2015年6月10日水曜日

花菖蒲(ハナショウブ)は日本人が育ててきた美しい梅雨時の花

(花菖蒲 個人宅の庭先にて)

6月の花といえばハナショウブ。漢字で書くと「花菖蒲」。すでに5月から咲いていますが、梅雨時の花といっていいでしょう。

「菖蒲湯」というと、5月5日の端午の節句がらみのものですが、こちらは花ではなく、菖蒲の根や葉をいれて沸かしたお風呂のこと。わたし自身は、菖蒲湯につかったことはありませんが、菖蒲というとこちらを想起する人が少なくないかもしれません。

首都圏で「花菖蒲」を楽しめる場所といえば潮来(いたこ)の水郷がありますが、東京都内であればなんといっても堀切菖蒲園でしょう。東京の下町・葛飾区にある菖蒲園です。京成電鉄の駅の名前にもなっています。寅さんで有名な柴又にも近い。

(堀切菖蒲園にて 筆者撮影)

堀切菖蒲園には7年前の6月に訪れたことがあります。現在では周りを高速道路や建物に囲まれた一角に菖蒲園がありますが、花菖蒲の種類の多さにはほんとうに驚かされます。日本に自生する菖蒲ですが、日本人が長い年月をかけて品種改良を重ねてきたわけです。

花をめでる気持ちには共通するものがある、というよりも、やはり日本人の美に対するあくなき追求が、美しい花菖蒲を育ててきたのと思います。『江戸のガーデニング』(青木宏一郎、平凡社コロナブックス、1999)によれば、花菖蒲はとくに幕末以降に一般的な流行が始まったようです。

ハナショウブが広く庶民の支持を得たのは、何といっても幕末に入ってからだ。花の観賞の仕方もそれまでとは一変している。従来は単体の花を眺めて、花自体の美しさを鑑賞していたと思われるが、幕末のハナショウブに関してはまとまった群落をより自然に近い環境の中に置いて、周辺の景色と一書に眺めて楽しむという方向に変化していった。 (出典;『江戸のガーデニング』P.98)

堀切菖蒲園は1844年(弘化元年)頃から人気スポットとなったようだですが、その当時の姿は広重が浮世絵として取り上げられています。周辺の状況は、170年後の現在では一変してしまっていますが・・・

(歌川広重  名所江戸百景「堀切の花菖蒲」)

日本の花菖蒲は、東南アジアの蘭の花と並び称されるものだといっていいのではないかな、と個人的には思っています。なぜなら花の形や色に似ているものがあるから。ともに熱心なファンがいるから。

オーキッド(=蘭)はタイやシンガポールなど熱帯性気候の東南アジアで栽培されています。日本で栽培する場合、温室など特別な施設とケアが必要です。

それに対して、ジャパニーズ・アイリス(=花菖蒲)「の場合は、蘭ほどのケアは必要ではないので栽培は比較的簡単です。そもそも日本には自生している植物です。そのため、蘭にくらべてエキゾチックさがないこともあって、やや軽視されがちなのかな、と残念な気持ちがなくもありません。

温室内ではなく、日本の自然環境のなかで育ち、花を咲かせる花菖蒲。この季節にはぜひ楽しみたいものですね。







<関連サイト>

堀切菖蒲園のご案内 (ほりきり発見伝)


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