2023年1月15日日曜日

書評『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』(遠藤誉、PHP新書、2022)ー 「日本人にだけ通じる中国論」から脱却し、習近平体制の内在的理解が必要だ




今回はじめて選出された丁薛祥(てい・せつしょう)氏という人物に注目すべきとの指摘が重要。習近平の科学技術政策の懐刀のような存在のようだ。ことし60歳ともっとも若いメンバーであり、この人物の登用に要注目というわけだ。  


それ以外の項目にかんしては、是々非々と読み取るべきだろう。 経済と制度分析にかんしては本職のエコノミストの見解を、ただし中国人のマインドや行動、中国共産党の内在的論理にかんしては、さすが遠藤氏はその経歴からいって、日本人のなかではピカイチと受け止めるべきだろう。 

中国問題は、新型コロナ感染症対策としてのロックダウンが突然解除されるなど、時々刻々と変化しているので、その点はリアルタイムで追っていく必要はある。 

だが、変わらない本質への理解を欠いていては、表面をなぞるだけで誤った認識をもってしまいがちだ。 いかにもわかりやすい説明には、眉につばつけて批判的に接しなくてはならない。何人か複数の専門家を選んで、その見解をウオッチしつづけることが必要だ。 

「日本人にだけ通じる中国論」から脱却しようという、遠藤氏の提言には全面的に賛成だが、その遠藤氏の発言も当然のことながらすべてを鵜呑みにしないことが重要だ。 




目 次
はじめに 
第1章 習近平と新チャイナ・セブン 
第2章 習近平はなぜ三期目を狙ったのか  その1:父の仇を討つために鄧小平を乗り越える 
第3章 習近平はなぜ三期目を狙ったのか その2:アメリカに潰されるな! 
第4章 決戦場は宇宙にー中国宇宙ステーション稼働 
第5章 ゼロコロナ政策を解除すると死者多数 
第6章 習近平が抱える中国の国内諸問題 
第7章 習近平外交とロシア・リスク 
おわりにー「日本人にだけ通じる中国論」から脱却しよう

著者プロフィール 
遠藤 誉(えんどう・ほまれ) 
中国問題グローバル研究所所長。 1941年中国吉林省長春市生まれ。国共内戦を決した「長春食糧封鎖」を経験し、1953年に日本帰国。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』、『卡子(チャーズ)中国建国の残火』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』(白井一成との共著)、『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』など多数。

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