中国湖北省の中核都市・武漢で発生した「新型コロナウイルス」が「パンデミック」となって感染爆発し、世界中で猛威を振るっている。
とくに状況が悪化しているのがイタリアを初めとした欧州。そのなかでもラテン諸国であるスペインとフランスだ。さらにドイツやオーストリアといったEU域内の諸国にも感染爆発が拡大中である。
イタリアでは、すでに「医療崩壊」が引き起こされ、次々と重症化した高齢者が次々と死んでいる。高齢化社会のイタリアは、キスやハグなど、日常的な「濃厚接触」が社会生活の基本にある。感染爆発が引き起こされやすい状況にあることは否定できない。また司祭の死亡者も多い。人生の最期に、死にゆく者たちとの濃厚接触があるからだ。
欧州だけではない、米国もまた急速に感染が拡大している。どうやら、発生源である中国を中心とした東アジアの状況を、対岸の火事と思って油断していたのではあるまいか。カリフォルニアやニューヨークといった州でも非常事態宣言が出され、都市封鎖(ロックダウン)が進行中だ。
いまから2000年近い古代ローマもまた同じような状況にあった。いやもっと酷い状態であったといえるかもしれない。
五賢帝の最後となったマルクス・アウレリウスが39歳で即位したとき、すでにローマ帝国は全盛期を過ぎており、衰退の影が見え始めていたのである。 洪水や大地震などのあいつぐ天災、戦地から兵士たちが持ち帰った感染症の蔓延(天然痘だとされている)、東方では大国パルティア王国との戦争、北方からの蛮族ゲルマン人の侵攻、そしてシリア属州においては信頼していた将軍の反乱など、さまざまな問題が押し寄せてきたのであった。(『超訳 自省録 よりよく生きる』(マルクス・アウレリウス、佐藤けんいち編訳、2019)の「はじめに」より抜粋)
「洪水や大地震などのあいつぐ天災、感染症の蔓延・・」。これは、まさに2020年現在の状況であり、2011年以降の日本そのものではないか!
ローマ皇帝マルクス・アウレリウスは、そんな状態で即位し、ゲルマン人との戦いの最前線の陣中で、ストア派哲学に心酔していた皇帝は、後の世に『自省録』と呼ばれる非公開の瞑想日記をつづっていたのである。
ストア派の重要な教えに、「コントロール不能」(uncontrolable)と「コントロール可能」(controlable)な事項を区別し、コントロール可能なものだけに集中せよという教えがある。
新型コロナウイルスのようなパンデミックは、言うまでもなく「コントロール不能」な事項。これに対して、自分の精神は「コントロール可能」。
コロナごときで一喜一憂してはいけないのだ。感染爆発するかどうかなど、自分でコントロールできないのだから。それよりも自分が感染しないこと、させないことが重要だ。何よりも、自分の心を平静に保つことだ!
このエピクテトスに始まる精神態度(マインドセット)は、マルクス・アウレリウスにも引き継がれている。何者にも左右されない「不動心」を身につけたいものではないか!
だからこそ、こんな状況だからこそストア派の出番なのだ。ぜひ、『超訳 自省録 よりよく生きる』を座右の書として繰り返し読み、自分の内面で「対話」をつうじて自分の心に刻みつけてほしいと思う。
<ブログ内関連記事>
「餃子の王将」さまに『超訳 自省録』を4000冊注文いただきました!-「社員の誕生日プレゼント」として採用
『超訳 自省録 よりよく生きる』(マルクス・アウレリウス、佐藤けんいち編訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2019)が、来る2019年4月27日出版されます-わが人生初のハードカバー!
2019年4月27日に発売の『超訳 自省録 よりよく生きる』(マルクス・アウレリウス、佐藤けんいち編訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は絶賛発売中!-書店フィールドワークより
マルクス・アウレリウスとガレノス-皇帝と侍医という組み合わせのなかでも特筆に値する2人
(2019年4月27日発売の拙著です)
(2017年5月18日発売の拙著です)
ツイート
ケン・マネジメントのウェブサイトは
ご意見・ご感想・ご質問は ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。
禁無断転載!
end