ハリウッド映画の『トップガン マーヴェリック』(2020年製作・2022年公開)を映画館で見てきた。マスクしながら映画館で見ると、Gを感じることはないが、コックピットにいる臨場感は味わえる(かな)。
しかし、まあ、あれからもう36年にもなるのか。早いものだ。
『トップガン』(1986年)のトム・クルーズには、大いに興奮したものだ。若さゆえの自信過剰!
そのとき、自分もまたトムとおなじく23歳の怖いもの知らずで、無限の可能性があるように感じていたからでもあるだろう。
時代はまだ冷戦時代のど真ん中であり、かつ日本はバブル時代に入りかけていた。レーガン大統領時代だが、日米経済戦争にはまだ入っていなかった。ドッグファイト(=空中戦)ということばを知ったのは、この映画だったな。
(米国版オリジナルのポスター)
『トップガン マーヴェリック』でも、もちろんトム・クルーズが主人公だが、59歳とすでに肩たたきにあう年齢で(・・正確にいえば公開が2年遅れなので57歳である)、出世を拒否して現役にこだわりつづけていたとはいえ、軍人キャリア人生の末期にある。
しかも、時代は無人機ドローンの時代への移行期で、戦闘機パイロットの黄金時代も終わりつつある。二重の意味で「終わり」が近づいているのだ。
自分は、トムとは同年生まれの同学年だから、どうしても、主人公に自分を重ね合わせてしまう。
『トップガン』のときは23歳の目線で見ていたが、『トップガン マーヴェリック』のほうも、どうしても59歳のオジサン視線でこの映画を見ているのだ。
無我夢中に対象にのめり込むのではなく、半歩引きながらもコミットするという視線。よく言えば、精神的余裕があるとうことになるが、 もうすでに「オレが、オレが」という年齢ではないのだ。
映画のなかのトムもメイクアップしているから実年齢より若く見えるが、とはいえ、やはり年齢相応というべきか。枯れるには程遠いが、酸いも甘いもかみ分けた、成熟した渋い男の魅力がでているのがいい。
映画としては、海軍パイロット版の『ミッション:インポッシブル』というべきかな、というのが偽らざる感想だ。
「インポッシブル」を「ポッシブル」に変えるための、プレイイング・マネージャーによる率先垂範型のリーダーシップ。「やってみせ、言って聞かせて、させてみて・・」。海軍パイロットだからね。そこのところは日米共通だ。
そして、コールサインが「マーヴェリック」(maverick=はぐれ者)だとはいえ、精鋭中の精鋭から選抜されたメンバーによるプロジェクトチームを成功させるためには、チーム・ビルディングがきわめて重要なのだ。ビジネスパーソンとしては、映画を見ながら、そんなところに目がいってしまう。
ハラハラドキドキの連続だが、映画の終盤はやや荒唐無稽だ。「ありえね~」という展開。とはいえ、この映画は『ミッション:インポッシブル』だと思えば、エンタメとしては大いに楽しめる。リアルさが半端じゃないからだ。それはもう、トム・クルーズの映画なのだから。
それにしても、トム・クルーズはすばらしい。来る2022年7月3日にはトムも還暦だが、「生涯現役」のロールモデルとして、倒れるまで走り続けて欲しい。
PS 中国市場を忖度しない姿勢にバンザイ!
そうそう、映画が始まってからしばらくして、トム・クルーズがフライトジャケットを羽織るシーンがあるが、背中にはしっかりと「日の丸」と「台湾の青天白日旗」が写っていた。よっしゃ!! 中国市場を忖度しない姿勢にバンザイ!! どうやらハリウッドの一部には中国離れも始まっているようだ。
参考記事
中国に喧嘩売ったトム・クルーズ最新作「トップガン」 新興カルトという「もう一つの顔」は不撓不屈の愛国心(高濱賛、JBpress、2022年6月4日)
・・トム・クルーズが熱烈な信者である「サイエントロジー教団」を絶対に認めない中国共産党。認めている台湾。日本ではあまり言及されないこの事情もまたフライトジャケットに反映しているわけだ
(2022年6月6日 情報追加)
<関連サイト>
36年たっても昇進していない、「あの男」が帰ってきた(Newsweek、2022年6月7日)
「トム・クルーズに敬服」4人の元空自パイロットが「トップガン マーヴェリック」で興奮した場面とは( 「週刊文春」編集部、2022年6月16日)
(情報追加 2022年6月8日、16日、25日、29日)
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