惑星探査船はやぶさが地球に帰還した。小惑星イトカワとの往復に7年をかけての帰還である。本体は大気圏突入に際して熱で溶解、耐熱性材料を使用したカプセルは無事に、オーストラリアの砂漠に落下したようだ。
和歌山大学宇宙教育研究所による「はやぶさカプセルの帰還ライブ中継」が、日本でもここ最近話題になっている Ustream(ユーストリーム)を使っての中継が試みられたが、結局のところ、リアルタイムでの中継は、現地の回線の細さゆえ、あまりスムーズにはいかなかったようだ。私もパソコンで見ていたが、歓声があがった瞬間の音声はリアルタイムで流れたが、映像そのものは一瞬光が見えただけであった(写真)。
「NHKクローズアップ現代」で先週放送された「傷だらけの帰還 探査機はやぶさの大航海」で、惑星探査船「はやぶさ」のストーリーが紹介されたが、やはりなんといっても、つくりものではないホンモノのストーリーには、人を感動させるチカラがある。
絶体絶命のピンチを何度もくぐり抜け、執念で地球に帰還させることに成功した科学者と技術者たちの物語、最近の日本では珍しいドラマチックな物語である。
報道で何度も何度も繰り返し流されているので、あえてここには繰り返さないが、小惑星イトカワ着陸時の故障、一ヶ月半にわたる行方不明、エンジンの故障と復活、そして予定を3年オーバーしての7年目の帰還。まさにドラマではないか。
三億キロ離れた小惑星との往復は世界初の快挙ということだが、それだけにとどまらないドラマに、人は興奮と感動を覚えるのである。「はやぶさ」は無人飛行船とはいえ、ハリウッド映画のアポロ宇宙船ものに、勝るとも劣らないものがある。
一連の報道のなかでは触れられていないが、小惑星「イトカワ」も「はやぶさ」も、ともに糸川英夫博士(故人)にちなむものだ。日本の宇宙ロケット開発の父ともいうべき存在の糸川博士は、戦前はエンジニアとして陸軍の戦闘機「隼」(はやぶさ)を設計した人でもある。
「絶対にあきらめない、不屈の精神」は、糸川博士を彷彿させるものがある。糸川(イトカワ)博士と隼(はやぶさ)については、このブログに記事を書いているのでご参照していただけると幸いである。
今回のミッション成功に刺激を受けて、ぜひ若い人から宇宙科学を志す人が一人でもでてくることを願う者である。
日本もまだまだ捨てたもんじゃない!
日本国民として、素直に感動を共有したいものだ。
<関連サイト>
宇宙航空研究機構(JAXA:ジャクサ)の小惑星探査機はやぶさ
http://www.jspec.jaxa.jp/activity/hayabusa.html
<ブログ内参考記事>
映画 『加藤隼戦闘隊』(1944年)にみる現場リーダーとチームワーク、そして糸川英夫博士
映画 『はやぶさ / HAYABUSA』 を見てきた-この感動を多くの人たちと分かち合いたい!
(2016年2月16日 情報追加)
(2012年7月3日発売の拙著です)
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