んで 「監視社会」 における「自由と幸福」 について考えてみる
・・ドローンの普及は、ビジネス面における利便性向上と同時に、上空からの監視の強化にもつながるであろう
(2015年5月22日 情報追加)
(2012年7月3日発売の拙著です)
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