2022年2月11日金曜日

ドイツの子ども向け絵本『ぼうぼうあたま-ちいさい こども の おもしろい はなし と え』(ハインリッヒ・ホフマン作、いとうようじ訳、教育出版センター、1980)-「もじゃもじゃあたま」から連想するのはこれだ


2022年1月10日始まった月9ドラマ「ミステリと言う勿れ」は、久能整(くのう・ととのう)という大学2年生が主人公だが、天然パーマの「もじゃもじゃあたま」という設定になってる。 

ドラマを見て、原作の田村由美によるコミックを読んでいて思いだしたのが、『ぼうぼうあたま』という絵本だ。ずいぶん昔のことになるが、東京の神保町の古書店の店頭の均一本コーナーで見つけて、迷わず買ってしまった絵本。 こんな絵本があるとは知らなかったからだ。


日本でいま流通している「版」は2006年のもので、タイトルは「ぼうぼうあたま-ちいさい こども の おもしろい はなし と おかしな え」と変更されている。たんなる「え」が「おかしな え」になっている。

原本のドイツでの初版は1845年だ。ドイツで昔から子どもたちに読み継がれてきたというこの絵本は、「子ども向け十戒」ともいうべき10の教訓話

内容は大人からみたらナンセンスだが、じつはすごく怖いお話。ヘタウマというべきか、稚拙にみえる絵もまた怖い。


ドイツ語では、 Der Struwwelpeter(デア・シュトゥルヴェル・ペーター)という。「もじゃもじゃペーター」という意味。

表紙のカバー絵にもなっている第1話は、ちゃんと髪の毛や爪を切りなさい、でないとこんな風になっちゃううよ、という教訓話

 「わんぱくフリード」、「かわいそうなパウリちゃん」、「くろんぼ の はなし*」、「かりうど おじさん」、「スープぎらい の カスパール」、「ゆびなめ こぞう」、「ぎょうぎ の わるい フィリップ」、「おそら の すきな ハンスくん」、「とばされ ロバート」とあわせて全10話。

 (*現在の版でも「くろんぼ」になっているかどうかは未確認。「ちびくろさんぼ」が絶版になっていることを考えると、さすがに変更されているものと思うが・・) 

わるい習慣は身につけないように、動物は虐待しないように、といった教訓の数々。子どもは、けっこう残酷な話が好きなのだ。 「ゆびなめ こぞう」など、その最たるものだろう。こんな話を飽きずに眺めて読んでいれば、教訓はおのずから身につくはずだ、と。
  
子ども向けの配慮などいっさいない点にかんしては、グリム童話の原本とおなじ。グリム童話でも、赤ずきんちゃんは狼に食べられる。 

『もじゃもじゃあたま』は、もちろん現在でも入手可能だ。気になる人は、いちど眺めてみるといい。





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・・映画のなかに登場する家族の思い出のひとつに絵本『ぼうぼうあたま』がある。英語版も読まれており、これがドイツ語世界と英語世界のブリッジにもなっている。映画演出上のの小道具ともいえようか。





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