タランティーノ監督のハリウッド映画『キル・ビル』(Kill Bill)を第1部(2003年)と第2部(2004年)をつづけて視聴。104分+131分=235分。
視聴するのは、今回がはじめて。公開されて話題になっていたのが、つい先日のような気がしていたが、もう23年もたっているのか・・・。月日が過ぎるのが早すぎる。
amazon prime で「まもなく配信終了」と掲示がでているので、せかされるように視聴。無料で見れるうちに見ておかないとね。
「キル・ビル」とは「ビルを殺る」。内容は、ハリウッド版「任侠映画 × カンフー映画 × チャンバラ」、というべきか(笑) それにしても、よくこんな映画つくったなというのが正直な感想。
第1部の日本を舞台の殺陣のシーンがゴージャス過ぎる。スプラッター過ぎる。ほとんどマンガだな。実際アニメが挿入されている。主演のウマ・サーマンが美人すぎてカッコよすぎる。ブルース・リーの『死亡遊戯』だな。日本刀つかった体捌きもすばらしい。
セリフのかなりが日本語で英語字幕。ソニー・チバ(=千葉真一)も出演。根底にあるのは演歌の世界(笑)
監督の日本映画と日本文化へのリスペクトと愛が感じられる。 黄金時代の香港映画へのリスペクトもまた。
第2部は、中国でのカンフー修行と復讐のための「デスノート」の消化、そしてタイトルにある「ビルを殺る(Killl Bill)」を実行する最終章。第1部にくらべると、ちょっとアクションシーンがが少ないのが残念な感じもしたが、大どんでん返しがあるので最後まで息を抜けない。
舞台となっている日本も中国もメキシコも、ステレオタイプのイメージをあえて意図的に前面に打ち出しているのは、ハリウッド映画だからだろう。
最近の映画ではドイツ人のヴィム・ヴェンダース監督による『Perfect Days』(2023年)だと、日本映画の名匠である小津安二郎をリスペクトしてきた監督の作品だけに、あまりにも日本的すぎる映画である。
日本人からしたらまったく違和感のない作品であるが、であるからこそ『Perfect Days』は知識階層を除いたら一般的なアメリカ人にはまったくウケないだろう。 一般人を主人公にしているが、大衆性がまったくないからだ。
■主演のウマ・サーマンは著名なチベット学者の娘
ところで、ウマ・サーマンは米国の著名なチベット学者の娘で、「ウマ」(Uma)という名前がチベット語由来であることを知っているだろうか?
本名はウマ・カルナ・サーマンであり、ウマ(Uma)とはチベット語で「中心気道」のこと、カルナ( Karuna)とはサンスクリット語で「慈悲」のこと。アメリカ人としては変わった名前である。
子どもの頃から、そんな変わった名前は好きではなかったらしいが、家庭内でチベットを中心にしたアジア文化に接してきた人だから、日本や中国などアジア的な要素が満載のこの映画への出演には、とくに違和感はなかったのだろう。
そんなことで Uma の父 Robert Thurman のWikipedia をリンクをたどって見たら、ことし2026年の6月16日に84歳で亡くなっていたことをはじめて知った。
日本語訳された『チベット仏教が教える怒りの手放し方』(屋代通子訳、築地書館、2011)を読んだことがあるが、その死に際してダライラマ猊下がお悔やみのことばを述べられていることを知った。その結びの一部を以下に転載しておこう。
"Bob lived a meaningful life and has left behind a legacy that will continue to inspire future students of Tibetan Buddhism and culture for generations to come." (仮訳: ボブは、意味ある人生を生きただけでなく、今後もながく世代を超えて続いていくことになる、チベット仏教とチベット文化を勉強する未来の学生たちを鼓舞してくれる遺産を遺してくれた)
娘のウマがチベット仏教徒であるかどうかは知らないが、2007年以来、米国の「チベット・ハウス」(Tibet House US)のボードメンバーとして名を連ねている。「チベット・ハウス」は父ロバートとハリウッド俳優のリチャード・ギアなどと一緒に設立したものだ。娘は父の意思をついでいるのである。
この場を借りて、ロバート・サーマン氏のご冥福をお祈りします。オン・マニ・ペメ・フム。合掌
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PS 「Tibet House US」のサイトを見たら故ロバート・サーマン氏の「49日の法要」が、2026年8月3日に行われるとあった。チベット仏教においても「49日」に意味があることは、『チベット死者の書』について知っている人なら常識であろう。それにしても、不思議な因縁を感じている。(2026年8月2日 記す)
<ブログ記事>
『インド・アメリカ思索行 ― 近代合理主義克服への道』(立川武蔵、山と渓谷社、1978)を読むと、1970年前後のカウンターカルチャー全盛期の米国、それも東海岸におけるインド文明受容の状況がよくわかる
・・米国を代表する著名なチベット仏教研究者であるロバート・サーマンと、その娘のウマの話もでてくる
・・禅仏教に傾倒していたレナード・コーエンは、『チベット死者の書』関連のノンフィクション映像の英語版のナレーションも担当している
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