ノートパソコンのシステム更新中は手持ちぶさたになるので、ふと積ん読状態の『サイバーアンダーグラウンドーネットの闇に巣喰う人々』(吉野次郎、日経BP、2020)をふと手にとって読み始めたら、これがめっぽう面白い。ことし3月のことだが、ついつい読んでしまった。
読み物として面白いエピソード集となっているのは、記事に加筆編集を加えて書籍に編集し直したものだからだろう。
amazon の偽レビューを作成する中国人から、北朝鮮の元ハッカー元締め、非合法活動にも従事してきた英国情報部の元部員、ロシアのフェイクニュース元締めのRT編集長など、じつに多岐にわたっている。よく取材先としてアプローチできたな、と大いに感心。これらの魑魅魍魎たちを3年間にわたって追ってきた記録だ。
暇つぶしに読めば、見えないところで「世の中」がどうなっているかを垣間見ることのできる内容であった。
個々のテーマについては個別に知ってはいても、まとめて読むとある種の共通性があることに気がつかされる。
目 次Prologue第1部 欲望に突き動かされし人々chapter 1 未成年ハッカーと捜査官/攻防の全記録chapter 2 アマゾンの五つ星は嘘まみれ/中国の黒幕が手口大公開chapter 3 16歳が老人を食い物に/解明、詐欺のエコシステムchapter 4 ネットで女性とお色気話/200億円産業に育てた男の野望第2部 大義を背負いし人々chapter 5 金正恩のサイバー強盗団/脱北者が決死の爆弾証言chapter 6 恐喝、見殺し、爆殺……/英国人スパイの非情な戦争chapter 7 信じたいからだまされる/世論操るクレムリンの謀略chapter 8 超監視国家、IT乱用で出現/ウイグルから響く悲鳴証言集警官とスパイからの警告 警官の証言「本物のワルはあなたの隣にいる」スパイの証言 「この世界は汚れている」Epilogue 生存の選択
著者プロフィール吉野次郎(よしの・じろう)日経ビジネス記者。1996年に慶應大学環境情報学部を卒業し、日経BPに入社。日経コミュニケーションや日経ニューメディア編集部で通信や放送業界を取材する。2007年から日経ビジネス編集部で電機業界や自動車業界、企業の不祥事を担当。2015年に日本経済新聞社・企業報道部に出向し、サイバーセキュリティー業界と情報システム業界を担当した。2018年に日経ビジネスに復帰し、主にIT業界を取材している。(amazonより)
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