2022年11月3日木曜日

書評『ウクライナ戦争は世界をどう変えたか』(豊島晋作、KADOKAWA、2022)ー 専門家によるもの以外では本書がベストな解説書

 
『ウクライナ戦争は世界をどう変えたか』(豊島晋作、KADOKAWA、2022)を読んだ。8月に出たばかりの新刊だ。(*9月に書いた文章をここにアップする) 

著者は、YouTubeの解説番組「豊島晋作のワールドポリティクス」での、情報量が豊富で熱い解説で有名な人だ(・・もしまだなら、ぜひ視聴すべき)。これが初の著書となる。 

副題は「独裁者の論理と日本の論理」。ロシアがウクライナに軍事侵攻した「ウクライナ戦争」の解説から始まり、この戦争が世界情勢を根本的に変化させてしまったこと、とくに日本に及ぼす大きな影響について、国際政治学を学んだ著者が、その全体像とあり得るシナリオを語る。 

YouTubeの番組ではシングルイシューについての解説なので、どうしても全体像が見えにくいという弱点がある。その意味では、書籍として再構成し、活字で記述することの意味は大きい。 

ウクライナ戦争については、さまざまな解説がなされているが、専門家によるもの以外では、著者の豊島氏によるものがベストだといっていいだろう。 

あくまでもリアリズムの観点から、希望的観測を排除して、しかも畳み掛けるような熱い語り口。本書でもそれが再現されているので、ぜひ読むことを薦めたい。 




目 次 
プロローグ
第1章 “終末の時代”再びーウクライナ戦争と核戦争シナリオ
第2章 ウクライナ戦争はなぜ起きたのかー「ロシアの論理」を知る
第3章 戦時下のウクライナから 
第4章 “ロシアと戦う国々”の論理
 1. NATOの論理ー転換点を迎えた世界最強の軍事同盟
 2. フィンランドのNATO加盟
 3. バルト三国を翻弄し続ける二人の「悪魔」
 4. アフリカ諸国とロシアの理想と現実
第5章 プーチン大統領暗殺は起きるか? 
第6章 中国・習近平の「台湾侵攻」
 1. ”独裁者の教材”としてのウクライナ戦争
 2. 米中軍事衝突の行方
第7章 試される「日本の論理」―想定される“動揺”シナリオ
 1. 中国が台湾侵攻の準備を完了(第一段階) 
 2. 台湾戦争勃発(第二段階) 
 3. 米軍・台湾軍による反撃曲面へ(第三段階) 
 4. 自衛隊はロシア軍を笑えるか
エピローグ
主要参考文献一覧

著者プロフィール
豊島晋作(とよしま・しんさく)
1981年福岡県生まれ。テレビ東京報道局所属の報道記者、ニュースキャスター。2005年3月東京大学大学院法学政治学研究科修了。同年4月テレビ東京入社。政治担当記者として首相官邸や与野党を取材した後、2011年春から経済ニュース番組WBSのディレクター、同年10月からWBSのマーケットキャスター。2016年から2019年までロンドン支局長兼モスクワ支局長として欧州、アフリカ、中東などを取材。現在、Newsモーニングサテライトのキャスター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


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