『ウクライナ戦争は世界をどう変えたか』(豊島晋作、KADOKAWA、2022)を読んだ。8月に出たばかりの新刊だ。(*9月に書いた文章をここにアップする)
著者は、YouTubeの解説番組「豊島晋作のワールドポリティクス」での、情報量が豊富で熱い解説で有名な人だ(・・もしまだなら、ぜひ視聴すべき)。これが初の著書となる。
副題は「独裁者の論理と日本の論理」。ロシアがウクライナに軍事侵攻した「ウクライナ戦争」の解説から始まり、この戦争が世界情勢を根本的に変化させてしまったこと、とくに日本に及ぼす大きな影響について、国際政治学を学んだ著者が、その全体像とあり得るシナリオを語る。
YouTubeの番組ではシングルイシューについての解説なので、どうしても全体像が見えにくいという弱点がある。その意味では、書籍として再構成し、活字で記述することの意味は大きい。
ウクライナ戦争については、さまざまな解説がなされているが、専門家によるもの以外では、著者の豊島氏によるものがベストだといっていいだろう。
あくまでもリアリズムの観点から、希望的観測を排除して、しかも畳み掛けるような熱い語り口。本書でもそれが再現されているので、ぜひ読むことを薦めたい。
目 次プロローグ第1章 “終末の時代”再びーウクライナ戦争と核戦争シナリオ第2章 ウクライナ戦争はなぜ起きたのかー「ロシアの論理」を知る第3章 戦時下のウクライナから第4章 “ロシアと戦う国々”の論理1. NATOの論理ー転換点を迎えた世界最強の軍事同盟2. フィンランドのNATO加盟3. バルト三国を翻弄し続ける二人の「悪魔」4. アフリカ諸国とロシアの理想と現実第5章 プーチン大統領暗殺は起きるか?第6章 中国・習近平の「台湾侵攻」1. ”独裁者の教材”としてのウクライナ戦争2. 米中軍事衝突の行方第7章 試される「日本の論理」―想定される“動揺”シナリオ1. 中国が台湾侵攻の準備を完了(第一段階)2. 台湾戦争勃発(第二段階)3. 米軍・台湾軍による反撃曲面へ(第三段階)4. 自衛隊はロシア軍を笑えるかエピローグ主要参考文献一覧
著者プロフィール豊島晋作(とよしま・しんさく)1981年福岡県生まれ。テレビ東京報道局所属の報道記者、ニュースキャスター。2005年3月東京大学大学院法学政治学研究科修了。同年4月テレビ東京入社。政治担当記者として首相官邸や与野党を取材した後、2011年春から経済ニュース番組WBSのディレクター、同年10月からWBSのマーケットキャスター。2016年から2019年までロンドン支局長兼モスクワ支局長として欧州、アフリカ、中東などを取材。現在、Newsモーニングサテライトのキャスター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。
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