(カンボジアの首都プノンペンの市場にて)
きょうはハロウィーンである。
近年では日本でもオレンジ色のパンプキンが季節の飾り物として、あちこちで目にするようになったいる。巨大なお化けパンプキンさえスーパーマーケットの野菜売り場に展示してあったりもする。コスプレ姿の人たちも今夜は仮装行列で街中に繰り出すのだろう。
ハロウィーンの決まり文句は trick or treat、子供たちが口にする「お菓子ください、じゃないといたずらしちゃうぞ」、という意味のようだが、もともとどういう意味だったのかはわからない。
■ハロウィーンとは?
ハロウィーン(Halloween) は、11月1日のカトリックの祝祭日、万聖節(=諸聖人の日 All Saints' Day)の前日(=イブ)に行われる伝統行事である。
英語圏では、諸聖人の日の旧称が、"All Hallows" なので、Halloween とよばれるようになったらしい。もともとは先住民であるケルト人の民俗暦が、キリスト教と習合して誕生したもののようだ。復活祭などと同じである。
ただし、アングロ・サクソン系諸国で主に行われる行事であって、カトリック地域ですべて祝われるわけではない。由来からしてみたら、そもそもきわめて"異教"的要素の強い祝祭である。完全にキリスト教化されていないまま今日に至る、ということだろう。日本でも10月は神無月で、すべての神々は出雲に集まるということになっている。
万聖節は、欧州ではフランス、ベルギー、ドイツといったカトリック国では休日となる。なお、ドイツは本日10月31日は「宗教改革記念日」で11月1日は「万聖節」、北部のプロテスタントと南部のカトリック、という具合にうまく棲み分けがなされている。
万聖節は、アジアでは唯一フィリピンのみが休日となる。アジアのカトリック大国である。フィリピンでは、スペイン語のまま Todos los Santos という。All Saint's Day より、os で語尾で韻を踏んでいるので語呂がいい。
万聖節には、家族みんなでお墓参りにいく。日本のお彼岸のようなものなのだろうか。フィリピン出張を入れる前にカレンダーを調べてはじめてこの周辺が休みになってしまうことを知ったのだった。
■ハロウィーン雑感
そういえば、かなり前の話だが、米国留学中の日本人少年が米国南部のルイジアナ州で射殺された事件があったなあ。たしか服部君という名前ではなかったか。
ハロウィーンである家を訪問したら、不法侵入とみなした住人がピストルを構えて Freeze! と叫んだのを Please と聞き間違えて、そのまま玄関にむけて歩き続けたら、いきなり発砲されたという事件だ。日本人の英語聞き取り能力にまつわる悲劇的な話である。
陪審裁判では正当防衛として無罪になっている。事件の起こったルイジアナ州はフランス系移民の多いところで、フランス文学の『マノン・レスコー』の舞台でもあるし、フランス映画の『アデルの恋の物語』の舞台でもある。米国がフランスから買い取った領土である。
しかし、ルイジアナ州は湿地帯が広がる地帯で、男たちの趣味はワニ狩りとかいう荒っぽい世界でもある。マチスモというラテン気質が残存しているのだろう。
州都のニューオーリンズはもともとフランス語でヌーヴェル・オルレアンである。しかし現在では、カナダのケベック州とは違って フランス語は使用されていない。
ハローウィーン・・・こういう風習が日本に定着することは正直いって好まないなあ。もちろんその背景には、クリスマスやバレンタイン・デーのように、商業主義が見え隠れして、あまり好きになれないんだよねえ。
英語を小学校からやるなんて愚策が浸透すると、どうせお遊び英語しかやらないだろうから、ハロウィーンなんて格好の教材(?)となるのだろう。そしてまた一つ米国の風俗がさらに日本に定着していくのか。
■日本のカボチャはパンプキンではない!
でも、本当は日本のかぼちゃは米語では pumpkin じゃないんだそうだ。squash というらしい。
ということはつまり、ハロウィーンのパンプキンと、煮物のかぼちゃはそもそも別物なわけだ。
私にとっては、かぼちゃ は かぼちゃ。あくまでもカンボジア伝来のアジアの野菜。
(羽をむしりとったニワトリとカボチャが一緒に売られている)
かぼちゃは基本的に煮付けて食べるのだ、と思っている。ほくほくしたクリかぼちゃは実にうまい。
ポルトガル語の「Cambodia abóbora」(カンボジャ・アボボラ、「カンボジアのウリ」の意)から来ているらしい。
♪お寺の和尚さんが かぼちゃのタネを蒔きました
芽が出て膨らんで 花が咲いて ジャンケンポン
先日、ある会合でハロウィーンのかぼちゃが話題になったときに、最近の子供は秋祭りよりもハロウィーンなんだねーなんて会話の最中、ほぼ同世代なのに、この遊びを知らないという人がいるので驚いた。
北海道出身の彼女は本当にまったく知らなかったようで、これは世代差というよりも地域差なのだろうか。♪日本列島、狭いようで広い~
■かぼちゃプリンは東南アジアで最高のスイーツ
ちなみに、私が東南アジア・スイーツで一番好きなのは、かぼちゃプリン。
小型のかぼちゃの中身をくりぬいて、牛乳とアヒルの卵と砂糖をまぜたミックスを漉し、再びかぼちゃに詰めて、蒸したスイーツである。かぼちゃの果肉とプリンを一緒に食べることになり、本当においしいのだ。
タイでもあちこちで売られているが、カンボジアのプノンペンで食べた"かぼちゃプリン"は最高においしかった。
そう、なんといっても、かぼちゃはカンボジア、である!!
PS 読みやすくするために改行を増やし、小見出しをつけた。写真を大判にした。本文には手を入れていない。また<ブログ内関連記事>を追加した。 (2014年1月26日 記す)。
<ブログ内関連記事>
バンコクで「かぼちゃプリン」を食べる
ケルト起源のハロウィーン-いずれはクリスマスのように完全に 「日本化」 していくのだろうか?
書評 『地雷処理という仕事-カンボジアの村の復興記-』(高山良二、ちくまプリマー新書、2010)
書評 『「独裁者」との交渉術』(明石 康、木村元彦=インタビュー・解説、集英社新書、2010)
・・カンボジアで国連事務総長特別代表として調停にあたった明石康氏の手記
『東南アジアを学ぼう-「メコン圏」入門-』(柿崎一郎、ちくまプリマー新書、2011)で、メコン川流域5カ国のいまを陸路と水路を使って「虫の眼」でたどってみよう!
『東南アジア紀行 上下』(梅棹忠夫、中公文庫、1979 単行本初版 1964) は、"移動図書館" 実行の成果!-梅棹式 "アタマの引き出し" の作り方の実践でもある
(2014年1月26日 情報として追加)
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