(東慶寺の山門と周辺の風景 筆者撮影)
40年ぶりの鎌倉でもあり、せっかくの機会なので、最終目的地にいくまえに、気になっていた場所を訪れることにした。
まずは北鎌倉へ。ぜひ訪れたいと思っていた東慶寺がそこにある。 江戸時代にはいわゆる「駆け込み寺」として公認されていたお寺である。アジールである。グレープ時代のさだまさしの「縁切寺」の舞台でもあるが、もちろんそんな目的で訪れたかったわけではない(笑)
横須賀線の北鎌倉駅は、総武本線の快速なら乗り換えなしで行くことができる。遠いようで近い。いや、そうでもないか。
通勤時間帯は殺人的な乗車率になるので、AM8時18分の津田沼駅始発での逗子行きに乗車。おかげで最初から最後まで座って移動できた。約1時間半の旅程である。東京湾岸を内回りである。
■北鎌倉駅で下車。まず目指すのは東慶寺
北鎌倉駅はローカル線の駅みたいで、なんだかひなびた感じがいい味を出している。大船駅と鎌倉駅の中間にあるが大違いだ。
(北鎌倉駅のホームに掲示された案内板 筆者撮影)
まず目指すのは東慶寺。なぜ東慶寺にいきたいと思ったかというと、そこで若き日の鈴木大拙が座禅を行った寺であり、そしてまた晩年の大拙が禅仏教研究のために過ごした「松が丘文庫」があるからだ。(*ただし、松が丘文庫は関係者以外は立ち入り禁止)。
東慶寺は、駅から歩いて5分。右手に「松が丘」、左手に「東慶寺」と記された門がある。
(東慶寺の山門前の石段。そこにある注意書き 筆者撮影)
東慶寺の山門は、長い石段を歩いたうえにある。石段に足を踏み入れる前に「東慶寺からのお願い」という立て札に書かれた注意書きを読むことになる。
「境内全域、撮影禁止」とある。2022年からそうなったことは事前に知ってはいたが、あらためてその文言を読み、心得として受け取る。
石段をのぼって山門をくぐる。「撮影禁止」の効果がじつに大きいことは、すぐに五感をつうじて体感されることになる。
静寂な雰囲気が境内全体にゆきわたっている。そう、ここはお寺なのである。修行するための場所なのである。俗世間から離れて、修行に専念するための場所なのである。
境内を歩き、本堂を参拝し、足をのばして石段をのぼったうえにある墓地も歩く。苔むしたその場所は、静かに散策するのにふさわしい。
朝まだ早い時間だったこともあるだろうが、じつにすばらしい空間であった。すばらしい時間を過ごすことができた。
(東慶寺の山門から石段を見下ろす 筆者撮影)
そんな思いを抱いたのは、その後に訪れた建長寺と円覚寺との対比からでもある。
山門をくぐると、それぞれ拝観料500円を徴収される建長寺と円覚寺。拝観料のことは念頭になかったので、そこでまずがっかり。ともに有名な禅寺ではあるが、「俗化した観光地」にすぎないと知る。インバウンドの外国人も少なくない。
その「がっかり感」が、自分のなかでは余計に東慶寺のすばらしさを感じさせたのかもしれない。この感想は、これからも長く自分のなかで生き続けることになるだろう。
(つづく)
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