(見事なまでにオレンジ色に熟したカラスウリ 筆者撮影)
カラスウリをひさびさに発見した。
この時期になると、熟して真っ赤に(・・正確にいうとオレンジ色に)染まるので、いやでも(?)目に入ってくる。ホオズキのようなオレンジ色というか、ハロウィーンのパンプキンのような見事なオレンジ色である。
といいたいところだが、なぜか近年は見たという記憶がない。
子ども時代は、都会に住んでいながらも、よく目にしたものだが、大人になってからはそんな機会が減ったためか、それとも都市部では見なくなったからなのか。カラスウリを目にしたことはほとんどなかった。
カラスウリを見たのは廃屋の前である。最近は都市部の市街地でも住人がいなくなって放置されたままの空家が少なくない。そんな廃屋の壁に蔓をはわせていたのがカラスウリであった(・・下の写真)。
(11月には珍しく、右下にはまだ熟していない実も 筆者撮影)
カラスウリは、熟してオレンジ色になる前は、ラグビーボール型のスイカのような形態である。スイカをミニチュア化したような感じだ。
西洋野菜のズッキーニが、きゅうりのような形をしているものの、ウリ科カボチャ属に分類されるカボチャの仲間だということを考えると、熟すと見事なオレンジ色になるカラスウリもカボチャの仲間思うかもしれないないが、カラスウリはカボチャ属ではない。
しかもカラスウリは、日本に自生する植物だ。
(熟す前のカラスウリはラグビーボール型スイカ 筆者撮影)
なぜカラスウリというのかは知らないが、おそらくヘビイチゴと同じたぐいの命名法によるものだろう。ヘビイチゴは野いちごの一種だが、べつにヘビが食べるというわけではない。カラスウリもカラスが食べているのは見たことがない。
カラスウリはいったいどんな味がするのだろうか、そんな疑問をじっさいに試してみた人がいるようだ。「カラスウリの実は食べられるのか」という質問が国会図書館の「レファレンス協同データベース」に登録されている。
解答は、「カラスウリは、実や葉、根を食すことができる。」、というもの。データベース記載の文章によれば、以下のような記述が、『有用草木博物事典』に掲載されているのだそうだ。
解答は、「カラスウリは、実や葉、根を食すことができる。」、というもの。データベース記載の文章によれば、以下のような記述が、『有用草木博物事典』に掲載されているのだそうだ。
●飢饉の際にはカラスウリの塊根からでんぷんを取り、餅にしていた
●塊根から取れたでんぷんを、粥に混ぜていた
●キカラスウリは甘くそのまま食用となる
●青く若い果実は塩漬けや粕漬けにする
この時期にオレンジ色した果実といえば柿の実があるが、タテに細長い形だと渋柿ということになる。渋柿は皮をむいて干せば干し柿になるが、さてカラスウリはどうなのかな?
「プディングの味は食べてみなければわからない」(The proof of the pudding is in the eating.)というコトワザが英語にはあるが、さすがにカラスウリの粕漬けを食べたいとは思わないなあ・・・。
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(2012年7月3日発売の拙著です)
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