合気道が世界中、とくに欧米圏で普及した理由に、合気道は「動く禅」(moving Zen)だという言説があったことは、かつて二代目道主の植芝吉祥丸先生の別の本で目にしたことがある。
知識階層を中心に欧米世界に禅仏教(Zen)を普及させたのは鈴木大拙(D.T. Suzuki)であるが、「合気道は「動く禅」だ」という言説は鈴木大拙によるものだった。
40年ぶりに読んでみた『合気道入門』(植芝吉祥丸、カッパブックス、1972)にこういう記述があるのを発見した。
世界的な仏教哲学者・鈴木大拙師は、生前、道祖(*)と親交があり、いつも、「合気道というのは、『動く禅』だね。合気道がわからんでは禅がわかるわけがない」と、口癖のようにおっしゃっていた。禅の世界的権威が感嘆されたほど、じっさいに合気道は瞑想的な面が強いのである。合気道の精神性を知ることこそ、実技の奥義を極める基本である・・(P.22) (注* 合気道開祖・植芝盛平のこと)
そうだったのか! 「動く禅」(moving Zen)という表現の起源がようやくわかった。最初に読んだときは読み飛ばしていたのだろう。無知蒙昧な18歳であったからね(苦笑)
いずれにせよ、鈴木大拙と植芝盛平が親交があったことは知らなかった。「動く禅」という表現も含め、裏付けをとってみたいと思う。
(開祖・植芝盛平翁先生の著書『武道』の英語版)
PS 検索したら「動く禅」の出所にかんして、こんな tweet が見つかった
「鈴木大拙師は戦後、秋月龍珉師に開祖を『是非紹介してくれ』と言われ道場に来訪された。『合気道は近い将来 “世界の合気” に成る。植芝さんには或いは迷惑かも知れんが、その時は禅の哲学で合気の思想的裏付けをする事が良いのではないか』と秋月氏に述べられたという」『植芝盛平伝』231p
⇒ 出所の『植芝盛平伝』にそんなことがあったか。おそらく植芝吉祥丸先生による著書だろう。となると、この本を取り出してきてチェックしないといかんな。これは後日の課題としよう(2022年1月17日 記す)
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・・「伝説のボクシングトレーナー」との出会いと、彼から読むように薦められた名著『弓と禅』について語られている。英語版には滞米中の晩年の D.T. Suzuki(=鈴木大拙)が英語で序文(イントロダクション)を書いている。
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