2020年11月23日月曜日

書評『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(野嶋剛、扶桑社新書、2020)- "民主主義"台湾モデル vs. "共産主義"中国モデル


執筆活動から解放され資料読みする必要がなくなったので、ようやく「積ん読本」を読み出すことに。 

まずは、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(野嶋剛、扶桑社新書、2020)。ことし7月に出た本なので、2020年5月末時点の情報で書かれているが、国民から非難囂々となった日本政府とは真逆の「神対応」がなぜ台湾で可能となったのか、台湾通のジャーナリストが多面的にまとめた本。読みであり。 

感染症対策にかんしての "民主主義"台湾モデル と "共産主義"中国モデル。後者の中国は、有無を言わさぬロックダウンで封じ込めた強権手法であるのに対し、前者の台湾は共感力を武器に感染を押さえ込んだ民主主義モデル。 

もし仮に二者択一だとしたら、どちらを選択するか? 感染発生が中国だという点を脇においても、答えは言うまでもないでしょう。 

こういう本を同時進行の「記録」として残しておく意義は大きい。現時点で振り返って、はたして日本は台湾からキチンと学んでいるのか、おおいに検証すべきだろう。 






目 次
プロローグ 大晦日の24時間 
第1章 世界最速の「水際対策」 
第2章 マスク政治学 
第3章 台湾の新型コロナウイルス対策を総ざらいする 
第4章 「SARSの悪夢」から台湾が学んだもの
第5章 蔡英文政権の強力布陣と「脱中国化」路線 
第6章 「疫病の島」から「防疫の島」へ 
第7章 中国もWHOも信じなかった台湾 
第8章 中国に支配されるWHO 
第9章 政治への熱意が作った「防疫共同体」 
第10章 台湾に学ぶ「アフターコロナ」
  
著者プロフィール  
野嶋剛(のじま・つよし)
ジャーナリスト、大東文化大学社会学部特任教授。元朝日新聞台北支局長。1968年生まれ。上智大学新聞学科卒。政治部、台北支局長、国際編集部次長、AERA編集部などを経て2016年4月に独立し、中国、台湾、香港、東南アジアの問題を中心に、活発な執筆活動を行っている。『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『銀輪の巨人 ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『台湾とは何か』(ちくま新書)=第11回樫山純三賞(一般書部門)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)等著書多数。


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