2010年1月15日金曜日
Google が中国から撤退!?(続き)
日本語での報道では「グーグル、中国と全面衝突」などという見出しが目を引くが、冷静にみたほうがいいだろう。
米国のビジネス専門雑誌 Bloomberg BusinessWeek のウェブサイトにこういう記事がアップされている。
In China, Google Declares War on Censorship After years of restrictions, criticism, and business setbacks, Google may be giving up on the world's largest Internet market
By Bruce Einhorn January 13, 2010, 9:45AM EST
中国国内での取材をもとにした記事である。
基本的にビジネスの観点からいえば、サーチ・エンジンにかんしては、Google は Baidu(百度)には勝てずに二位にとどまっていること、中国市場での収入は1億ドル未満で Google 全体からみれば小さいこともあり、見込みのないビジネスからの「名誉ある撤退」であると見ている人たちがいるようだ(Yet some people see Google's latest move to exit the market as a graceful way out of a doomed business.)。
ハッキング問題について公表し、現時点で撤退することで、苦境から脱してイメージ回復を図ることができる(By leaving now and citing the hacking problems, Google can end its agony and repair its image.)というのは、ビジネスの観点からみたら理にかなった行動であるといえる。
現在のところ Google.cn をみると、ダライラマ関連のニュースも検索結果としてでてくる。Googleが検閲を解除したためである。試みに、达赖喇嘛 で検索してみたらよい。
中国国内ではファイアウォールがあるから閲覧はできないようだが、日本国内では問題なく閲覧可能だ。
BusinessWeek の記事によれば、中国国内では Google.com が閲覧できなくなるのではという懸念もあるようだが、それに対しては杞憂だという見解を示している。
理由は、中国のエリート層に普及しており、グローバル対応にかんしてはローカルのサーチエンジンでは不十分だ(The main Google site, Google.com, is too popular with China's elite, he says, and local search engines are not sufficiently global for them. )という発言が引用されている。
どういう形で決着するのか現時点ではよくわからないが、中国にせよ米国にせよ、原理原則(プリンシプル:Principle)を明確にする姿勢は共通している。原理原則を主張することで争点が明確になり、交渉の結果、妥協の余地もでてくるというものである。
日本的な"あいまい"で"うやむや"な解決ではなく、間違いなく何らかの形で決着がつくだろう。
日中関係と異なり、米中関係は、原理原則のぶつかり合いを軸に、ビジネスとして双方がいかに実利を得るか、という関係である。
米国も中国も似たものどうしなわけなのだ。
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