2015年6月14日日曜日

書評『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる-日本人への警告-』(エマニュエル・トッド、堀茂樹訳、文春新書、2015)-歴史人口学者が大胆な表現と切り口で欧州情勢を斬る


ここ数年、うすうすと感じてきたことを、かくも大胆に言語化してくれたことに敬意を表したい。そういう感想をまず記しておきたい。

『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる-日本人への警告-』(エマニュエル・トッド、文春新書、2015)は、日本でも著書が多数翻訳されて著名な、フランスを代表する歴史人口学者が大胆な切り口で欧州情勢を斬ったインタビュー集である。著者の申し出がキッカケとなって実現した、日本オリジナル編集版である。初出はいずれもフランスのネットメディア。

日本人読者にとって、なによりも関心が高いのは「ドイツ帝国」という表現とその実態についてであろう。

第一次世界大戦の敗戦でドイツ帝国が崩壊してすでに約1世紀、「第三帝国」の名のもとに世界を混乱に陥れたナチスドイツが崩壊して70年。そして米ソ冷戦体制崩壊から四半世紀以上が立ったいま、ふたたび「ドイツ帝国」が浮上してきたのである。

もちろん、いま浮上してきたドイツ帝国はカッコ書きの「ドイツ帝国」である。ドイツ自身が帝国を名乗っているわけでも、ドイツ人自身が豪語しているわけでもない。むしろ、その逆であろう。だが、ドイツは好むと好まざるにかかわらず、実質的に「帝国」というべき存在になりつつある。すくなくとも欧州の中心がドイツになっているのは、もはや誰も否定できないことだ。

なぜドイツが欧州の中心となり、帝国化しつつあるのか?

まずは地政学的なポジションがある。冷戦崩壊によって再浮上したのが「中欧」という概念である。ドイツ語でミッテルオイローパ(Mitteleuropa)という。このドイツ語のニュアンスは英語でもフランス語でも表現しにくいが、文字通りドイツが欧州の中心に位置するということを意味している。

さらに重要なことは、いまやドイツは欧州経済の中心となったという事実である。欧州共通通貨ユーロ(Euro: ドイツ語ではオイロという)の危機が問題となっているが、危機的状態にあるギリシアを筆頭に南欧経済が閉塞する一方、ドイツ経済の一人勝ち状態がもたらされており、ますます状況が進展しているのである。

共通通貨の最大の受益者であるドイツは圧倒的な経済力をもつに至り、その経済力が実質的な政治力を発生させている。かつてのバブル期の日本を想起させる状況となってきているのである。

再統一前のドイツは東西に分割されており、西側先進国の日本も西ドイツも、アメリカの支配体制のもとにがっちりと組み込まれていたが、日本が経済的な絶頂期に達した1980年代後半は、いまだ米ソ冷戦期であり、衰退過程にあったとはいえ米ソともに軍事的なパワーは圧倒的なものがあった。増大する日本経済のパワーはアメリカをも凌駕する勢いを示し、日米経済戦争といわれる状況であったのだ。

「シュレーダー改革」によって強靱なパワーを確立した2010年代前半のドイツは、1980年代後半の絶頂期の日本とは置かれている環境が異なる強大化するドイツは、東アジアでいえば台頭する中国のような存在であり、アメリカのパワーが縮小するなかで、相対的にアメリカと対等の存在となりつつあるのだ。

エマニュエル・トッド氏の分析が興味深いのは、人口学の観点から「ドイツ帝国」のパワーを見ている点にある。

ドイツ本国自体は、日本と同様に出生率も低下しているのだが、周辺のドイツ語圏や、ドイツ経済圏に組み込まれている国々の人口を合わせると、人口規模ではアメリカを上回る(!)のである。

ドイツは、冷戦崩壊後に資本主義体制に組み込まれた旧東欧の国々の安い賃金を利用して生産を行い(・・この点は日本よりも有利な立場だ)、ドイツマルクを捨てて導入を決意した共通通貨ユーロがつくりだした広域市場では、為替リスクなしで(!)製品を輸出販売することができるのである。

ドイツ経済にとっては、きわめて都合のよい仕組みができあがったというわけだ。

欧州で一人勝ちしているドイツは、「秩序は人生の半分」(Ordnung is halbe des Leben)という格言をもつドイツ人のオブセッションである財政規律をドイツ以外にも押しつけている。経済の枠を越えて、政治の領域でもドイツがパワーを行使しはじめたのである。その対象は財政破綻状態のギリシアだけではない。その他の南欧諸国に対しても同様である。

エマニュエル・トッド氏もなんどか指摘しているが、ドイツ人は巨大なパワーを握ったときの、パワー行使の仕方に問題があるという。

ドイツ統一の最大の功労者ビスマルクが作り上げたドイツ帝国を崩壊させたヴィルヘルム二世しかり、第三帝国をつくりあげたが無謀な戦争で崩壊させたヒトラーしかり。大日本帝国を破綻させた日本もそうであったが、ドイツもまた「帝国」をマネジメントする能力には欠けるものがあるようだ。この点は、古代ローマとも、英国とも、アメリカとも異なる点だ。

気がついたら出現していた「ドイツ帝国」。はたしてドイツ人に帝国をマネジメントしていく覚悟と能力があるのか? 「ドイツ帝国」がふたたび世界の混乱要因となるのではないかという著者の懸念と憂慮は、大いに傾聴に値するといえよう。

ユダヤ系フランス人だからドイツ嫌い(?)だという印象を受けるかもしれない。たしかに、ドイツに従属的な無力なフランスの現状に対するいらだちのようなものは感じるのだが、イスラーム世界への偏見をもたない著者であり、とくにドイツ人に対する嫌悪感を抱いているわけではないようだ。
  
基本的に「普遍的人間像」を想定するフランス人の思考の弱点をついている点こそ、歴史人類学者としての立場が鮮明にでており好感がもてる点だ。基本的に左派の立場だが、旧来型の「フランス知識人」とは違って、経済学者のピケティと同様、アングロサクソン的思考法も身につけている人である。もちろん、いい意味のフランス的教養の厚みも兼ね備えてる。

出版元の文春としては、「ドイツ帝国」出現のアナロジーとして、中国台頭に目を向けたいのであろう。そのアナロジーが正しいのであれば、中国共産党もまた同じ道を歩む可能性が高い。現在、「ドイツ帝国」は肥大化しつつあるが、急速に巨大化したがゆえに比較的短期間で崩壊した過去の「ドイツ帝国」を想起する必要があろう。

台頭するドイツと、ふたたび復活しつつあるロシア欧州大陸の政治経済情勢を左右するのはフランスデも英国でもなく、ふたたびドイツとロシアである。人口学の観点を踏まえた議論をすすめていくと、著者とは異なる立場にあるジョージ・フリードマンの地政学の議論と似てくるのが興味深い。ただし、フランスから見ているトッドと、アメリカから見ているフリードマンとのあいだには、それぞれの国のドイツとの関わりかたの違いに起因するズレはある。

著者はビジネス界の人ではないので言及がないが、本書の議論に重ねて、ドイツ産業界が国を挙げて推進している「インダストリー4.0」を重ねてみれば、世界の政治経済におけるドイツが無視できない強大なパワーとなっていることに気がつくはずだ。

欧州情勢の構造的変化を知ることにより、世界情勢の構造的変化を知ることにつながる好著であるといえよう。




目 次

日本の読者へ
1 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る(2014.8)
2 ロシアを見くびってはいけない(2014.5)
3 ウクライナと戦争の誘惑(2014.5)
4 ユーロを打ち砕くことができる唯一の国、フランス(2014.6)
5 オランドよ、さらば!-銀行に支配されるフランス国家(2013.5)
6 ドイツとは何か?(2011.12)
7 富裕層に仕える国家(2011.12)
8 ユーロが陥落する日(2011.11)
編集後記

著者プロフィール

エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)
1951年生まれ。フランスの歴史人口学者・家族人類学者。国・地域ごとの家族システムの違いや人口動態に着目する方法論により、『最後の転落』(76年)で「ソ連崩壊」を、『帝国以後』(02年)で「米国発の金融危機」を、『文明の接近』(07年)で「アラブの春」を次々に“予言”。『デモクラシー以後』(08年)では、「自由貿易が民主主義を滅ぼしうる」と指摘。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


訳者プロフィール

堀茂樹(ほり しげき)
1952年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部教授(フランス文学・哲学)。翻訳家。アゴタ・クリストフの『悪童日記』をはじめ、フランス文学の名訳者として知られる。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

<付記>

ジョージ・フリードマンの最新刊 Flashpoints The Emerging Crisis in Europe, 2015 の「第9章 ドイツ問題ふたたび」を参照。トッド氏とは異なる立場にあるジョージ・フリードマンの地政学の議論は重要だ。トッドの著書とあわせて読むべき。日本語訳が出ている。



<関連サイト>

インフラ投資銀、ドイツが第4位の出資国に=資料 (ロイター、2015年6月10日)
・・[ベルリン 9日 ロイター] - 中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)にドイツが 4.1%出資する意向であることが9日、ロイターが入手した財務省の書類草案で明らかになった。 出資比率は中国、インド、ロシアに次ぎ、第4位になる見通しだ。 ドイツ政府は10日、AIIB設立文書に関する採決を行う予定」 西欧諸国のなかで突出した存在のドイツの意味を考えよ

Germany Emerges  Geopolitical Weekly FEBRUARY 10, 2015 (By Gertoge Friedman, STRATFOR)
・・地政学の立場から「ドイツ問題」を考察するジョージ・フリードマンの論考

Beyond the Greek Impasse  Geopolitical Weekly JUNE 30, 2015 (By George Friedman, STRATFOR)
・・同上。「ギリシア問題」は「ドイツ問題」であることを、キプロスと対比させる形で論じている。債務国のギリシアと債権国のドイツは、裏返しの関係にある。ドイツにとってユーロ危機は存在そのものを脅かす脅威である

An Empire Strikes Back: Germany and the Greek Crisis   Geopolitical Weekly JULY 14, 2015 (By George Friedman)
・・上記の記事のつづき。「ギリシア問題」は「ドイツ問題」である!

いま、ドイツと北京を直通列車が走っている 中国とEUつなぐ、習金平の新シルクロード構想(遠藤誉、日経ビジネスオンライン、2014年4月10日)
・・その後、この構想は「一帯一路」として公表されることになる

インダストリー4.0とは何か? ドイツが官民一体で進める「第4の産業革命」(1)  熊谷 徹 (日経ビジネスオンライン、2014年7月22日)

難民問題に臨んでメルケル首相が行なった歴史的決断  「モラルと倫理の政治」は、ドイツと英仏間の格差を歴然とさせた (熊谷 徹、日経ビジネスオンライン、2015年9月10日)
・・EUの盟主としての自覚を発揮するドイツにも注目する必要がある

緊急インタビュー! 仏学者エマニュエル・トッド 「VW事件から見えてくる ドイツ最大のの弱点」 ~やっぱりドイツが世界をダメにする? (現代ビジネス、2015年10月12日)
・・ドイツはギリシア問題、難民問題につづいてフォルクスワーゲンの排ガス規制不正事件など、つぎからつぎへと困難に遭遇中。
「私はさきほど技術的な評判はあまり問題ではないと言いました。なぜかといえば、排ガスをごまかすための装置というものを作れること自体、技術的に妙技であるといえるからです。では、私が真に問題と考えるのはなにか。それは、諸問題を単にテクニカル(技術的)なものとして扱い、モラル(道徳)の面を忘れてしまうという古くからのドイツの傾向です。フォルクスワーゲンのスキャンダルが起きて、世界中の人々はそんなドイツの特質を思い出したでしょう。知っての通り、この種の『中身のない合理性』は、それ自体が危険なのです」

【日本人へ】 なぜ、ドイツ人は嫌われるのか(塩野七生、「文藝春秋」2015年9月号 巻頭エッセイ)
・・イタリア人詐欺団による『300ユーロ紙幣事件』でだまされたドイツ人の話

ドイツも中国に見切り…不要論まで飛び出す強烈な手のひら返し (MAG2ニュース 国際、2016年1月27日)
・・「無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者、北野幸伯氏が中国経済の状況に不安を感じたドイツが中国を見放し始めていることを指摘

ドイツ人教授が、E・トッドらのドイツ脅威論に反論する (フランク・レーヴェカンプ、幻冬舎plus、2016年4月9日)

メルケル首相も王毅外相も見落としている-日本とドイツでは戦後状況が異なる (遠藤誉、2015年3月10日)
・・「ドイツのヨーロッパ近隣諸国における戦後処理と、日本の戦後処理は全く異なり、日本には選択の余地はなかった。アメリカの言う通りに動き、アメリカのご機嫌をうかがいながら、その意向に沿って動く以外になかったのだ。メルケル首相も王毅外相も、その事実を直視していない」 つまり中国とドイツは、事実から目を背けほっかむりしているということだ。

(2015年7月1日、15日、9月10日、2016年1月2日、27日、5月21日、7月24日・27日 情報追加)



<ブログ内関連記事>

書評 『アラブ革命はなぜ起きたか-デモグラフィーとデモクラシー-』(エマニュエル・トッド、石崎晴己訳、藤原書店、2011)-宗教でも文化でもなく「デモグラフィー(人口動態)で考えよ!
・・「2008年のリーマンショック後にEU域内で強くなる一方の一人勝ち状態のドイツについて、トッドは以下のような発言をしている。「第10章 ドイツ-昨日はナチス、今日はエゴイスト」。

なぜドイツは、いまヨーロッパ内で、完全に利己主義的な経済政策を取っていると、お考えですか? ドイツは、普遍主義的なヨーロッパ的態度を取ることができないのです。・・(中略)・・ 普遍的なヨーロッパ的人間という何らかの観念に導かれて、ドイツがその強大な経済力をもってヨーロッパ全体の面倒を見てやるという気になる、ということがないのです。ドイツと日本は、沈静化した国で、本物の民主主義国です(ただ、日本人の方が、ユーモアのセンスがありますので、優位に立っていますが.......) ・・(以下略)・・  (*太字ゴチックは引用者=さとう)

ドイツの特殊性を論じるトッドだが、彼がフランス人だからというバイアスも感じなくはない。だが、世界情勢を見るにあたって傾聴に値する見解である。日本人の優位性を指摘する( )内の発言は、日本人としてはありがたい発言ではあるが(笑)

ドイツは、本物の政権交代型民主主義国ではありません。ともすると大連立を選ぼうとする傾向があります。それは脅威と言っているのではありません。ドイツは、巨大なドイツ語系スイスのようなものだと、言っているのです。・・(中略)・・ 西洋民主主義とは、その最も狭い意味において、その出発点において、その創設的中核というものは、フランス、イングランド、アメリカ合衆国だからです。つまりはトックヴィルの世界なのです。今日、歴史的な西洋というのが、当初から政治面でドイツを含んでいたなどという考えは、妄想というべきなのです。 (*太字ゴチックは引用者=さとう)


2015年1月から放送されたNHK・Eテレの「パリ白熱教室」は、「格差問題」という旬の話題の研究者であるピケティ教授の連続レクチャーシリーズ
・・ピケティ教授も、いわゆる「伝統的なフランス型知識人」ではない

書評 『歴史入門』 (フェルナン・ブローデル、金塚貞文訳、中公文庫、2009)-「知の巨人」ブローデルが示した世界の読み方
・・20世紀を代表する歴史家フェルナン・ブローデル。アナール派の総帥として「数量史」「時系列史」の先鞭をつけた社会経済史家


現代ドイツとドイツ人

書評 『ドイツリスク-「夢見る政治」が引き起こす混乱-』(三好範英、光文社新書、2015)-ドイツの国民性であるロマン派的傾向がもたらす問題を日本人の視点で深堀りする
・・トッドとほぼ同時期に出版された本。日本人の著者による日本人向けの本書は、日本人読者にはよピンとくる内容であろう

書評 『ユーロ破綻-そしてドイツだけが残った-』(竹森俊平、日経プレミアシリーズ、2012)-ユーロ存続か崩壊か? すべてはドイツにかかっている
・・「いい意味でも悪い意味でも、いまやドイツは欧州の中核にある。ドイツがいかなる行動をとるかによってユーロの運命は決まるのである」 ユーロ ドイツ一人勝ち アタマの引き出し

ドイツを「欧州の病人」から「欧州の優等生」に変身させた「シュレーダー改革」-「改革」は「成果」がでるまでに時間がかかる
・・大連合によって成立したメルケル政権は「シュレーダー改革」の延長線上にある

ドイツが官民一体で強力に推進する「インダストリー4.0」という「第4次産業革命」は、ビジネスパーソンだけでなく消費者としてのあり方にも変化をもたらす

書評 『なぜメルケルは「転向」したのか-ドイツ原子力40年戦争の真実-』(熊谷 徹、日経BP社、2012)-なぜドイツは「挙国一致」で「脱原発」になだれ込んだのか? 
・・福島第一原発の事故の際、ドイツ人が示した態度につよい違和感を感じたのは、わたしだけではあるまい。ドイツ人の意識あるいは無意識の根底には、ぬぐいがたいアジア人への蔑視があるのではないか?
本書を読むと、先進工業国という共通性をもちながら、およそドイツ人と日本人は似て非なる民族であることが手に取るようにわかる。
ユーラシア大陸の東端にある島国と、大陸の「中欧」国家であるドイツとは地政学的条件もまったく異なるのである。陸続きで何度も国土を蹂躙された経験をもつドイツ人の不安心理は長い歴史経験からくるものであろう。
本書を読んで、日本人とドイツ人のリスクにかんする意識の違いはわかった。もちろん日本人の「根拠なき楽観」は大きな問題だが、といって一概にドイツを礼賛する気にはなれない。なんだかナチスドイツに一斉になびいた戦前のドイツを想起してしまうからだ。

書評 『あっぱれ技術大国ドイツ』(熊谷徹=絵と文、新潮文庫、2011) -「技術大国」ドイツの秘密を解き明かす好著
・・「ドイツを特徴づけている、いわゆるミッテルシュタント(Mittelstand:中規模企業)だという。日本でいえば中堅中小企業がこれに該当するといっっていいだろう。 ドイツ人経営コンサルタントのヘルマン・ジモン(Hermann Simon)のいう「隠れたチャンピオン」(hidden champions)の一つと考えてよいのだろう。ニッチ市場に特化して、世界シェアを占める無名のミッテルシュタント(中規模企業)が活躍しているのがドイツなのである。 ポルシェやディーゼル、ツェッペリンなどの綺羅星のような発明家は本書でも取り上げられているが、世界的な知名度は高くなくても、現在でも多くの起業家を輩出している国がドイツなのである。たとえ、アメリカのソリコンバレーほどの派手さはないとしても。」  「隠れたチャンピオン」についてはトッドも言及

書評 『ブーメラン-欧州から恐慌が返ってくる-』(マイケル・ルイス、東江一紀訳、文藝春秋社、2012)-欧州「メルトダウン・ツアー」で知る「欧州比較国民性論」とその教訓
・・「秩序と規律をこよなく愛すドイツ人は、ギリシアとはまさに正反対にあるこことは言うまでもない。だが、そのドイツにも落とし穴があったことを指摘するルイスはじつに鋭い。「リーマンショック」の際、ドイツの金融機関が無傷であったわけではないのだ。「ルールを偏愛するがゆえの脇の甘さ」という指摘はじつに示唆に富む。・・(中略)・・さらに、「ドイツははたしてヨーロッパ化されたのか」という根源的な疑問が欧州で復活していることも見逃せない。ナチス以後の「ユダヤ人を欠いたドイツ金融界」は、考えてみれば日本と同じである。これは、英米の金融界との大きな違いであることは間違いない。このことが何を意味しているかは、いろいろ考えてみる価値はある。」

書評 『スノーデンファイル-地球上で最も追われている男の真実-』(ルーク・ハーディング、三木俊哉訳、日経BP社、2014)-国家による「監視社会」化をめぐる米英アングロサクソンの共通点と相違点に注目
・・「ドイツのメルケル首相の個人使用の携帯電話が NSA によって盗聴されていた事実。旧東ドイツの秘密警察・情報機関シュタージの盗聴世界のなかで生き抜いてきたメルケル氏にとっては、まさに悪夢の再来ともいうべき事態であったことだろう。 この件が明るみになってドイツの世論に火がついたのだが、東ドイツ時代の秘密警察シュタージによる監視社会を体験しているドイツ人は、ことさら監視についてはナーバスであり、西ドイツ出身者であってもナチズム体制を体験している点においてドイツ人にとっての共通認識であるのかもしれない。」


ドイツと中国の「野合」?

書評 『日中戦争はドイツが仕組んだ-上海戦とドイツ軍事顧問団のナゾ-』(阿羅健一、小学館、2008)-再び繰り返される「中独合作」の原型は第一次世界大戦後にあった


「帝国」という統治システムの成功例:大英帝国

書評 『大英帝国衰亡史』(中西輝政、PHP文庫、2004 初版単行本 1997)-「下り坂の衰退過程」にある日本をどうマネジメントしていくか「考えるヒント」を与えてくれる本

書評 『大英帝国という経験 (興亡の世界史 ⑯)』(井野瀬久美惠、講談社、2007)-知的刺激に満ちた、読ませる「大英帝国史」である

書評 『大英帝国の異端児たち(日経プレミアシリーズ)』(越智道雄、日本経済新聞出版社、2009)-文化多元主義の多民族国家・英国のダイナミズムのカギは何か?

(2015年7月7日、10月16日、25日 情報追加)
(2016年1月15日 情報追加)



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