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2020年8月4日火曜日

書評 『疫病2020』(門田隆将、産経新聞出版、2020)-新型コロナ感染症の半年を振り返るために


『疫病2020』(門田隆将、産経新聞出版、2020)を読了。今年6月に出版された本。すでにベストセラーだという。
   
新型コロナ感染症の半年を、2020年1月から出版時点の6月まで振り返った内容のノンフィクションである。門田隆将氏の著作を1つでも読んだことがある人なら、おそらくこのタイトルだけで内容は類推できるだろう。

時々刻々とリアルタイムで進行する事態を、自らが投降したツイートを再録しながら、さらに関連する事項を取材で深めた内容になっている。

感染源となりロックダウン(=都市封鎖)された中国の大都市・武漢「習近平訪日」と「東京オリンピック」のために自縄自縛となり、愚かで無様な対応を繰り返す日本政府。そして、日本とは真逆の対応をとった台湾の手際の良さ。この3つの政府の対応が、このノンフィクションによってあぶり出される。

著者の門田氏は、台湾で感染対策が始まった、まさにそのとき台湾にいて台湾の総統選と立法院選取材のため台湾で精力的な取材活動を続けていたのだという。著者の危機意識がもろに伝わってくるのは、そのためでもある。

感染症爆発を安全保障問題と捉えていない日本政府は、危機対応がまったくできなかった。感染症は生物テロかもしれないのにもかかわらずだ。

結局、第1波を乗り切れたのは、最前線で黙々と業務を遂行した無数の日本国民の「現場力」のおかげであり、それに加えてマスク着用や自粛など国民の自発的な対応であった。政府の対策でもなんでもなかったことが、国民の目に明らかになってしまったのだ。

門田氏のツイートをリアルタイムでフォローし、ときにリツイートもしていた私にとって、とくに目新しい情報がとくに書かれているわけではない。だが、どんでん返しで「給付金10万円」が実現した背景にある、創価学会の内部事情と安倍首相との深い関係については、初めて知る内容も多く、大いに納得させられた。

国民の大半にとっては、これからどう感染症にかからずに済ませるか、どうやって生計を立てていくかという問題のほうが、はるかに切実なものであろう。自分の身は自分で守らなくてはならないのだ。毎度のことながら、国民の生命を尊重しないのが日本政府なのである。

とはいえ、政府が検証作業を行わない以上たとえ行っても次に活かさないまま新たな危機を迎えてしまうのが日本の体制である以上(・・2011年の東日本大震災の教訓が活かされているとは言い難い、直近の出来事であってもきちんとまとめておくことは、今後のために必要不可欠なことだ。検証は国民一人一人が行うべきである。そのための本だと受け止めたい。

現在のところ、日本はうまく切り抜けてきたといえよう。だが、それはあくまでも結果論に過ぎない。日本政府があてにならないことに変わりはない。とはいって、中国共産党が支配する世界になってしまっていいというのか? こういった本質的な価値観の問題を突きつけてくるのが、新型コロナウイルスのパンデミックである。

少なくともこの半年ではっきりしたのは、日本国民の一人一人が目覚めなくてはならないということだ。希望的観測を捨ててリアリズムに徹すること。勇気をもって。そのためには、まずはこの半年を振り返ることが必要なのだ。



目 次 
はじめに 
第1章 飛び込んできた災厄 
第2章 お粗末な厚労省 
第3章 異変はどう起こったのか 
第4章 告発者の「死」 
第5章 怒号飛び交う会議 
第6章 中国依存企業の衝撃 
第7章 迷走する「官邸」「厚労省」 
第8章 台湾完全制御作戦 
第9章 リアリストたちの反乱 
第10章 「自粛」という名の奮戦 
第11章 武漢病毒研究所 
第12章 混沌政界へ突入 
第13章 中国はどこへ行く 
第14章 未来への教訓 
おわりに 
特別収録 佐藤正久×門田隆将 日本の敗北はどこから






著者プロフィール 
門田隆将(かどた・りゅうしょう)  
作家、ジャーナリスト。1958(昭和33)年高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、新潮社に入社。『週刊新潮』編集部記者、デスク、次長、副部長を経て、2008年4月に独立。『この命、義に捧ぐ-台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社、後に角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。主な著書に『死の淵を見た男-吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)、『オウム死刑囚 魂の遍歴-井上嘉浩 すべての罪はわが身にあり』『日本、遥かなり-エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』(PHP研究所)、『なぜ君は絶望と闘えたのか-本村洋の3300日』(新潮文庫)、『甲子園への遺言』(講談社文庫)、『汝、ふたつの故国に殉ず』(KADOKAWA)、『新聞という病』(産経新聞出版)など多数。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


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鎮魂・吉田昌郎所長-『死の淵を見た男-吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日-』(門田隆将、PHP、2012)で「現場」での闘いを共にする

「希望的観測」-「希望」 より 「勇気」 が重要な理由

自分のアタマで考え抜いて、自分のコトバで語るということ-『エリック・ホッファー自伝-構想された真実-』(中本義彦訳、作品社、2002)

書評 『ウイルスの意味論-生命の定義を超えた存在-』(山内一也、みすず書房、2018)-こういう時期だからこそウイルスについて知る



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