2024年1月4日木曜日

映画『ハドソン川の奇跡』(2016年、米国)をはじめて視聴 ー 2009年1月15日の「ハドソン川の奇跡」も真冬の出来事であった



ことし2024年に初めて見た映画は『ハドソン川の奇跡』(2016年、米国)である。amazon prime video で視聴した。いま、このタイミングで見るべき映画はこれだな、と思ったのだ。

 2009年1月15日の航空機事故と「奇跡の脱出劇」を描いた作品だ。監督はクリント・イーストウッド、主演はトム・ハンクスという組み合わせ。原題は Sully となっている。機長の名前が Sully Sullenberger だからだ。Sully はニックネームである。

もちろん、この航空機事故はリアルタイムで知っているし、映画公開当時の2026年に見に行こうと思っていたものの、その機会を逸したままになっていたのだ。


■実話をもとにした映画

ニューヨークから南部ヴァージニア州のシャーロットヴィル行きの国内便。離陸後に、鳥の群れがぶつかって両翼のエンジンが全損機長の判断でハドソン川に緊急着水。乗客と乗員155人が全員脱出に成功。「USエアウェイズ1549便不時着水事故」を要約すればこうなる。 

ハドソン川への緊急着水という難易度のきわめて高い判断と、その決断と実行遂行した飛行歴40年のベテラン機長が主人公である。

航空機事故と奇跡の脱出劇だけでは、さすがに映画に仕立て上げるのは難しいだろう。それが目的なら、30分ものか60分もののドキュメンタリーのほうが向いている。だが、さすがにクリント・イーストウッド監督の作品である。96分のヒューマンドラマとして仕上がっている。




映画の見所は、独立した調査機関である NTSB(National Transportation Safety Board:国家運輸安全委員会)による航空事故調査と機長との「攻防戦」にある。

ほんとうにハドソン川への緊急着水が必要不可欠だったのかどうか、コンピュータシミュレーションをつかっての検証に立ち向かった機長。米国の事故調査を再現映像でみることのできる。機長は、これまで誰一人として経験したことのない状況で、155人全員の命を救う決断をくだしたのだ。

この映画は、機長と乗員、そして自分との家族の絆を描いたヒューマンドラマでもある。英雄扱いされ、マスコミにもみくちゃにされることに精神的なストレスを感じる機長。

この件については、「特典映像」に事故から7年後の2016年時点の機長とその妻のインタビューが収録されている。amazon prime video では、「本編」(96分)にひきつづいて「特典映像」(19分)が視聴できる。ぜひつづけて視聴したいものである。




■2024年1月2日の「羽田空港の奇跡」

今回の羽田空港の事故機はA350ハドソン川に緊急着水した機種はA320。エアバスのおなじ系列の航空機である。 

それにしても、今回の2024年1月2日におきた羽田空港の航空機事故では、乗客と乗員の379人全員が、火だるまの機内から脱出できたのは「奇跡」以外のなにものでもない。

「ハドソン川の奇跡」と同様に、機長のリーダーシップと副操縦士のフォロワーシップ、クルーメンバーとのチームワーク、そして乗客の協力があったことは特筆すべきである。

接触した海保の航空機は6人のうち5人が殉職しているので、残念ながら諸手をあげてJAL機の「奇跡の脱出劇」を手放しで賞賛することにはややためらいがあるが、 今回の羽田空港の航空機事故については、事故原因は徹底的に調査したうえで、さらなる教訓としたいものである。

「ハドソン川の奇跡」は、2008年に始まった「リーマンショック」で経済的に苦境にあるアメリカ国民に「希望」を与えたと受け取られている。だから機長が「英雄」となったのだ。

さて、今回の羽田空港の航空機事故は、どう評価されることになるのだろうか? 新年そうそうから始まった大地震と航空事故。すべては是々非々で評価を行いたいものである。

まさか新春に映画『ハドソン川の奇跡』を視聴することになるとは思わなかったが、この映画を視聴したことで、航空事故対応への備えとしたいものである。
 


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