2015年6月27日土曜日

マンガ 『きのう何食べた ⑩』(よしながふみ、講談社、2015)-50歳台になっても自分で料理してスタイルを維持しつづける主人公



『きのう何食べた』の最新刊が発売された。ついに第10巻。さっそく購入して読了。すでに長寿マンガとなりつつありますね。

第10巻のカバーは発売時期に合わせたのか梅雨時のものかな? でもマンガは夏から年末にかけて。なんせスローペースの月一の連載だから。

主人公の弁護士・筧史郎も、すでに50歳台(!)、仕事の面では中堅どころかベテランの域に達しているはず。

とはいうものの、事務所から独立する気も、事務所をつぐつもりもなし。万年ヒラ弁護士のままで過ごしたいという脱力系の主人公は、いまの日本の空気がよく現れているような気も・・・。

というわけで、主人公の情熱が向かうのは、ずばり料理! 料理! 料理!

今回の料理は、コロッケパン、エスニック料理でタイカレー、牛肉とズッキーニの炒めもの、海老と春雨のサラダ、おうち焼き肉、パンケーキ、かれいの甘酢あんかけ、白菜とホタテのクリームスープ、などなど。

第74話で、いただきものの「そうめん」をめぐって、「そうめんに萌えのない人間ってけっこういるもんだな」という主人公のつぶやきに、「そうめん」大好き人間のわたしは、「世の中そんなもんなのかな・・・」と思ってみたりもして。もちろん、わたしの場合は、子ども時代から揖保の糸。

50歳過ぎても、外食を極力控えて自分で料理をして、しかもスタイルを維持しつづけるナルシスト的な主人公。女性マンガ家が描くゲイの男性という設定だからではありますが、なんだか「いま」という時代を象徴しているような気もしますね。もちろん、主人公のような男性が主流派ではありませんが、間違いなく時代は変化しています。

スローテンポで展開するマンガですが、主人公も読者も確実に年を取っていきます。年老いつつある両親。成長する友人夫妻の孫。頭頂部が寂しくなりつつあるパートナー。自分は若いと思っていても、周囲の環境は確実に年を取っていく。

とはいえ、料理と食事は人間にとってもっとも大事なこと。まだまだ続いていきそうですね。





<関連サイト>

きのう何食べた?"なにたべ"公式ブログ

きのう何食べた? / よしながふみ - モーニング公式サイト

祝!画業20周年記念サイト よしながふみの漫画世界 (白泉社)
・・立ち読みできます!


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『きのう何食べた? ④ 』(よしなが ふみ、講談社、2010)

『きのう何食べた?』(よしなが ふみ、講談社、2007~)


『檀流クッキング』(檀一雄、中公文庫、1975 単行本初版 1970 現在は文庫が改版で 2002) もまた明確な思想のある料理本だ

『こんな料理で男はまいる。』(大竹 まこと、角川書店、2001)は、「聡明な男は料理がうまい」の典型だ





(2012年7月3日発売の拙著です)







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