2017年8月5日土曜日

映画 『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(2016年、米国)を見てきた(2017年8月4日)-ビジネスパーソンなら絶対に見るべき「生きたケーススタディ」


映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(2016年、米国)を有楽町の角川シネマで見てきた(2017年8月4日)。この映画はじつに面白い。ビジネスパーソンなら絶対に見るべきだ。

マクドナルドの「ファウンダー」(=創業者)であるアメリカ人起業家レイ・クロックの伝記映画である。エンターテインメント作品としての完成度は高く、ものすごい密度の濃い内容で、あっというまに115分がたってしまう。

起業家のレイ・クロックは「フランチャイズ」の仕組みをつかって、マクドナルドを米国全体に急拡大させ、さらには世界全体に拡大して「帝国」を築いた人だ。

映画のタイトルである「ファウンダー」とはレイ・クロックのことを指している。だが、最初のアイデアそのものは彼自身のものではなかった。

1954年、なんと52歳(!)のとき、セールス活動をつうじて偶然知ったのが、南カリフォルニアのサン・バーナデイーノでマクドナルド兄弟が経営するハンンバーガーショップ。直観的にピンときた彼は、セールス中の中西部から西海岸までクルマを飛ばす。思い立ったら即行動なのだ。

徹底的にムダを排除した効率的な運営と、合理的なセルフサービスでコスト削減と高品質を両立させているコンセプトに驚く。しかも、1954年時点でハンバーガーはアメリカ国内でもポピュラーではなかったのだ。

マクドナルド兄弟が追求していたのは、徹底した「標準化」だ。動作研究による合理的な導線設計。まさにアメリカを世界最強の製造業立国に押し上げた「テイラー主義」の精神であり、量産体制を確立したフォーディズムのサービス産業への応用だ。1929年の大恐慌後を経て、兄弟がたどりついたコンセプトである。

それが「原石」であることをただちに認識し、そこにビジネスチャンスを見いだしたレイ・クロックは、マクドナルド兄弟を熱心に口説き落として、フランチャイズ拡大にエネルギッシュに動きだした。その意味で、「ファウンダー」はマクドナルド兄弟ではなく、レイ・クロックであったといって間違いではないわけだ。


レイ・クロックが価値を見いだしたのは仕組みだけではない。「McDonald’s」(=マクダーノーズ)という「名前」そのものに価値を見いだしたのだ。そして「ゴールデンアーチ」というM字のロゴ。これらは、ブランドを構成する要素であり、知的財産権そのものだ。教会の十字架、裁判所の米国国旗に並ぶ存在にしてみせるのだという意気込みがまたすごい。

南カリフォルニアで生まれたコンセプトは、中西部イリノイ州からフランチャイズは始まった。ローカルからナショナルへの拡大。地域繁盛店から全国展開へ。

フランチャイズ拡大プロセスのなか、マクドナルドの創業者兄弟とフランチャイズによる拡大を精力的に推し進めるレイクロックは、ついに決定的対立に至る。この関係は、発明家と事業家の関係に似ているかもしれない。将来像の違いが決裂を生んだのだが、その結果はどうなったか。これは言うまでもないことだ。

そして、成功の秘密は「根気」(persistence)に尽きると、とレイ・クロックは何度も繰り返す。つまり、絶対にあきらめない、ということだ。それはこの映画を見ていれば、おのずから納得させられる。リスク・テーカーであり、ルール・ブレイカーであり、ゲーム・チェンジャーだったレイ・クロックならではの箴言だ。

セールスマンにとってのポジティブ・シンキング、効率的店舗運営フランチャイズ・システムネーミングとロゴで表現されるブランドと知的財産権不動産ビジネスとファイナンスなどなど、ビジネス関連ネタがてんこ盛り。

スピーディーな展開とマシンガントークのようなアメリカ英語が、いやがおうでもテンションを盛り上げる。 この映画はビジネスパーソンなら絶対に見るべきだ。いや、アメリカ社会やアメリカ文化を知るうえでも中身の濃い映画だといえよう。

超おすすめ。


(米国版ポスター)

PS 米国版のポスターと比べると、日本版のポスターは、主人公のレイ・クロックとM字「ゴールデンアーチ」の位置が微妙に違う。日本版ポスターは、なんだかM字が道化がかぶるフールズ・キャップみたいに見えてしまうのだが、日本版の製作を担当したデザイナーは気がついているのだろうか?






<関連サイト>

映画『ファウンダー』 公式サイト

映画『ファウンダー』 FBページ



柳井正と孫正義が憧れた「マック創業者」「クロックは私にとって恩人です」(プレジデント・オンライン、2017年8月5日)




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