2022年6月8日水曜日

書評『サイバーアンダーグラウンド ー ネットの闇に巣喰う人々』(吉野次郎、日経BP、2020)-読み物として面白いエピソード集となっている

 
ノートパソコンのシステム更新中は手持ちぶさたになるので、ふと積ん読状態の『サイバーアンダーグラウンドーネットの闇に巣喰う人々』(吉野次郎、日経BP、2020)をふと手にとって読み始めたら、これがめっぽう面白い。ことし3月のことだが、ついつい読んでしまった。

読み物として面白いエピソード集となっているのは、記事に加筆編集を加えて書籍に編集し直したものだからだろう。 

amazon の偽レビューを作成する中国人から、北朝鮮の元ハッカー元締め非合法活動にも従事してきた英国情報部の元部員ロシアのフェイクニュース元締めのRT編集長など、じつに多岐にわたっている。よく取材先としてアプローチできたな、と大いに感心。これらの魑魅魍魎たちを3年間にわたって追ってきた記録だ。

暇つぶしに読めば、見えないところで「世の中」がどうなっているかを垣間見ることのできる内容であった。 

個々のテーマについては個別に知ってはいても、まとめて読むとある種の共通性があることに気がつかされる。 





目 次
Prologue 
第1部 欲望に突き動かされし人々
 chapter 1 未成年ハッカーと捜査官/攻防の全記録
 chapter 2 アマゾンの五つ星は嘘まみれ/中国の黒幕が手口大公開
 chapter 3 16歳が老人を食い物に/解明、詐欺のエコシステム
 chapter 4 ネットで女性とお色気話/200億円産業に育てた男の野望
第2部 大義を背負いし人々 
 chapter 5 金正恩のサイバー強盗団/脱北者が決死の爆弾証言
 chapter 6 恐喝、見殺し、爆殺……/英国人スパイの非情な戦争
 chapter 7 信じたいからだまされる/世論操るクレムリンの謀略
 chapter 8 超監視国家、IT乱用で出現/ウイグルから響く悲鳴
証言集 
 警官とスパイからの警告 警官の証言「本物のワルはあなたの隣にいる」 
 スパイの証言 「この世界は汚れている」 
Epilogue 生存の選択


著者プロフィール
吉野次郎(よしの・じろう)
日経ビジネス記者。1996年に慶應大学環境情報学部を卒業し、日経BPに入社。日経コミュニケーションや日経ニューメディア編集部で通信や放送業界を取材する。2007年から日経ビジネス編集部で電機業界や自動車業界、企業の不祥事を担当。2015年に日本経済新聞社・企業報道部に出向し、サイバーセキュリティー業界と情報システム業界を担当した。2018年に日経ビジネスに復帰し、主にIT業界を取材している。(amazonより)


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