2021年12月25日土曜日

幕末の志士たちが掲げたスローガン「盡忠報國」は12世紀の中国生まれのフレーズだ

 
幕末の志士たちがスローガンとして掲げていた「尊皇攘夷」(あるいは勤王攘夷)についてはよく知られている。 

だが、「尊皇攘夷」と並ぶもう一つのスローガンはあまり知られていないかもしれない。それは「尽忠報国」だ。正字体では「盡忠報國」となる。 

いまから15年以上前のことだが、大陸中国の浙江省の杭州にいったことがある。広州ではなく杭州だ。中国ビジネスがらみの日本人は、区別するために「くいしゅう」のほうだという。いわゆる江南、つまり長江(=揚子江)の南側に拡がる地域である。

(杭州の位置 google map による)

杭州は、上海からやや内陸に入った、西湖で有名な地方都市だ。現代なら中国を代表するIT企業アリババ(Alibaba)の創業者ジャック・マー(=馬雲)の出身地といったほうがわかりやすいかもしれない。 


杭州にいった際、ついでに観光で訪れた「岳王廟」で驚いたのだ。

岳王廟とは、南宋時代(12世紀)の武将・岳飛を祀った廟だが、そこに「盡忠報國」の4文字を見いだしたからだ(上掲の写真)。 

そうか、「尽忠報国」(=盡忠報國)は、幕末の志士が考え出した用語ではなかったのだな、と。現代でも中国人が尊敬して愛してやまない愛国の英雄・岳飛(がくひ)にまつわる故事から生まれたフレーズだったのだ。 


漢学の素養を欠いた世代に生まれたわたしは、自分の無知蒙昧ぶりには恥じ入るばかりである。まだまだ勉強しなくてはならないことが多いと痛感するばかりだ。 





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