この企画展はぜひ見たいと、開催情報を知ったときそう思ったのだが、なかなかその思いが実現しなかったのは、「非常事態宣言」が出されたなか、東京都知事によるミュージアムも閉館すべしという愚かな要請があったためだ。
幸いなことに6月1日からはミュージアムも開館OKとなったので、6月20日で終わってしまうこの企画展に間に合ったのは幸いだった。企画展は常設展の入館料金でOKだが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のため「事前予約」が必要だというのは、まあ面倒臭いことではある。
企画展の内容は、昭和天皇の生涯を「生物学」との深いかかわりから、少年時代から没後にいたるまで取り上げたもの。昭和天皇が相模湾で収集された生物標本などが多数展示されていて、大いに有意義なものだった。
特筆すべきは、粘菌研究の「同志」ともいうべき南方熊楠との交友と、南方熊楠が昭和天皇に献上した標本の実物。やはり実物は説得力がある。ただし、今回の展示品は和歌山行幸の際に献上したキャラメル箱にいれた標本類ではなく、ぞれ以前に献上した標本類であった。
もともと高校1年までは生物学をやるつもりだった私は、小学生の頃から生物図鑑によって昭和天皇(当時はまだ天皇陛下であった)が生物学者であることは知っていて、その面からひじょう親近感を感じていた。その頃は、昭和天皇はウミウシの研究者だと思っていたのだっった。
コロナのせいで国立科学博物館そのものの来館者が少ないのは、見学する立場としてはありがたい。
だが、昭和天皇がご逝去されてからすでに30年以上たっている現在、もっと多くの人に「生物学者としての昭和天皇」について知ってほしいのに、ひじょうに残念な気もしている。
PS 昭和天皇は、1971年に英国の科学者の殿堂である「王立協会」(Royal Society)の「フェロー」(名誉会員)に選出されている。
<関連サイト>
(上記のコーナー博士による追悼文に所収の写真)
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