昨日(2025年11月1日)は、ひさびさに東京で開催されている美術展を回った。
まずは、企画展「自然と魂 利根山光人の旅 ― 異文化にみた畏敬と創造」(世田谷美術館)。 ついで、「幕末土佐の天才絵師 絵金 狂おしいほど美しい」(サントリー美術館)。 この2つの美術展を回った。
この2人は、日本人という以外に、まったくなんの関係もない。 しかも生きた時代が1世紀も離れているし、画風もまったく異なる。影響関係も皆無だろう。扱ったテーマもまったく異なっている。
前者は、わたしの好みの画家。後者は、今回はじめてその存在を知った。絵金の東京での大規模な美術展は今回がはじめてなのだという。
前者の「利根山光人展」は、来場者も少なくゆっくりと鑑賞できたのがよかった。後者の
絵金展」は乃木坂という場所柄もあろう、また物珍しさもあったのだろう、来場者が多かったがみな熱心に鑑賞しているのが印象的だった。

利根山光人展と絵金展、この2つの美術展は、お互いになんの関係も2人の美術展なのだが、意外に共通点があるなと感じた。わたしという生身の肉体をもった人間が興味を持ったということだけではない。
ともに、多くの人に見せることを目的に大型の絵を描いている点は共通しているし、なんといっても構図の大胆さと色彩の鮮やかさが共通している。
利根山光人は、千葉県松戸市の聖徳大学で美術教師をやっていたこともあって、その作品の多く、とくに大型の作品が聖徳大学に展示され所蔵されているようだ。今回の展示作品も、大型の絵画の多くは聖徳大学所蔵のものだった。(・・残念ながらまだ見に行ったことはない)。
メキシコ壁画運動のシケイロスの影響を受けていて、世界中の祭りにインスピレーションをあたえられた利根山光人。繰り返しになるが、構図の大胆さと鮮やかな色彩に魅了される。
狩野派で修行したらしいが独自の作品を開発した絵金の作品は、現在でも高知では夏になると祭りの際に展示されるのだという。個人の愛好家が私蔵するものではなく、地域の寺社の所蔵品で、いわば公共財として地域住民に愛されている。
そんな点も、いっけんなんの関係もないこの2人に共通しているといっていいだろう。美術は個人による創造物ではあるが、万人のためにあるのだ。
時間の都合でおなじ日に訪れた美術展だったが、意外な共通点を発見したのは面白い経験だった。
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