なんだかエキゾチックな花が咲いているのが目に入ってくる。だが、名前がまったく思い浮かばない。
誰かに聞いてみようかと思ったが、知らない土地だし、しかもその花が咲いているお宅の住人もいないのでたずねようもない。フェイスブックなどのSNSに画像を投稿して、情報をもっている人に回答を求めるという手もあるだろう。
だが、とりあえずネット検索で判明するかどうかトライしてみた
検索ワードは、「黄色 花 下向き ラッパ 秋」とした。まったく知らない植物なので、タグとなる検索ワードを多めに設定する。
花の色は黄色、しかも花は上向きではなく下向き、ラッパ状に開いており、いまこの季節は秋、だから。この植物の特徴を見た目から分解し、検索キーワードを想定してみたわけだ。なお、とくに強い匂いはなく、もっぱら視覚に訴えてくる花だ。
こういう場合は、画像検索してみるのがよい。その結果、この花が「エンジェルトランペット」だと判明した。ネット上には、すでに大量の画像がアップされている。タグで手繰り寄せることに成功したというわけだ。
この花が「エンジェルトランペット」とわかれば、あとは文字検索して情報を集めればよい。そうすると、まず検索されるのは「キダチチョウセンアサガオ属」という wikipedia情報だ(2015年9月30日現在)。冒頭の一節を引用しておこう。
キダチチョウセンアサガオ属(-ぞく、学名:Brugmansia)ナス科の属のひとつで、低木または高木である。学名のカタカナ表記で、ブルグマンシア属と呼ぶこともある。また、園芸名でエンジェルストランペット、エンジェルトランペット(Angel's Trumpet)と呼ばれることが多い。花言葉は、愛敬、偽りの魅力、変装、愛嬌。
なるほど、ナス科の植物のわけか。そういわれれば、色は違うが紫色のナスの花や、おなじくナス科の黄色い花を咲かせるトマトの花に似ているような気もする。
「原産地はアメリカの熱帯地方だが、暑さが苦手で高地にしか生息していない」、とある。ここでいう「アメリカ」とは南米のことだろう。wikipedia英語版でみると、Brugmansia are native to tropical regions of South America, along the Andes from Venezuela to northern Chile, and also in south-eastern Brazil. とある。つまり正確にいえば、南米の北部が原産地である。
園芸名でエンジェルストランペット、エンジェルトランペット(Angel's Trumpet)というのも、なるほどステキなネーミングだな、とも思う。天使のトランペット、か。『ヨハネの黙示録』には、七つの封印のうち第7の封印が子羊によってとかれた際に、神の御使いである天使がラッパを吹き鳴らす、とある。
キダチチョウセンアサガオ属の植物は広義のチョウセンアサガオの仲間であり、同様に有毒植物である。含まれている成分はスコポラミン(ヒヨスチン)、ヒヨスチアミンなどである。薬草に使われることもあるが、一般には毒草として扱われるので、取り扱いには十分注意が必要である。主に地下茎から抽出した成分は、聴覚性幻覚・急性痴呆・行動異状を引き起こす。(同上)
天使のラッパには毒がある!天使だから取り扱い注意というわけだな。
人に聞いてもわからない、たとえ聞いても的確な答えが返ってこないことも多い。そんなときは、検索テクニックを駆使して、自分で調べてむるのもいい。そのために必要なことは、よく観察して特徴をピックアップすることである。
画像検索にせよ、文字検索にせよ、自分の手を動かしてみることである。じつはこれがいちばん早いということも少なくない。「急がば回れ」ということだ。
この花の名前はもう忘れることはないだろう。
PS 画像検索ツール
この記事を書いたのは2015年のことだが、2024年の現在では、たとえば Google なら「Googleレンズ」というアプリが「画像検索」としてスマホで利用できる。ずいぶん便利になったものだな、と。(2024年5月12日 記す)
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Study nature, not books ! (ルイ・アガシー)
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・・エドワード・バーン=ジョーンズの 「フラジオレットを吹く天使」(1878年)は、まさに「天使のトランペット」である
(2015年12月30日 情報追加)
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